
転職の給与交渉は可能?相場・タイミング・伝え方をプロが解説
転職の給与交渉は可能で、実施者の多くが年収アップに成功しています。
交渉できる相場や内定後のベストタイミング、面接・メールでの伝え方の例文、失敗しない注意点を、転職のプロがわかりやすく解説します。
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転職の給与交渉は可能で約4割が前職より年収アップしている
転職時に提示された給与へ納得できないなら、給与交渉はできます。むしろ多くの転職者が当たり前に行っているものです。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、転職して入職した人のうち、前職より賃金が増加した人は40.5%にのぼります。
これは賃金が減少した29.4%を10ポイント以上上回る数字で、増加の割合は前年から3.3ポイント伸びました。給与アップを実現する転職者は珍しくありません。
「交渉したら印象が悪くなる」「内定を取り消されたら」と不安に感じる人は少なくありません。ただ、進め方とタイミングさえ間違えなければ、選考に悪影響が出る心配はほとんどないです。
転職の給与交渉でいくら上がる?
転職の給与交渉で上げられる金額は、現年収の5〜10%程度が目安です。年収400万円なら20〜30万円ほど、というイメージです。
多くの転職支援をしてきた経験から言うと、交渉で年収が50万円も100万円も跳ね上がるケースは一握りです。「交渉すれば大幅アップ」というイメージとは、現実に少しギャップがあります。
理由は、給与には業界・職種・経験年数でおおよその相場が決まっているからです。企業が内定時に出す金額もこの相場が土台なので、そこから大きく動かすのは難しいのが実情です。
ここで知っておきたいのが「市場価値」という考え方です。市場価値とは、特定の会社に縛られず、業界や会社をまたいで通用する経験やスキルを指します。
年収が高い人イコール市場価値が高い人、ではありません。
社内でしか通用しないスキルで年収が高いと、転職時にむしろ下がるケースもあります。
つまり、交渉でどこまで上がるかは市場価値に左右されます。同じ業界・職種で実績を積んだ人ほど交渉の余地は大きく、未経験分野へ移る人ほど上げにくいと覚えておきましょう。
給与交渉のベストタイミングは「内定後〜内定承諾前」
給与交渉に最適なのは、内定が出てから承諾する前の期間です。この時期は企業が「ぜひ来てほしい」と考えていて、交渉に応じてもらいやすいからです。
逆に、選考の序盤で年収の話を持ち出したり、内定を承諾した後で蒸し返したりすると、印象を損ねやすいので避けましょう。タイミングごとの動き方を順番に見ていきます。
内定後・オファー面談での交渉が本命
本格的な交渉は、内定後のオファー面談で行うのが王道です。承諾前のこの場が、希望を伝えられる最大のチャンスになります。
注意したいのが、内定通知書が出た後の交渉です。人事担当者は、内定通知後に給与交渉をされるのをとても嫌います。
内定通知書は、社内で稟議を通し、何人ものハンコをもらって作る法的な書類です。
後から「実は」と交渉されると、また作り直しになるんです。
「それ早く言ってよ」という話になり、入社できても印象はかなり悪くなります。希望は必ず承諾前のオファー面談までに伝えきりましょう。
避けるべきNGタイミング
避けたいのは、選考序盤と内定承諾後の交渉です。この2つは成功しにくいうえ、印象まで悪くしてしまいます。
選考序盤で年収を強く押し出すと「お金が目的の人かな」と受け取られ、合否に響くことがあります。まずは「この人を採用したい」と思ってもらうのが先です。
承諾後は、企業側が条件を固め終えた後なので、ほぼ動きません。交渉は内定後から承諾前までに集中させるのが鉄則です。
面接で希望年収を聞かれたら
もしも面接で年収の話になったら、基本は相手から聞かれるのを待つのがおすすめです。自分から焦って切り出すより、精神的に余裕を持って答えられます。
面接が進むと、提出書類に希望年収を書いていても、口頭で「今いくらもらっていますか」「希望はどのくらいですか」と聞かれる場合がよくあります。聞かれてから落ち着いて答えれば問題ありません。
ただ、面接で給与の話が最後まで出ないことも多いです。その場合は「最後に質問はありますか」と聞かれたときに、希望のモデル年収をたずねる形で切り出すと自然です。
面接そのものの対策とあわせて準備しておくと安心です。よく聞かれる質問への答え方は、下記記事でくわしく解説しています。
給与交渉の前に必ずやる3つの準備
給与交渉は、思いつきで臨んでも通りません。事前準備の質が成否を分けます。最低限そろえておきたい準備は次の3つです。
業界・職種の給与相場を調べる
まず、自分が狙う業界・職種の給与相場を把握します。相場を知らないまま交渉しても、根拠のない希望額になってしまうからです。
