言語聴覚士が年収600万円を実現するキャリアパスとは?キャリアのプロが解説

言語聴覚士が年収600万円を実現するキャリアとは?キャリアのプロが徹底解説

    言語聴覚士としてやりがいを感じる一方で、「給与が上がりにくい」という状況に、漠然とした不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

    この記事では、言語聴覚士が年収600万円を実現するための具体的なキャリア戦略を「転職」「昇進」「副業」「独立」の4つのパターンから詳しく紹介します。自分の状況と照らし合わせながら、最適なキャリアパスを見つけるヒントにしてください。

この記事を書いた人
末永雄大

末永雄大

新卒でリクルートエージェント(現リクルート)に入社。数百を超える企業の中途採用を支援。2012年アクシス(株)設立、代表取締役兼転職エージェントとして人材紹介サービスを展開しながら、年間数百人以上のキャリア相談に乗る。Youtubeチャンネル「末永雄大 / すべらない転職エージェント」の総再生回数は2,000万回以上。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック
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言語聴覚士の年収のリアルと600万円の壁

言語聴覚士としてやりがいを感じる一方で、「将来のキャリアや年収は、このままで良いのだろうか」と漠然とした不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

言語聴覚士にとって、年収600万円はなかなか届かない、1つの大きな目標となるラインと言えるでしょう。でも、正しい戦略を知れば、決して不可能な数字ではありません。

まずは、言語聴覚士の給与の実態について、統計データを参考に解説していきます。

平均年収と給与データの実態

厚労省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、言語聴覚士を含めたリハビリ職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士)の平均年収は約434万円で、これは日本の給与所得者全体の平均年収約464万円と比較すると、やや低い水準にあります。

リハビリ職 給与所得者平均
20~24歳 342.2万円 304.4万円
25~29歳 389.1万円 377.2万円
30~34歳 421.4万円 433.2万円
35~39歳 455.5万円 481.0万円
40~44歳 497.6万円 513.8万円
45~49歳 518.0万円 536.9万円
50~54歳 515.0万円 557.9万円
55~59歳 570.2万円 561.6万円
60~64歳 462.8万円 447.8万円
※参照:厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査
※平均年収=「決まって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出

年代別に日本の平均年収と比べてみると、20代から30代前半にかけては、リハビリ職の年収は給与所得者の平均を上回っており、若いうちから安定した給与を得やすい職であることが分かります。

一方で、30代以降は全体の平均年収の伸びに追いつかれ、その後は50代後半になるまで同じような差で推移します。これが、多くの言語聴覚士がキャリアの中盤で「年収の壁」や「給与の伸び悩み」を感じる理由のひとつです。

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言語聴覚士の年収は「キャリアの早い段階で安定するが、その後の伸びは緩やかになる」という特徴があります。


また、平均年収に関しては、リハビリ職全体の平均年齢が約38.3歳と若いので、比較的低く算出されてしまっているという側面もありますね。

なぜ言語聴覚士の年収は上がりにくいのか

キャリアの中盤から年収の伸びが緩やかになるのには、おもに2つの要因があります。

1つ目は、多くの職場が収入基盤としている診療報酬制度です。この制度では、リハビリの時間は「単位」で管理され、提供した単位に応じて「点数」が加算されます。その合計点数に「1点=10円」を掛けて、病院や施設の収益が計算される仕組みです。

1人の言語聴覚士が1日に提供できる単位数には上限が定められており、1日に生み出せる収益に上限があります。そのため、個人の頑張りがそのまま大幅な給与アップに直結しにくく、給与が安定する一方で頭打ちにもなりやすい、という背景があります。

2つ目の理由は、専門職としてのキャリアパスが限られていることです。管理職などのポストが少なく、多くの人が臨床の専門家としてキャリアを続けるため、給与の上がり幅にも上限が見えやすい傾向があります。

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このように、診療報酬の仕組みやキャリアパスといった業界全体の仕組みが、年収の伸び悩みに関係しています。


年収の悩みは、必ずしも個人の努力だけの問題ではありません。この状況を踏まえて、次の章から具体的な対策を考えていきましょう。

言語聴覚士の年収600万円を叶えるキャリア

この章では、年収600万円という目標を達成するためのおもな選択肢として、「転職」「現職でのキャリアアップ」「副業」「独立・開業」の4つの方法を解説していきます。どの選択肢が自分に合っているか、一緒に考えてみましょう。

