派遣社員の残業について解説/法律や断り方も紹介

派遣社員の残業について解説/法律や断り方も紹介

    派遣で残業をしたくないときの対処法とは?派遣の残業の扱いや法律を転職選びのプロが徹底解説します。

この記事を書いた人
末永雄大

末永雄大

新卒でリクルートエージェント(現リクルート)に入社。数百を超える企業の中途採用を支援。2012年アクシス(株)設立、代表取締役兼転職エージェントとして人材紹介サービスを展開しながら、年間数百人以上のキャリア相談に乗る。Youtubeチャンネル「末永雄大 / すべらない転職エージェント」の総再生回数は2,000万回以上。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック
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派遣の残業に関する基本知識と法律

ここでは派遣社員の残業に関する基本知識と法律を紹介します。

残業に関する知識や法律を知っていることで、自分の理想に近い働きかたを叶えることができます。

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派遣社員の魅力は自分の希望する時間に合わせて働けることです。

派遣社員の中には、プライベートを大切にするために残業はない方がいいという人もいます。

残業に関する基礎知識と法律をおさえて、上手に派遣で働きましょう。

2種類の労働時間

残業について知る前に2つの労働時間について知っておく必要があります。

それは「所定労働時間」と「法定労働時間」です。

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所定労働時間は企業が独自に設定する労働時間です。

所定労働時間は雇用主と労働者が結ぶ雇用契約に基づく就業規則で決定します。

たとえば、短時間労働の場合は4時間〜6時間、フルタイムであれば7時間〜8時間の範囲で設定されます。

一方、法定労働時間は労働基準法で定められており「1日8時間、週40時間まで」と定められています。

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原則として、これを超えて労働者に労働をさせることはできません。

ただし、業務の増加などで法定労働時間を超える場合には、36協定を結ぶことにより例外が認められます。

重要なのは、所定労働時間は法定労働時間を超えない範囲で企業が自由に設定できることです。

派遣社員でも残業手当はつく

派遣社員の残業にも当然給与が支払われます。

労働基準法では、労働時間が1日8時間を超えた場合、25%以上の賃金の増額が必要と定められています。

また、22時〜翌5時までの深夜労働ではさらに25%の賃金の増額が必要です。

これにより、深夜の残業では合計50%の賃金の増額となります。

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残業代が増加するかどうかは、派遣会社の規定によります。

派遣会社の一般的な規定パターンは以下のとおりです。

  • 1日でも所定労働時間を超えてしまった場合は、超えた時間分の25%増額した賃金を支払う
  • 所定労働時間を超えてしまっても、週で40時間を超えていなければ増額なしで超えた時間分の賃金を支払う

たとえば、時給1,000円の場合の合計は以下のとおりです。

条件 超過時間 残業賃金増額 残業時給 残業賃金 合計賃金
1日の所定労働時間を超えた場合 2時間 25% 1,250円 2,500円 10,500円
週40時間を超えない場合 2時間 なし 1,000円 2,000円 10,000円

残業による給与増額は、法定労働時間を超えた場合に適用されますが、賃金が実際に増加されるかは派遣会社の規定によって異なります。

残業時の賃金が気になる場合は、事前に派遣会社の担当者に確認しておきましょう。

派遣社員の残業代の計算方法

残業代の計算は下記の式で求めることが可能です。

(時給×労働時間)+(残業時間×1.25)

残業による賃金の増額は、派遣会社の規定に依存するため会社によって異なります。

所定労働時間を超えた場合でも、法定労働時間内であれば増額されない可能性があります。

所定労働時間を超えていたとしても、法定労働時間を超えていなければ増額しないこともあるため、派遣会社の賃金増額の規定を聞いた上で計算をおこないましょう。

派遣社員の残業時間の上限

派遣社員の残業時間には正社員と同様に上限があります。

ここでは残業時間のルールに大きく関わる36協定と派遣社員の残業時間の上限を解説します。

派遣社員の残業に大きく影響する36協定

派遣会社で36協定が結ばれている場合、月間の残業時間の上限は45時間年間では360時間までです。

ただし、繁忙期などでこの時間内に収まらないことが予想される場合、企業は特別条項付きの36協定を事前に結ぶことで、これらの上限を超える残業を許可することができます。

