公務員のキャリアプランの立て方を転職のプロが解説!将来設計のポイントと実現方法

公務員 キャリアプラン

    この記事の要約
    • 公務員のキャリアの選択肢
    • 実現のための5ステップ
    • 公務員は民間転職がおすすめ
この記事を書いた人
末永雄大

末永雄大

新卒でリクルートエージェント(現リクルート)に入社。数百を超える企業の中途採用を支援。2012年アクシス(株)設立、代表取締役兼転職エージェントとして人材紹介サービスを展開しながら、年間数百人以上のキャリア相談に乗る。Youtubeチャンネル「末永雄大 / すべらない転職エージェント」の総再生回数は2,000万回以上。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック
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公務員がキャリアプランを立てるべき理由

安定しているためキャリアプランなんて必要ないと思いがちですが、公務員こそキャリアプランを立てるべきです。なぜなら、終身雇用が前提の公務員組織では自分から主体的にキャリアを考えないと、気づいたときには選択肢が狭まってしまうからです。

ここでは、公務員がキャリアプランを立てるべき理由を紹介します。

定期的な異動で専門性が身につきにくい

公務員は2〜3年ごとの定期異動が一般的です。そのため、深い専門性を築く前に部署が変わってしまい、「何でもできるが、何のスペシャリストでもない」状態になりやすい傾向があります。

異動による影響

  • スキルの蓄積が難しい:部署が変わるたびに新しい業務を覚え直す
  • 専門性の証明が困難:民間転職を考えたときに「武器」が少ない
  • キャリアの方向性が見えにくい:どの分野を伸ばすべきか判断しづらい
  • 市場価値の把握が難しい:自分のスキルが民間でどう評価されるか不明

このような状況だからこそ、意識的にキャリアの軸を持ち、異動の中でもスキルを積み上げていく視点が必要です。

年功序列で自己成長の機会が限られる

公務員組織では、成果よりも在籍年数が評価される傾向があります。そのため、自ら学習・スキルアップしないと現状維持で終わってしまうリスクがあります。

年功序列の課題

昇進のスピード

年次でほぼ決まっており、成果を出しても早期昇進は難しい


給与の伸び

給与表で明確に決まっており、大幅な収入アップは期待しにくい


成長機会

自ら求めないと新しいスキルを習得する機会が限られる

40代になって初めてキャリアの限界に気づき、「もっと早く準備しておけばよかった」と後悔する公務員の人も少なくありません。

末永雄大

末永

メガホン 公務員のキャリア相談でよく聞く悩み

これまで多くの公務員の方のキャリア相談に乗ってきましたが、特に若手の公務員で「このまま定年まで同じような仕事をするのか」と不安を感じる人が非常に多いです。


だからこそ、20代・30代前半のうちから主体的にキャリアを考えることが重要なんです。

公務員以外の選択肢を持つことで精神的安定につながる

「公務員しか知らない」という状態は、実はリスクです。いざというときの転職可能性を持つことで、仕事へのモチベーションが上がり、精神的な安定にもつながります

選択肢を持つメリット

  • 心の余裕が生まれる:「いつでも辞められる」という選択肢が精神的余裕を作る
  • 主体的な働き方ができる:組織に依存せず、自分のキャリアを自分で決められる
  • 交渉力が高まる:転職可能性があることで、組織内での発言力も増す
  • 人生の選択肢が広がる:起業、副業、地方移住など、様々な可能性を検討できる

キャリアプランを立てることは「公務員を辞める準備」ではなく、「いつでも選択できる状態を作ること」です。結果的に公務員を続けるとしても、主体的に選んだ結果であれば、仕事への向き合い方も変わります。

【2パターン】公務員のキャリアプランの選択肢

公務員のキャリアプランは大きく「①昇進・専門性強化」「②民間転職」の2パターンに分けられます。それぞれメリット・デメリットがあり、自分の価値観と照らし合わせることが重要です。