①転職で年収・キャリアをリセットする

現職での昇給が難しいと感じる場合、転職は年収を上げるための一つの有効な手段です。同じ職場で昇給を待つよりも、今の経験やスキルをより高く評価してくれる環境へ移ることで、給与水準が大きく変わる可能性があるからです。

とくに、給与水準が高い訪問リハビリや一般企業へキャリアチェンジすることで、大幅な年収アップのきっかけにもなり得ます。

一方で、転職は慎重に考えるべき選択肢でもあります。現職と並行して進める転職活動は心身ともに負担がかかり、転職後に人間関係や業務に馴染めないといったリスクも考えられます。

また、必ずしも年収が上がる保証はなく、基本給は上がっても賞与が減り、結果的に年収が下がってしまうケースもゼロではありません。

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転職は大きな可能性を秘めていますが、こうしたリスクも踏まえた上で、長期的な視点で検討することが大切です。

②現職で管理職・スペシャリストを目指す

転職という環境の変化を伴う方法だけでなく、今いる職場で着実にキャリアを築き、年収を上げていくことも有力な選択肢です。腰を据えたキャリアを考えたい人にとっては、リスクの少ない安定した道と言えるかもしれません。

キャリアパスの1つは、リハビリ部門のリーダーや主任といった管理職を目指すことです。臨床スキルに加えて、スタッフ育成や他部署連携といったマネジメント能力が求められますが、役職に就くことで役職手当が付き、年収600万円の目標に近づきます。

もう1つのキャリアパスは、摂食嚥下や小児といった特定の分野を極めるスペシャリストの道です。高度な専門性が評価され、資格手当や昇給に繋がるケースがあります。

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ただし、職場にこうしたキャリアアップの制度やポストがなければ、この選択肢を選ぶのは難しいのが現実です。


まずは勤務先の給給テーブルや、先輩たちのキャリアパスがどうなっているかを確認することから始めてみましょう。

③副業で収入の柱を増やす

本業の給与が上がらない際に検討すべき方法が、副業で収入源を増やすことです。本業の経験を活かしながら、プラスアルファの収入を得ることで、目標達成に近づくことができます。言語聴覚士の専門性を活かせる副業は、いくつか選択肢があります。

言語聴覚士の専門性を活かせる副業

  • 非常勤として別の職場で働く
  • 休日の時間などを使って、別のクリニックや施設で言語聴覚士として働く方法です。最も直接的に専門性を活かして収入を得られます。

  • 医療・介護系のWebライター
  • 専門知識を活かして、ウェブサイトの記事を執筆します。パソコンがあれば、在宅で自分のペースで進めやすいのが魅力です。

  • セミナーや研修の講師
  • 自身の得意分野について、学生や若手の同業者、あるいは介護施設の職員などを対象に、セミナーや研修を行います。

ただし、副業を始める前には、本業の勤務先の就業規則を必ず確認するようにしましょう。副業が禁止されていたり、事前の許可が必要だったりするケースも少なくありません。

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本業に支障が出ないよう、無理のない範囲で始めること、そして体調管理をしっかり行うことも忘れないようにしましょう。


副業は、収入を増やすだけでなく、本業では得られない経験や人脈に繋がる可能性もある選択肢です。

④開業・独立で収入の上限をなくす

これまで紹介した中で、最も大きく収入を伸ばせる可能性を秘めているのが、自身の事業所を立ち上げる独立・開業という道です。年収600万円はもちろん、それ以上を目指すことも可能になりますが、相応のリスクが伴う選択肢でもあります。

最大のメリットは、診療報酬制度による収入の上限から解放されることです。事業が軌道に乗り、経営がうまくいけば、従業員として働く場合と比べて収入が大きく増える可能性があります。

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また、自身の理想とするリハビリテーションの形や、自由な働き方を追求できるという大きなやりがいも得やすいですね。

一方で、デメリットも大きいのが現実です。まず、開業には事務所の賃料や設備の購入など、多額の初期投資が必要です。事業が安定するまでは収入がゼロ、あるいはマイナスになるリスクも覚悟しなくてはなりません。

さらに、臨床業務に加えて、経営・経理・人材採用・営業といった、これまで経験のない業務も行う必要があります。独立・開業は、臨床経験だけでなく、経営に関する深い知識と入念な準備、そして強い覚悟が求められる道です。

