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有給休暇が取れないのは違法?取り方を徹底解説

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アクシス株式会社 代表取締役 末永雄大
新卒でリクルートキャリア入社。その後、サイバーエージェントにて集客支援を行う。 2012年転職エージェントとしてアクシス株式会社を設立。 ■Yahoo!ニュース(個人):IT/キャリアコンサルタントが語る「働き方3.0」 ■オールアバウトガイド:「キャリアプラン・転職ノウハウ」ガイド

現在の会社で「有給休暇が取りにくい・・・」と感じたことはないでしょうか?

「忙しいので、周りで取っている人が居ない。」や「評価に影響することを恐れて申請を上司にあげ難い。」といった理由から、有給は余程の事情が無ければ取れないと誤解している人が実は非常に多いです。今回は皆さんの労働環境をより良くしていくことを目的に、有給の取得について、分かり易くご説明します。

日本の有給取得率は低い?

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実は、直近の調査で日本の有給取得率は50%。これは世界30ヶ国中で最下位です(2017年エクスペディア・ジャパン調査)。しかも、調査期間内で対象国が24~30ヶ国と異なりますが、日本の取得率最下位は6年連続。更に、有給を1日も消化していない人の割合も15%を超えることが分かりました。つまり、6人に1人くらいの割合で有給を全く消化していない人がいる計算になります。

参考までに、同調査における消化率100%は、ブラジル、フランス、スペインの3カ国で、お隣韓国は67%、アメリカは80%でした。

ここで興味深いアンケートがあります(同エクスペディア・ジャパン調査)。

有給の取得状況に対して、実は日本人の49%が満足していると回答していることです。

つまり、有給が取得できていない状況を「当たり前」と考えている傾向が見て取れます。

有給を取らない理由としては以下の内容があげられています。

1位:緊急時のために残しておく

2位:人不足

3位:周りが休んでいない

有給が取れていない方から見て、この状況はいかがでしょうか。

確かに思い当たることがあるのではないでしょうか?

「働きすぎ」と言われる日本人ですが、健康を害しては本末転倒ですし、働き方改革のもとでいかに労働生産性を改善するかにポイントをシフトする日本の労働環境の中で「有給休暇は無くて当たり前」といった考え方は明らかに改善する必要があります。

なぜなら、今後ITを駆使した業務の効率化が進んでいけば、業種に限らず、よりクリエイティブな発想が求められるようになりますが、このような能力は、仕事と休暇のバランスの上で発揮される能力と言われているからです。

一方で運送や飲食などのサービスに関わる人たちも同様です。与えられた権利として有給を取得できなければ、モチベーションは上がりませんし、顧客満足の低下や事故を招くことになります。

有給取得は労働者の権利です

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それではここからは、有給休暇は取るべきものとして、前提条件にあたる有給の仕組みについて詳しく見ていきましょう。

有給休暇が付与される勤務期間は?

労働基準法に定められた有給付与の条件は入社後6ヵ月の勤務実績です。入社後6ヵ月間継続勤務し、全労働日の8割以上勤務して初めて10日間の有給が付与されます。しかし、この条件は法律が定める最低条件であって、会社の判断次第で入社直後に有給が付与される場合があります。入社後すぐに有給が付与されていれば、急な怪我や病気で会社を休まざるを得ない場合、休日扱いで給料が減る心配がなく、安心して働くことができます。

有給休暇に時効はあるの?

有給の権利は2年で消滅します。つまり、入社半年後に付与された10日間は2年以内に使わなければ消えてしまうということです。但し、最初の有給が付与されて1年後に更に11日付与される仕組みになっています。まとめると、入社1年半で21日の権利を保持していることになりますが、使わなければその内10日が1年後に消えてなくなる計算になります。

有給休暇を会社に買い取ってもらうことは可能か?

休暇を取らない代わりに日給相当分の支給を受けることが可能かというとそれはできません。有給の主旨目的が心身を休ませることにあるからです。

但し、一定の条件があえば、会社は社員の有給を買い取ることが可能になります。

その条件は以下の通りです。

1)2年以内に消化できなかった有給

2)退職前に消化できなかった有給

3)法定以上の日数分

4)労働者と会社側双方が買い取りに同意している場合

特に、4)にあるように、社員が一方的に会社に有給の買取を要求することはできませんし、会社側が一方的に買い取ることもできないので、注意が必要です。

アルバイトやパートにも有給休暇はあるの?

アルバイトやパートといった所謂非正規社員であっても週30時間以上または5日以上の勤務がある場合は、正社員と同じ日数で有給が付与されます。

週30時間、5日未満の勤務であっても、労基法上は条件によって1日~15日の有給が付与されることになっています。

会社は従業員の有給休暇申請を断れるの?