相場は、厚生労働省が運営するjobtagや、大手転職サイトの職種別データで調べられます。参考までに、国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査では給与所得者全体の平均給与は478万円でした。
ただ、こうした全体平均は職種や経験で大きくぶれます。自分のケースに近い相場は、その業界に詳しい転職エージェントに聞くのが手っ取り早く正確です。
転職が初めてで相場が読みにくいなら、まずはリクルートエージェントなどに登録して、自分の経験だといくらが妥当か聞いてみるところから始めてみてください。
実績・スキルを数字で棚卸しする
次に、自分の実績やスキルを数字で整理します。希望額の根拠になる説得材料を用意しておくためです。
たとえば「売上を前年比120%に伸ばした」「10人のチームをまとめた」のように、成果を具体的な数字で示せると交渉の力になります。参加したプロジェクトの規模や役割も書き出しておきましょう。
主観的な自己アピールより、客観的な数字のほうが企業を納得させやすいです。交渉の場で慌てないよう、事前に紙やメモに洗い出しておくと安心です。
希望年収と最低ラインを決める
最後に、希望年収と最低ラインの2つを決めておきます。基準があると、交渉でも入社判断でも迷いません。
このとき、現在の年収は手取りではなく額面で、内訳までそろえて把握しておくのが大切です。基本給だけでなく、賞与や家賃補助も含めて計算します。
「額面460万円で、月給30万円、賞与40万円、家賃補助が年60万円」と内訳で伝えます。
企業の提示も額面なので、こちらも額面でそろえないと損をしますよ。
未経験の分野へ移る場合は、現年収維持にこだわりすぎないのも大切です。相場が下がる前提で、最低ラインを現実的に設定しておきましょう。
転職時の給与交渉を成功させる伝え方【例文あり】
準備ができたら、いよいよ伝え方です。同じ希望額でも伝え方で通りやすさが変わります。成功率を上げるコツと例文を紹介します。
額面・割合で伝える
伝え方のコツは2つあります。1つ目は現年収を額面でそろえて伝えること、2つ目は希望を割合で示すことです。
希望額は「現年収から1割アップ」のように割合で伝えると、具体的な金額より受け入れられやすくなります。人は数字を直接出されるより、割合のほうが判断がやわらぐからです。
たとえば「月3,000円を5,000円に」より「1日200円だけ」と言われたほうが応じやすい、というのと同じ心理です。給料の交渉でもこの考え方は使えます。
他社の提示年収を交渉材料にする
成功率を一番大きく左右するのが、他社の提示年収を交渉材料にすることです。同業他社からの内定があると、企業は「他に取られたくない」と動きやすくなります。
そのためにも、志望企業が1社だけでも、複数社の選考を同時に進めておくのがおすすめです。自分を競りにかける状態を作るわけです。
「A社B社から内定をいただいていて、御社が第一志望なのですが」と添えると効きます。
年収アップが目的ではない、という姿勢を見せるのがコツです。
もし高めのスカウトを集めて交渉材料にしたいなら、高年収帯の求人が多いビズリーチのようなスカウト型から登録しておくのがおすすめです。提示された額面はそのまま交渉の根拠に使えます。
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複数のエージェントを併用すると、内定や提示額をそろえやすくなります。使い分け方は以下の記事も参考にしてください。
【例文】面接・オファー面談での伝え方
対面で交渉するときは、相手の金額提示を受けてから切り出すと自然です。会話の流れの例を見てみましょう。
オファー面談での会話例
面接官「あなたの場合、月給28万円からを想定しています」
転職者「ありがとうございます。実は同業他社からもお話をいただいていまして、御社が第一志望です。今後を考えると、現年収の1割ほど上の水準だと大変ありがたいです」
ポイントは、感謝と入社意欲を先に伝えてから、根拠を添えて希望を出すことです。お願いでも要求でもなく、納得してもらう説明を意識しましょう。
【例文】メールで給与交渉する場合
交渉は対面やオンラインが基本ですが、やむを得ずメールで伝えるケースもあります。その場合は一文おわびを添えると印象がやわらぎます。
給与交渉メールの例文
お忙しいところ恐れ入ります。本来直接お伝えすべきところ、メールでのご連絡となり恐縮です。
提示いただいた条件について1点ご相談です。これまでの営業実績を踏まえ、年収◯◯万円ほどでご検討いただくことは可能でしょうか。
メールは表情やニュアンスが伝わりにくく、対面より交渉が難しくなります。可能なら面談の場で、相手の反応を見ながら伝えるほうが成功しやすいです。
転職時の給与交渉で失敗・後悔しないための注意点
交渉では、やってはいけないことを避けるのも同じくらい大切です。後悔しがちなポイントを2つにしぼって解説します。