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すぐの独立・開業は難しくても、将来的なキャリアの選択肢の一つとして、情報を集めておくのも良いかもしれません。

【モデルケース解説】キャリアパスの具体例

ここでは、年収アップを実現する上でよく見られる、キャリアパスの具体のパターンを解説しますので、イメージを掴む参考にしてみてください。

パターン1:訪問リハビリへ転職し、インセンティブで収入を上げる

病院勤務である程度の経験を積んだ後、給与水準が比較的高い訪問リハビリへ転職するケースです。

病院で培った多様な症例への対応力を、転職の場で「どのような状況でも成果を出せる応用力」としてアピールします。

インセンティブ制度が整っている事業所であれば、自身の頑張りが収入に反映されやすく、年収の大幅な向上も期待できます。自身の経験価値をより高く評価してくれる市場へ戦略的に移るという考え方ですね。


パターン2:現職で管理職へ昇進し、役職手当で収入を上げる

現在の職場で臨床経験を重ね、リハビリ部門のリーダーや主任といった管理職を目指す道です。日々の臨床業務に加えて、後輩指導やチーム運営、他部署との連携などに積極的に関わることでマネジメント能力を養います。

組織への貢献とリーダーシップが評価されれば、役職者として昇進し、手当によって安定的に年収を向上させることができます。


パターン3:専門知識を活かして副業を始める

本業で培った特定の分野(小児や摂食嚥下など)の専門知識を、別の形で収入に繋げるパターンです。医療・介護系のメディアで専門記事を執筆するWebライターや、セミナー講師などが代表例として挙げられます。

本業の知識が直接的な価値となるため、比較的高単価の仕事に繋がりやすく、着実に全体の収入を底上げすることができます。


このように、年収アップに至る道は1つではありません。これらのパターンをヒントに、自分に合ったキャリアの築き方を考えてみましょう。

言語聴覚士の年収600万円以上の求人例

ここからは、実際にどのような求人で年収600万円以上が提示されているのかを一緒に見ていきましょう。

今回は、訪問リハビリ・管理職・一般企業という3つの異なる求人を取り上げ、それぞれどのような経験やスキルが評価されているのかのポイントを解説します。

求人例①:訪問リハビリテーション

年収600万円以上を目指せる代表的な働き方の一つが、訪問リハビリテーションです。まずは、実際の求人例を詳しく見てみましょう。

訪問リハビリテーション
雇用形態 正社員
勤務地 東京都足立区
仕事内容 訪問看護ステーションにおける訪問リハビリ業務(成人部門・小児部門あり)
給与 年収430万円~650万円程度
給与備考 基本給:230,000円~350,000円。インセンティブ制度あり
手当・福利厚生 住宅手当(月1万円)、家族手当(子1人につき月1万円)、役職手当、食事手当など
勤務時間 8:45~22:30の間でシフト制(1日実働8時間、休憩60分)
休日休暇 週休2日制(土日)、年末年始休暇、夏季休暇、有給休暇
経験・スキル 言語聴覚士免許(必須)
出典:マイナビコメディカル
株式会社Hale ハレノヒ訪問看護ステーションの求人情報より

この求人のように、訪問リハビリ分野で高年収が期待できる大きな理由は、インセンティブ(成果報酬)制度を導入している事業所が多い点です。

基本給に加えて、訪問件数などに応じた手当が上乗せされるため、自身の頑張りが収入に反映されやすい仕組みになっています。ただし、その分、病院などの組織で働くのとは異なるスキルも求められます。

基本的には一人で利用者のもとへ訪問することが多いので、スケジュールを管理する能力や、その場で的確な判断を下す自己解決能力が重要になります。高い専門性に加え、自己管理能力に自信がある人にとっては大きなリターンが期待できる働き方です。