ここでは、それぞれの選択肢について詳しく解説します。

パターン①:公務員として昇進・専門性を高める道

公務員組織の中でキャリアを積み、管理職やスペシャリストを目指す道です。

昇進・専門性強化のキャリアパス

管理職を目指す場合

係長→課長補佐→課長→部長と段階的に昇進。マネジメントスキルと組織運営能力が求められる


スペシャリストを目指す場合

税務、法務、IT、都市計画などの専門分野でエキスパートになる。専門職採用や資格取得でキャリアを深める


人事交流・出向を活用

他自治体、民間企業、国際機関への出向で経験の幅を広げる

このパターンのメリット・デメリット

メリット

  • 雇用の安定性が高い
  • 社会貢献の実感が得られる
  • 福利厚生が充実している
  • 地域に根ざした働き方ができる

デメリット

  • 年功序列で昇進スピードが遅い
  • 給与の大幅アップは期待しにくい
  • 組織の意思決定スピードが遅い
  • 民間と比べて裁量権が限られる

パターン②:民間企業への転職を視野に入れる道

公務員での経験を活かして民間企業へ転職するキャリアです。20代・30代前半であれば未経験業界への転職も十分可能です。

公務員経験が評価される転職先

コンサルティング業界

行政の仕組みを理解した公共系コンサルタント、DXコンサルタントとして活躍


インフラ・不動産業界

行政手続きや規制の知識を活かした渉外担当、事業開発職として評価される


人材業界

公務員試験予備校、キャリアアドバイザー、研修講師として経験を活かせる


IT・SaaS業界

自治体向けシステムの営業・導入支援で公務員経験が強みになる

年代別の転職難易度

年代 転職難易度 ポイント
20代 易しい ポテンシャル採用で未経験業界も可能
30代前半 普通 公務員経験を強みに変換できれば十分可能
30代後半 やや難しい 専門性や実績の明確化が必要
40代以降 難しい 管理職経験や特定分野の専門性が必須

このパターンのメリット・デメリット

メリット

  • 収入アップの可能性が高い
  • スキルの市場価値が高まる
  • スピード感のある環境で成長できる
  • 成果が評価される働き方ができる

デメリット

  • 雇用の安定性が下がる
  • 競争環境への適応が必要
  • 残業や転勤の可能性がある
  • 福利厚生が公務員より劣る場合も
末永雄大

末永

メガホン 公務員から民間転職で成功する人の特徴

これまで多くの公務員の転職支援をしてきましたが、成功する人には共通点があります。


それは「公務員での経験を民間企業の言葉に翻訳できる人」です。例えば、「予算折衝の経験」を「利害関係者との調整力」と言い換えるなど、公務員特有の経験を民間で通用する言葉で説明できることが重要です。


逆に失敗する人は「公務員だから民間では通用しない」と自分を過小評価してしまう人です。実際には、公務員で培った調整力、書類作成力、マルチタスク対応力は民間でも高く評価されますよ。

公務員がキャリアプランを実現するための5つのステップ

キャリアプランは「作って終わり」ではなく、定期的に見直しながら実行することが重要です。以下の5ステップで進めましょう。

STEP1:現状の棚卸し(自己分析)

まずは、これまでの業務経験と身につけたスキルを洗い出します。

自己分析のポイント

業務経験の棚卸し

  • どの部署でどんな業務を担当したか
  • どんな成果を出したか
  • どんな困難を乗り越えたか

スキルの洗い出し

  • 書類作成力、プレゼン力、調整力など
  • 専門知識(法律、税務、ITなど)
  • 資格・免許

価値観の明確化

  • 何にやりがいを感じるか
  • 何を大切にしたいか(安定、成長、収入、ワークライフバランスなど)
  • どんな働き方が理想か

この段階では、「公務員としての経験」を「ポータブルスキル」として言語化することが重要です。

STEP2:将来のゴール設定(3年後・5年後・10年後)

「どんな働き方をしていたいか」を具体的にイメージします。抽象的な目標ではなく、できるだけ具体的にイメージすることがポイントです。

ゴール設定の例

3年後

「課長補佐に昇進し、予算規模5億円のプロジェクトを統括している」「民間企業に転職し、年収600万円・週3在宅勤務を実現している」


5年後

「課長として部下5名のマネジメントをしている」「コンサルファームで年収800万円を達成している」


10年後

「部長として地域政策の立案を主導している」「独立して地方創生コンサルタントとして活躍している」

末永雄大

末永

メガホン ゴール設定で大切なこと

キャリアのゴール設定で大切なのは、「収入」「やりがい」「ワークライフバランス」のバランスです。


すべてを完璧に満たすキャリアはありません。自分が何を優先したいのかを明確にすることで、現実的なゴールが見えてきます。

STEP3:必要なスキル・経験の特定

ゴール達成に必要なスキルと、現在の自分とのギャップを明確にします。

スキルギャップの洗い出し方

目標とする人物像を設定

自分がなりたいポジションにいる人が、どんなスキル・経験を持っているか調査する


現状とのギャップを特定

「持っているスキル」と「必要なスキル」の差分をリストアップする


習得優先順位を決める

重要度と緊急度から、どのスキルから身につけるか優先順位をつける

スキル習得の方法

  • 資格取得:簿記、宅建、中小企業診断士など
  • 異動希望:希望部署への異動で実務経験を積む
  • 自己学習:オンライン講座、書籍、勉強会への参加
  • 副業・プロボノ:実践的にスキルを磨く
  • 転職エージェント相談:市場価値を客観的に把握する