また、特別条項があるとしても無制限に残業ができるわけではありません。

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残業の上限は月100時間、年間720時間までです。

この限度を超えると雇用形態に関わらず法律違反になります。

特別条項には以下のような追加の制限があります。

  • 月45時間を超えられるのは、年に6ヶ月まで
  • 2~6ヶ月ごとの時間外労働時間の平均が80時間を超えてはいけない

36協定には法的拘束力があり、協定を結ばずに残業をさせたり、残業時間の上限を超えて労働させたりした場合、6ヶ月以下の懲役や30万円以下の罰金が科される可能性があります。

派遣先の企業は残業の命令ができない

派遣社員に対する残業命令は、派遣先企業ではなく派遣会社がおこなうものです。

派遣社員の雇用主は派遣会社であるため、残業の指示は派遣会社と派遣社員との間で結ばれた雇用契約に基づいておこなわれる必要があります。

雇用契約書労働条件通知書に残業の記載がない場合、派遣先の企業は残業を指示はできません。

また、残業に関する記載がある場合でも、労働基準法や36協定に違反するような労働を強いることはできません。

残業依頼の断りかた

派遣社員が残業を断ることが可能かどうかは、状況によって異なります。

この違いは主に、派遣社員が派遣会社と結んでいる雇用契約と、事前に定められた業務量に基づいています。

ここでは、派遣社員が残業を断ることができる状況と、そうでない状況について説明していきます。

これにより、トラブルを避けるための適切な対応を確認しておきましょう。

残業を断ることができるケース

派遣会社との雇用契約や労働条件通知書に残業に関する規定がなければ、派遣社員は残業を断ることができます。

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また、派遣会社が36協定を結んでいない場合も同様です。

労働基準法第36条によると、通常の労働時間は1日8時間、週40時間と定められています。しかし、36協定を結び労働基準監督署に届け出ることで、これらの法定労働時間を超えて労働させることが可能になります。

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この場合、協定で定められた範囲内での残業が許可されます。

そのため、雇用契約書に残業に関する記載がなかったり、36協定が締結されていなかったりする場合、派遣社員は残業の指示を拒否する権利があります。

残業を断ることができないケース

雇用契約に残業に関する記載がある場合、残業を断るのは困難です。

残業の規定が契約にない、または36協定が結ばれていない場合にのみ残業を断ることが可能です。

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契約書に残業が記載されている場合、契約時に残業を承諾したことになります。

そのため、契約に記載された残業を断り続けると、派遣先の企業や派遣会社からの信用を失うリスクがあります。

信用を失うと、派遣切りにあう可能性が高まるだけではなく、次の仕事を見つけるのも難しくなることがあります。

トラブルを避けるためには、派遣社員としての勤務前に、残業の有無について派遣会社の担当者に確認することが重要です。

残業をしないための3つのポイント

残業が難しい人は、下記の3つのポイントを抑えて残業を減らす工夫をしましょう。

早めに報告しておく

残業ができない日があらかじめわかっている場合は、その情報を派遣先の企業に事前に伝えておくことが重要です。

ただし、単に自分の要求を伝えるだけではなく、申し訳ないという気持ちもしっかりと相手に伝えましょう。

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これにより、後々の評価や契約に関する心配が減ります。

相手の気持ちを尊重しながら自分の状況を伝えることで、トラブルを避けることができます。

仕事に優先順位をつける

1日の仕事には優先順位を付けましょう。

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必要な仕事が完了していれば残業する必要はありません。

しかし、仕事を無計画に進めると、帰宅間際に翌日以降に影響を与える重要な仕事が残っていることに気が付くこともあります。

仕事の確認

  • 必ず今日終わらせるべき仕事
  • 今日中に終わらせなくても良い仕事
  • 他の誰かに依頼ができる仕事

上記のように仕事を整理しましょう。

これにより、効率的に仕事を進めることができ、残業を減らすことができます。

面倒だと感じること先に済ませる

面倒だと感じる仕事は、できるだけ早く始めることが大切です。

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面倒に感じる理由は、通常自分が苦手とするか時間がかかるからです。