末永雄大 末永

将来的に訪問リハビリの分野で活躍したいと考えるなら、若いうちから、病院や施設での臨床経験に加えて、一人で業務を完結させる力を意識することが大切です。


例えば、担当患者のリハビリ計画の立案から、家族への説明、他職種への報告・連絡まで主体的に関わり、一連の流れを自分で管理する経験を積んでいきましょう。


また、移動手段となる自動車・原付免許の取得や、地域の介護保険制度について学んでおくことも、意外と有効な準備になりますね。

末永雄大 末永

転職経験のない人は「ほんとにそんな些細な行動でも評価されるの?」と疑問に思うかもしれません。


しかし、転職においては採用側も育成コストの少ない自立した人材が欲しいため、日々の積み重ねによる能力や、意識の高さ自体も十分に評価されますよ。

求人例②:管理職・施設長候補

臨床現場での経験を活かし、チームや組織全体をまとめる管理職や施設長候補として、年収600万円以上を目指す道もあります。実際の求人例を詳しく見てみましょう。

管理職候補(事業運営)
雇用形態 正社員
勤務地 大阪府東大阪市
仕事内容 訪問看護ステーションのお客様獲得の戦略立案と実行
事業所運営(メンバーの育成、売上管理等)
訪問看護ステーションと訪問診療クリニックにおいて地域No.1を目指す事業運営
将来の会社の中核を担う人材としての活躍
給与 年収500万円~650万円(経験・スキルによる)
手当・福利厚生 昇給年2回
社会保険完備(雇用、労災、健康、厚生年金)
勤務時間 9:00~18:00(休憩60分)
休日休暇 週休2日制、年末年始休暇、夏季休暇(年間休日114日)
経験・スキル 言語聴覚士免許
普通自動車運転免許(必須)
出典:マイナビコメディカル
株式会社Growth storyの求人情報より

この求人で注目すべきは、業務内容が臨床業務そのものではなく、事業所の運営に大きくシフトしている点です。スタッフの育成や売上の管理、さらには顧客獲得のための戦略立案まで、経営に近い視点が求められますね。

このような管理職・幹部候補の求人では、一定の臨床スキルと、組織全体を成長させる能力が評価されます。チームを牽引するマネジメント能力、売上や経費を管理する計数管理能力などが臨床スキルに加えて求められることで、高年収になっています。

チームや事業そのものを動かし、育てることに興味がある人にとっては、大きなやりがいと高い報酬が期待できるキャリアパスと言えるでしょう。

末永雄大 末永

一人の臨床家として周囲から信頼されることはもちろんですが、20〜30代のうちから、後輩指導やチームの勉強会企画など、小さなマネジメント経験を意識的に積んでいきましょう。

求人例③:一般企業

臨床を離れ、一般企業で専門知識を活かすという道も、年収600万円以上を目指せるキャリアパスです。実際の求人例を見てみましょう。

一般企業(学術・営業)
雇用形態 正社員
勤務地 東京都港区
仕事内容 担当する病院・施設への訪問、排泄ケアの改善提案
介護用商品の紹介、販売促進、ニーズのヒアリング
商品の正しい使用方法の案内、勉強会の企画・運営
給与 年収450万円~650万円
手当・福利厚生 賞与年6ヶ月(過去実績)、通勤手当(全額)、営業日当、社員持株会、育児・介護休職制度など
経験・スキル 言語聴覚士免許、普通自動車運転免許、基本的なPC操作(必須)
出典:マイナビコメディカル
ユニ・チャーム株式会社の求人情報より

この求人の特徴は、言語聴覚士としての役割が「治療を提供する専門家」から「製品価値を伝え課題を解決する専門家」へと変わっている点です。

臨床知識に加えて、医療機関に対して提案を行う営業力や学術的な知識が、高い評価と年収に繋がります。自身の専門性をビジネスの世界で試したい、より広く価値貢献したいと考える人には、大きな可能性がある働き方です。

末永雄大 末永

将来、一般企業へのキャリアチェンジを考えるなら、臨床経験を積むと同時に、人に何かを伝える経験を意識的に積んでいくことが有効です。

末永雄大 末永

例えば、院内カンファレンスでの発表や、患者家族への説明の工夫は、企業で求められるプレゼン能力や提案力に直結します。


また、関心分野の論文を読み、最新の学術知識を追い続けることもアピールポイントになります。

年収を上げる人の共通点

ここまで紹介したキャリア戦略を成功させるには、実はその土台となる「考え方」がとても大切です。

年収を上げ、長期的に活躍する人の多くは、目先の給与だけでなく、5年後・10年後を見据え、常に自身の市場価値を意識し、計画的に高めていこうとしています。この章では、そのために欠かせない3つのポイントを解説していきます。

経験やスキルを言語化できる

年収アップを実現する人に共通する1つ目のポイントは、自身の経験や培ったスキルを、相手に伝わる言葉で「言語化」できることです。

日々の臨床で優れたリハビリを提供していても、その価値が職務経歴書や面接の場で的確に伝わらなければ、正当な評価には繋がりません。

リハビリ職の中でも、とくに専門性が理解されにくい傾向にある言語聴覚士の仕事では、「その経験を通して、どのような再現性のあるスキルを身につけたのか」を、分かりやすく説明することがより重要になります。