その場で即答せず持ち帰る
企業から提示や回答をもらっても、その場で即決しないのがコツです。企業は最初から上限を出すとは限らず、まず低めの金額で様子を見ることがあるからです。
「家族とも相談したいので少し考える時間をください」と伝え、前向きに悩む姿勢を見せましょう。後日「やはり年収面で迷っています」と返すと、再検討してもらえるケースがあります。
ただし、引き延ばしすぎは禁物です。誠実に、しかし粘り強く、という距離感を保つのが大切です。
現年収の水増しは絶対にしない
希望額を吊り上げたくて現年収を多めに申告するのは絶対にやめましょう。ほぼ確実にバレますし、最悪の場合は内定取り消しや解雇につながります。
前の会社から住民税や年金の情報が引き継がれるので、年収のウソは必ず発覚します。
内定通知書には「虚偽申告は解雇」と書かれていることがほとんどです。
年収を上げたい気持ちはわかりますが、リスクが大きすぎます。実績の数字など、正直な材料で交渉するのが結局は一番の近道です。
自分で給与交渉をするのが心配なら転職エージェントに任せる
ここまで自分で交渉する方法を見てきましたが「うまくやれる自信がない」という人も多いはずです。その場合は、転職エージェントに交渉を任せるのが確実です。
エージェントを使えば、企業へ直接お金の話をする必要はありません。希望をエージェントに伝えておけば、本人に代わって適切なタイミングで交渉してくれます。
転職エージェントが本気で年収を上げにいくのには、明確な理由があります。エージェントの報酬は決定者の年収で決まる成功報酬だからです。
成功報酬は一般的に年収の30〜35%程度です。つまり、転職者の年収が上がればエージェントの報酬も増えるので、利害が一致します。
交渉のプロが、企業の担当者と相場をふまえて直接やりとりしてくれます。
個人で気まずい金額の話をするより、ずっと通りやすくなりますよ。
しかもサービスは無料で使えます。仕組みが気になる人は、料金や裏側の事情を解説した以下の記事もあわせて読んでみてください。
年収交渉まで任せたいなら、まずは実績豊富な大手に登録して、自分の希望を担当者に伝えるところから始めてみてください。リクルートエージェントやdodaが定番です。
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【FAQ】転職の給与交渉でよくある質問
最後に、転職の給与交渉について多く寄せられる質問にまとめて答えます。
賃金交渉と給与交渉に違いはありますか?
ほぼ同じ意味で使われます。給与・年収・賃金のどの言葉でも、企業に希望額を伝えて条件を調整する行為を指すので、呼び方を気にする必要はありません。
現職で社内の給料交渉はできますか?
できます。ただし転職時とは進め方が異なり、人事考課のタイミングや貢献度が上がった時期に、直属の上司へ相談するのが基本です。客観的な成果が前提になります。
年収以外の条件交渉もできますか?
可能です。入社時期や勤務地、役職、リモートの可否なども交渉対象になります。年収が相場で頭打ちなら、こうした条件で折り合いをつけるのも1つの手です。
給与交渉で年収が100万円上がることはありますか?
まれにあります。ただし、よほど企業が欲しがる希少なスキルを持つ場合に限られます。一般的な交渉での上げ幅は5〜10%程度と考えておくほうが現実的です。
給与交渉で内定取り消しになることはありますか?
めったにありません。ただし相場からかけ離れた高額に固執すると、合否に影響するケースはあります。希望と最低ラインを事前に決め、相場の範囲で交渉するのが安全です。
転職エージェントは年収交渉してくれないって本当?
誤解です。相場の範囲ならエージェントは交渉の戦術を持ち、複数内定を材料にする・割合で伝えるといった戦略を代行してくれます。担当者で力量に差があるので複数登録がおすすめです。
エージェントの評判や活用法は以下の記事も参考になります。
まとめ:転職の給与交渉は「準備とタイミング」で決まる
転職の給与交渉は誰でもでき、実際に4割の人が前職より年収を上げています。成否を分けるのは、相場の把握と、内定後〜承諾前という正しいタイミングです。
額面でそろえて伝える、他社の内定を材料にする、相場の範囲で希望を出す。この3つを押さえれば、交渉のハードルはぐっと下がります。
自分で交渉する自信がないなら、無理せず転職エージェントに任せるのが確実です。相場の確認から交渉の代行まで無料でサポートしてもらえます。
転職活動は動き出しが早いほど選択肢も広がります。気になる人は、まず無料登録で自分の市場価値と相場を確かめるところから始めてみてください。
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給与交渉で大事なのは「いつ」「どう伝えるか」です。ここを外すと印象を損ねます。
逆に押さえておけば、提示額から上げられる可能性は十分ありますよ。