結論から言うと、会社側は社員の有給申請に対して、取得のタイミングを変更する指示を出すことは可能です。これを「時季変更権の行使」と言います。「時季」とは具体的な時期や季節を指します。つまり、時季的に従業員が有給を取ることで、事業の運営を妨げることが明白で、且つ、代替人員が手配できない場合に限定して、会社は従業員が申請した有給の日程を変更することができるのです。

アルバイトやパートタイマーが複数働いていて、シフト調整が可能と判断される場合、時季変更権の行使が無効とされた判例がありますが、基本的に会社は従業員の有給申請を断ることはできません。

有給休暇の事後申請は可能か?

会社を欠勤して、後日有給に切り替える申請が可能かと言うと、原則不可です。遅刻や欠勤を繰り返す社員の事後申請を会社は受けない対応も可能とされています。

但し、怪我や病気を含めた緊急事態と会社が判断した場合は、会社の判断に任せることとされています。

有給が取れない場合の対処法

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繰り返しになりますが、有給休暇の取得は労基法に定められた労働者の権利です。

先程ご説明した時季変更権を会社が行使しない限り、有給休暇は希望した日に必ず取得できます。

そして、有給申請時の理由も「私用の為」で十分です。上司に理由の詳細な説明を執拗に求められる場合はハラスメントとして訴えることも可能ですので、覚えておいてください。

それでは、有給休暇が取れない場合の対処法を理由別にご説明します。

時季変更権の行使

会社側から有給の希望日を変更するよう指示を受けた場合は、スケジュール調整が可能かを確認しましょう。会社も法律に則って権利を主張してきているのと、有給の取得自体を認めないという訳ではないので、上司に取得可能日を確認するようにしてください。

有給申請を拒否された場合

理由もなく申請が受理されないのは明らかな法律違反です。そのような場合の対処方法をご説明します。

労働基準監督署に相談

会社に申請が拒否された証拠(メールや文書、ボイスレコーダー等音声)を準備して、労基署に相談してみてください。希望すれば匿名での是正勧告を行なってくれますので、会社の考え方が変わる可能性があります。また、いきなり労基署に相談することに抵抗がある場合は、会社の労働組合に相談してみるのもひとつの方法です。労働組合は労働者の権利を守ることが前提にある組織ですので、過去の経験に照らして適切に対処してくれます。

退職時に有給休暇を取得する

最終手段になりますが、退職が前提にあれば、有給の日程を変更することが物理的に不可能であるため、時季変更権を行使されずに全ての残有給日数を消化することが可能です。

有給が取れない会社は転職すべき?

転職を考えている男性会社員のイラスト

有給休暇が取れないことのみを取り上げて転職を考えるのは少し結論を急ぎ過ぎです。

会社を、友人や結婚相手など自分が生きていく上で必要なパートナーだと考えてみてください。相手に完璧を求めることはしませんよね?

「あそこは良いけど、ここは今ひとつ。でも総合的にみていい人。」と普段付き合っていないでしょうか?

会社も自分が一旦は長所を見つけて選んだ会社です。有給を取り難いことは確かによくありませんが、初心に帰って良いところを探してみたり、自分がなぜこの会社を選んだのか振り返ることをオススメします。

それでも、経営者や上司が変わって、会社の社風や方針が急に変わることもあります。また、有給が取り難いということは、風通しが悪く社員同士のコミュニケーションが取れない会社なのかもしれません。このように、有給が取れないということが実は会社の問題を表面化させるきっかけになることもあるので注意が必要です。

それでは、有給休暇を取りやすい会社の特徴を記載しておきますので、参考にしてください。

  • 各種手当てが充実している
  • 年間休日が同業他社と比較して多い
  • 女性の従業員・管理職が多い
  • 社員の平均勤続年数が長い

ここに書いたことはあくまで参考ですが、有給を取り易い会社は社員を大切にする仕組みを持ち、「総合的にみても」社員が安心して長く働ける会社であると言えます。

有給が取れないことをきっかけに、「自分は会社に大切にされているか(「自分が大切にされる努力をしているか」の視点も忘れずに)?」を考えて、大切にされていないと感じれば、転職を検討するのもひとつの方法です。

まとめ

いかがでしたか?

日本の会社の労働環境は、上司や同僚の目を気にして有給休暇が取得し難いと言われており、実際取得率は世界ワーストを維持しています。

しかし、有給を始めとする休暇が適切に取れなければ、生産性や定着率の低下を招き、会社にとっても良いことはありません。繁忙期や自分のキャリア形成としての成長と会社の成長をリンクさせる上で、一時的に休暇が取れない状況は考えられますが、そのような状況が継続しないように労使双方が有給の取得状況に目を光らせる必要があると言えます。有給取得をあまりナーバスに考えることなく、気楽に取るように意識してみてください。自分の行動をきっかけに、周囲や会社の考え方が変わるかもしれません。それでも我慢できなければ、転職を考えるのもひとつの方法です。