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単に「○○の経験があります」と伝えるのでは、具体的にどのようなことができるのかが伝わり切らず、もったいないですね。


「他職種と連携し、個別の訓練計画を立案・実行することで、○○という成果に繋げた経験があります」のように、具体的な行動と成果をセットで話せることが、自身の価値をしっかり伝える上でとても大切です。

長期的なキャリアプランを考えている

年収アップを実現する人に共通する2つ目のポイントは、目先の業務や給与だけでなく、5年後、10年後に自分がどうなっていたいかという「長期的なキャリアプラン」を持っていることです。

将来の目標が明確であれば、その達成のために「今、何を学ぶべきか」「次にどんな経験を積むべきか」といった選択に一貫した軸が生まれます。行き当たりばったりのキャリア選択を防ぎ、一つ一つの経験を将来に繋げていくことができます。

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はじめは、「特定の分野の専門性を深めたい」「マネジメントに挑戦したい」など、ぼんやりとした方向性で良いです。


まずは現時点での将来の理想像を描いてみることが、自身のキャリアを考える上でのスタートラインになりますよ。

自分の市場価値を客観的に把握している

年収アップを実現する人に共通する3つ目のポイントは、言語聴覚士としての市場価値を、感情や思い込みではなく、客観的な視点で把握していることです。

市場価値とは、「現在の経験やスキルを持つ人材」に対して、転職市場がいくらの給与を支払うかという、いわば相場のようなものです。

「日々の臨床で患者さんと真摯に向き合っている」という実感や貢献度と、転職市場で評価される「経験年数」「マネジメントスキル」といった指標との間には、ギャップが生まれることが少なくありません。

末永雄大 末永

まずは求人サイトで、現在の経験年数に近い求人が、どのような給与でどんなスキルを求めているかを確認してみることから始めましょう。

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また、転職を検討している人は、リハビリに特化した転職エージェントに相談し、客観的な評価を聞いてみるのも有効な方法です。


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以下の記事では、言語聴覚士の転職におすすめの転職サイト・転職エージェントをまとめているので、自分の転職状況に最適なサービスを見極めたい人はぜひ読んでみてください。

年収を上げるための転職エージェント活用法

年収アップを目指して転職活動を始めても、自分に合う求人が見つからなかったり、選考がうまくいかなかったりと、たびたび壁にぶつかることがあると思います。

そんな時に、転職成功のパートナーとなるのが、キャリアの専門家である転職エージェントです。転職エージェントでは、求人紹介だけでなく、キャリア相談・非公開求人の紹介・選考対策など転職活動のあらゆる場面で専門的なサポートが受けられます。

この章では、現役の転職エージェントならではの視点で、求職者側に実践して欲しい「転職エージェントをさらに効果的に使う方法」を解説していきます。

①キャリアの壁打ちと自己分析

転職エージェントを活用する1つ目のメリットは、キャリアの専門家を「壁打ち」の相手として、客観的な自己分析を深められることです。

転職エージェントでは、第三者の客観的な視点から「その経験は、転職市場ではこういう強みとして評価されますよ」「こういうキャリアの可能性も考えられますね」といった、自分では気づけなかった新たな発見を得ることができます。

この「壁打ち」をより効果的にするために、相談の際には以下の点を意識してみましょう。

キャリア相談・壁打ちのポイント

1

事前に経歴や悩みを書き出しておく

職務経歴書のような完璧な形にする必要はありません。「これまで何をしてきたか」「今、何に悩んでいるか」をメモ程度にまとめておくだけで、面談の質が格段に上がります。

2

見栄を張らず素直に話す

キャリアアドバイザーは採用者ではなく、味方です。うまくいかなかった経験や、言語化できないモヤモヤも、正直に話すことで、より的確なアドバイスに繋がります。

3

積極的に質問する

「私の市場価値はどのくらい?」「他にどんな選択肢がある?」など、疑問に思ったことは遠慮なく質問しましょう。対話を通して、思考が整理されていきます。

完璧な質問である必要はありません。「いまの話もう少し詳しく聞きたいです」「何となくその選択肢はしっくりきません」など、対話の中で感じたことを素直に伝えるだけで十分です。こうした一言が、アドバイザーがより良い提案をするためのヒントになります。

