アイデンティティを乗り越える。

こんにちは。アクシス代表の末永です。社長ブログです。

最近、特定の事業部に介入して、久しぶりに現場にプレイングマネージャーとして業務をやっています。

僕は組織やマネジメントには苦手意識が強く、一方で職人気質と言いますかプロフェッショナルやハイプレイヤーとして自負心を持ってきました。

組織やマネジメントが苦手な自分であっても、社長という職業や役割を担えているのは、いざとなればこのハイプレイヤーとしての特質で現場に降りていけばメンバーの5倍〜10倍の生産性や成果を作れる。

創業してから6年間は1人会社の社長として成果を上げてきて、社員を増やしてからも過去は実際にそうでしたし、それが自分が社長として会社を統率できる理由であったり拠り所なのだと認識していました。

しかし、直近現場に降りてみて、マーケットの変化、自分の老化・劣化をまざまざと感じています。

事業やプロダクトも同じで、市場は常に変化し続けていきます。仮に特定の市場においてはPMFできたとしても、市場が変化すれば事業やプロダクトも継続的にPMFをし続けなければなりません。

自分は過去その当時の市場環境にはハマってハイプレイヤーであれたが、今の市場に適応するには自分を変容しなければならないのだと、お恥ずかしながら浦島太郎状態の自分の現実を痛感しました。

たとえば、コミュニケーションツール一つをとっても、当時もLINEはありましたが、オンライン面談はありませんでしたし、LINEや電話の用途や感覚はだいぶ変わっており、20代の転職者とやりとりする中で正直戸惑う事も少なくありません。

また、20代、30代とワーカーホリックとして仕事をしてきましたが、40代を迎えた今、以前はアドリブでスラスラ出てきた言葉や仮説が瞬発力で出てこない、以前はやり切れていたラストワンマイルの粘りができない。疲労が蓄積して、体調不良となり、集中力が落ちる。

こうした現実を目の当たりにした際に、自分のアイデンティティの拠り所としていたものが喪失したり、なんなら錯覚だったのではないか?と大きなショックを感じました。

自分がしつこく社員に伝えてきた「たかがではなく、されどで仕事をしよう」「ここまでやり切るかがスレッショルドを超える事だ」のような発言は、実は今の自分では有言実行できないのかもしれない。

そう思うと、自分の存在意義の根拠をなくしてしまったかのようで、大きくエネルギーが下がってしまったのです。

一方で「ここまでエネルギーが下がってしまうのか」と驚きを感じると同時に、自分は思っていた以上に「過去の自分」と「能力」に執着していた事に気がついたのです。

「過去の自分」というのは、「過去の自分の勝ちパターン」。

それを、今もこすり続けていたわけです。

「能力」というのは、「自分の能力の高さ」、「成果を出せなければ自分に存在価値はない」という思い込み。

正直、社員数15名程度までは、自分の能力に対して相応な自信を持っていました。

個としてのプロフェッショナル的なパフォーマンスはかなり高いと自信がありましたし、15名程度であればマネジメントもスムーズに進める事ができる。と確信していました。

しかし、それはそのマーケット状況と組織フェイズや状況においてはハマっていただけであり、その継続性や再現性があったわけではなかったのだなと。

また、高い能力と高い成果を出す事が存在価値であり、それができない自分に価値はないと極端な捉え方をしてしまっていたのだと改めて認知しました。

これまで社員に対して、自分は基本的にそれぞれの違いを認め、彼らの自主性を重視した組織づくりを重視してきたつもりでした。

しかし、実際には無意識レベルで、自分の勝ちパターンであるノウハウや知見を要望し続けてしまったり、成果を出せなければ価値がないという暗黙のメッセージを伝えてきてしまったように思います。

そんな事を内省し、気がつくことができた事は前進であると前向きに捉えていますが、モヤモヤすること自体は事実でした。

そこで毎月お会いする経営者の先輩方に助言をいただきました。数百人、1000名規模を超える経営者の先輩たち曰く「自分の能力の限界に気がつける事はハッピーな事だ」と。「そもそも社長とは会社をビジョンに前進させる人」「そのために自分よりも優秀な人達を集めてくる人」という話をシェアしてもらい、ハッとさせられました。

そうした先輩経営者の話を伺う中で、自分はこれまで「社長が最も能力が高く、優秀でなければならないと思いこんでいたし、自分にはそれができるのだ」と過信や過剰なプライドを持っていたのだと感じました。

考えてみれば、弊社はインターン生や新卒、第二新卒の未経験者を自分が一人ひとり育成をして組織化してきた背景があり、それはすなわち全て自分の下位互換を作ってしまう構造でした。

むしろ自分と異なるやり方で、自分よりも優れたやり方ができる人を集めて、それを信じて任せる。それができているつもりでしたが、本質的にはできていなかったのかもしれないと感じます。

すなわちこだわるべきは、過去の使い古された勝ちパターンやノウハウではなく、理念やカルチャー(行動指針)であったのだと改めて痛感しました。

こうした自分のアイデンティティや拠り所を手放すことは正直苦しい気持ちがありますが、これからより会社を進化させ、ビジョンに進捗させるためにも、古くなった自分のアイデンティティを乗り越えていきたいです。

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