これらの仕事を後回しにすると、就業時間内に完了しない可能性が高まります。

そのため、優先度が高いが面倒な仕事ほど先に取り組むべきです。

また、仕事に制限時間を設けるのも効果的です。

これにより、どの作業にどれくらいの時間が必要かを把握し、予想以上に時間がかかることを防ぐことができます。

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さらに、自分の得意な作業を見つけやすくなり、効率的に仕事を進めることができます。

自分の得意分野と不得意分野を明確にし、効率よく働くための戦略を立てましょう。

残業が多いと感じた時の対処法

残業が多いと感じた時には以下の2つの対処法があります。

  • 可能であれば耐えて契約満了までやり切る
  • 退職することを検討する

順番に解説していきます。

可能であれば契約満了までやり切る

もし残業時間が許容範囲であれば、契約更新のタイミングまで勤務を続けましょう。

通常、契約社員は3ヶ月〜6ヶ月ごとに契約が更新されます。

契約更新時には、派遣会社の担当者が更新の意思を確認してくれるため、その時に退職を希望するかどうかを伝えることができます。

契約期間を守って働くことは、派遣会社からの信頼を得るのに役立ち、次の仕事を見つける際にも協力を得やすくなります。

もし残業が過度に厳しい、契約にない残業を求められるなどの問題が発生した場合は、まず派遣会社の担当者に相談することが重要です。

退職することを検討する

どうしても働き続けることが難しいと感じる場合は退職を検討しましょう。

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健康を害してまで無理をしても意味がありません。

ただし、急に出勤しなくなったり、無断で欠勤したりするような行為は避けるべきです。

なぜなら、将来的に派遣会社からの仕事の紹介が得られなくなる可能性がありますし、派遣先の企業や派遣会社に迷惑をかけることになるからです。

仕事を続けられない場合は、速やかに派遣会社の担当者に相談してください。

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派遣先の環境が問題の原因である場合、派遣会社の介入により状況が改善されることもあります。

また、不当な残業命令ハラスメントなど、退職を正当化する理由がある場合、即日退職が認められることもあります。

まずは、状況を派遣会社の担当者に伝えて対応を相談しましょう。

残業をしないための求人の選び方

残業がない求人で働きたいと言う人は下記の2つのポイントを意識して求人を探しましょう。

  • 残業なしを宣言している求人を選ぶ
  • 自分が残業できる限界の時間を事前に派遣会社に伝える

順番に解説していきます。

残業なしを宣言している求人を選ぶ

残業をしたくない場合は、残業なしと明記している求人を選びましょう。

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さらに、派遣会社に実際に残業がないかを確認することも重要です。

雇用契約やその他の書類に残業に関する記述がある場合、それは残業が発生する可能性があるということです。

たとえば、月平均0〜5時間の残業が記載されていても、繁忙期にはそれ以上の残業が要求されることも考えられます。

自分が残業できる限界の時間を事前に派遣会社に伝える

残業ができる時間に制限がある場合は、その旨を事前に派遣会社の担当者に伝えましょう。

求人を紹介してもらう際の上限や調整可能な時間を明確にしておくことで、あなたの条件に合った仕事を見つけやすくなります。

さらに、派遣会社は派遣先の企業にあなたの残業の制限を伝え、適切な配慮をしてくれることが期待できます。

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