②条件の良い非公開求人

転職エージェントを活用する2つ目のメリットは、一般の求人サイトには掲載されていない「非公開求人」を紹介してもらえることです。

こうした求人は、企業が重要なポジションを極秘で募集していたり、応募の殺到を避けたかったりする背景から、一般には公開されません。そのため、待遇の良いポジションや、重要な役職の募集が隠れていることも少なくないのです。

末永雄大 末永

「自分の経歴では、そんな良い求人は紹介してもらえないだろう」と考える人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。


非公開求人は、高い経歴の人だけを対象にしているのではなく、特定のスキルや今後のポテンシャルを評価して採用したいというケースも多く含まれています。

この「非公開求人」の紹介を最大限に活用するために、以下の点を意識してみましょう。

非公開求人を紹介してもらうためのポイント

1

希望や懸念を正直に伝える

キャリアアドバイザーは、信頼できる人にこそ、とっておきの求人を紹介したいと考えるものです。経歴や希望条件、そして不安な点も正直に伝えることが、より良い提案を引き出すために重要です。

2

譲れない条件を明確にする

「給与」「勤務地」「業務内容」など、転職において絶対に譲れない条件を明確にしておきましょう。軸がはっきりしていると、エージェントもそれに合った求人を探しやすくなります。

3

希望と違う点は遠慮なく伝える

紹介された求人が希望と違った場合、「意見を言うと、わがままな人だと思われないか」と心配になる人もいるかもしれません。

しかし全くそんなことはなく、むしろ「この求人の○○という点は魅力的ですが、△△の点が希望とズレます」と具体的に伝えることで、アドバイザーも提案する求人の解像度を上げることができます。

年収600万円以上といった好条件の求人は非公開のケースも多いため、高年収の求人を探す際はとくに転職エージェントに相談するのが効率的です。

リハビリ職におすすめの転職サイト

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③書類添削・面接対策

転職エージェントを活用する3つ目のメリットは、応募書類の添削や面接対策といった、選考通過率を上げるためのサポートを受けられることです。

言語聴覚士における素晴らしいアピールポイントを持っている人でも、それを採用側に響く言葉で職務経歴書に落とし込めている人は、意外と多くありません。

とくに年収アップを目指す転職では、これまでの経験をいかに「年収に見合う価値」として伝えられるかが重要になります。このサポートを最大限に活かすために、以下の点を意識してみましょう。

書類添削・面接対策のポイント

1

専門性と成果を具体的に考えてみる

「どんな症例を、どれくらい担当したか」という経験の幅と量に加えて、「その結果、どのような改善が見られたか」という具体的な成果をあらかじめ洗い出しておき、キャリアアドバイザーと一緒に言語化していきましょう。

2

再現性のあるスキルをアピールする

模擬面接を通して、「貴院でも、これまでの○○の経験を活かして、チームにこのように貢献できます」といったように、自身のスキルが次の職場でも役立つことを、説得力を持って話す練習をします。

実際の面接を想定した練習と、客観的なフィードバックが、自信を持って本番に臨むための何よりの準備になります。また、話し方や表情の癖など、自分では気づきにくい改善点も発見することができます。

【まとめ】言語聴覚士の年収とキャリア

ここまで、言語聴覚士の年収の実態と、年収600万円を目指すための具体的なキャリア戦略について解説してきましたがいかがだったでしょうか。

診療報酬の仕組みなどから、同じ職場で働き続けるだけでは年収が上がりにくい現状がある一方で、個人としては転職や現職でのキャリアアップ、副業など、年収アップのための様々な選択肢があります。

大切なのは、現状を客観的に把握し、長期的な視点で自分に合った戦略を立てて行動することです。何から始めて良いか分からないという人は、まずは以下の3つのアクションから試してみてください。

すぐにできる3つのアクション
1. 直近1年間の自分の業務内容を3つ書き出してみる
2. 5年後どんな働き方をしていたいか理想を1つ書き出してみる
3. 情報収集として気になる求人サイトを1つ見てみる

末永雄大 末永

まずは小さく行動を起こしていくことが、キャリアを大きく変えるきっかけとして重要です。


もし、キャリアプランをより具体的に考えたい、客観的なアドバイスが欲しいと感じたら、転職エージェントに相談してみるのも有効ですよ。

リハビリ職におすすめの転職サイト

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言語聴覚士の年収・キャリアのよくある質問

言語聴覚士として年収アップを目指したいものの、「本当に600万円は可能なのか」「自分のキャリアはこのままでいいのか」といった疑問や不安を持つ人も多いのではないでしょうか。

ここでは、言語聴覚士の年収やキャリアに関するよくある質問と回答をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

言語聴覚士で年収600万円に到達するのは何年目くらいですか?

一概には言えませんが、目指すキャリアの道筋によって、現実的な年数は変わってきます。

例えば、一つの病院や施設で経験を積み、主任やリハビリ科長といった管理職になることで年収600万円を目指す場合、10年~15年以上の経験を積み、30代後半から40代でそのポジションに就いて達成する、というのが一つのモデルケースになります。

一方で、より短い期間を目指すのであれば、5年前後の臨床経験を積んだ上で、給与水準の高い訪問リハビリ分野や一般企業へ転職するという選択肢があります。この場合、20代後半から30代前半で目標を達成できる可能性も出てきます。

経験年数だけでなく、どのタイミングで、どのようなキャリアの選択をするかが、到達期間を大きく左右します。

言語聴覚士の最高年収はいくらくらいですか?

働き方によって大きく異なりますが、病院や施設で管理職やトップクラスの専門家として働く場合、年収700万円~800万円が最高年収の目安と考えられます。

さらに、独立・開業して事業が軌道に乗った場合には、この上限はなくなり、年収1,000万円を超えることも十分に可能です。

今後、言語聴覚士の給料は上がりますか?

業界全体の平均給与が、今後大きく上がることは考えにくいかもしれません。その背景として、国の定める診療報酬が急激には上がりにくいことや、言語聴覚士の有資格者数が増加傾向にあることが挙げられます。

しかし、個人の給与を上げることは十分に可能です。日本の高齢化に伴い、特に摂食嚥下などの分野では、言語聴覚士の専門性が求められる場面が在宅医療などを中心に増え続けているからです。

全体の平均値に左右されず、自身の専門性を高め、市場価値を意識したキャリアを築くことが、将来の年収アップに繋がります。

言語聴覚士の仕事は将来的に飽和状態になりますか?

有資格者の数は年々増えているため、楽観はできません。しかし、日本の高齢化に伴い、特に在宅医療や介護施設における摂食嚥下などの専門的なニーズは、むしろ高まっています。

これからは、ただ資格を持っているだけでなく、「この分野なら、この人に頼みたい」と言われるような、高い専門性を身につけることが、飽和しない人材になるための鍵になると考えられます。

公務員の言語聴覚士の給料はどのくらいですか?

公務員の給与は、国や自治体が定める「俸給表」という給与テーブルに基づいて決まります。大卒初任給の目安は、各種手当を含め年収350万円~450万円ほどですが、勤続年数に応じて着実に昇給していくのが特徴です。

例えば、30代で500万円前後、40代で管理職の一歩手前になると600万円台に到達するのが、一般的なモデルケースと考えられます。

働き方としては、公立病院での臨床業務のほか、保健所での乳幼児の発達相談や、児童相談所で専門的な評価・指導を行うなど、その役割は多岐にわたります。

産休・育休後のキャリアや年収はどうなりますか?

復職直後は、子育てと両立しやすい時短勤務や、週2~3日程度のパートタイム勤務からキャリアを再開する人が多いです。

その場合、年収は下がりますが、言語聴覚士は専門職のため、各種求人サイトの募集を見ても、パートの時給は1500円~2000円以上と、比較的高水準を維持しやすいのが特徴です。

言語聴覚士は、パート期間中の臨床経験もキャリアとして評価されるため、再び常勤として復帰する際に、産休・育休前の給与水準や待遇を比較的取り戻しやすいです。

年収アップ目的の転職は、面接でどう伝えればいいですか?

ストレートに「年収を上げたい」とだけ伝えるのは、仕事そのものへの意欲が低いと受け取られる可能性があるので、なるべく避けた方が良いです。

大切なのは、「より責任の重い仕事に挑戦し、自身の貢献や成果に見合った評価を得たい」というように、前向きな成長意欲や、仕事への貢献意欲とセットで伝えることです。自身のスキルアップが、企業の利益と、自身の年収向上にどう繋がるのかを説明できると、説得力が増します。

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