民間転職を視野に入れる場合は、早めに転職エージェントに相談して「今の自分の市場価値」を知っておくことが重要です。

STEP4:短期アクションプランの策定

半年〜1年単位での具体的な行動計画を立てます。「何を」「いつまでに」「どのように」を明確にすることで、実行可能性が高まります

アクションプランの例

今月やること

  • 簿記3級の参考書を購入して学習開始
  • 転職エージェントに登録して市場価値を確認
  • 異業種交流会に1回参加する

3ヶ月後までにやること

  • 簿記3級に合格する
  • 希望部署への異動希望を上司に相談
  • 月1回のペースで業界研究を進める

半年後までにやること

  • 簿記2級の学習を開始
  • 転職エージェントと面談して具体的な求人を見る
  • 職務経歴書を作成してブラッシュアップ

小さな成功体験を積み重ねることで、モチベーションを維持しながら進められます。

STEP5:定期的な見直しと軌道修正

キャリアプランは一度立てたら終わりではありません。3ヶ月〜半年ごとの振り返りと軌道修正が成功の鍵です。

見直しのポイント

進捗確認

アクションプランがどこまで実行できたか、できなかった理由は何かを振り返る


環境変化の反映

組織の変化、家族の状況変化、市場環境の変化を考慮して計画を調整する


ゴールの再確認

当初設定したゴールが本当に自分の望むものか、改めて考える

末永雄大

末永

メガホン 第三者の視点を入れる重要性

キャリアプランの見直しでは第三者の視点を入れることが非常に重要です。


自分だけで考えるとどうしても視野が狭くなったり、現実的でない計画になったりします。転職エージェントやキャリアコンサルタントなど客観的にアドバイスしてくれる人に相談することで、より現実的で実現可能性の高いキャリアプランが作れます。


「今すぐ転職するつもりはないけど、将来の選択肢を知りたい」という相談も大歓迎ですよ。


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公務員から民間転職を考えるなら知っておくべきこと

公務員から民間転職を考えている人に向けて、転職で評価される強みと苦戦しやすいポイントを正直にお伝えします。

公務員が転職で評価されやすい強み

公務員での経験は、民間企業でも高く評価されます。特に以下の強みは転職市場で武器になります。

公務員の強み

高い調整力

多様な利害関係者との調整経験は、民間でも必須のスキル。特にBtoB営業やプロジェクトマネジメントで評価される


書類作成力・文章力

正確でわかりやすい文書を作る能力は、資料作成、契約書作成、社内稟議など幅広く活かせる


マルチタスク対応力

複数の案件を同時並行で進める経験は、多くの業種で求められる


コンプライアンス意識

法令遵守の意識の高さは、リスク管理が重要な企業で高く評価される


真面目さ・誠実さ

公務員というバックグラウンドが、人柄面での信頼感につながる

業界別:公務員出身がプラスになるケース

業界 評価されるポイント
コンサル 行政の仕組みへの理解、公共系プロジェクト経験
不動産 建築確認、都市計画、行政手続きの知識
インフラ 公共事業への理解、自治体との折衝経験
金融 法令知識、書類審査力、リスク管理意識
IT・SaaS 自治体向けシステムの営業・導入支援での知見

公務員が転職で苦戦しやすいポイント

一方で、公務員から民間転職で苦戦しやすいポイントも存在します。事前に理解しておくことで対策が可能です。

公務員が苦戦しやすいポイント

利益追求への適応

公共の利益から企業の利益へ、考え方の転換が必要。「売上」「利益率」といった指標への理解を示すことが重要


スピード感の違い

民間企業は意思決定が早い。「稟議に3ヶ月」といった感覚は通用しない。スピード重視の働き方への適応をアピール


成果・実績の説明

「何をやったか」より「どんな成果を出したか」を数字で説明する必要がある。抽象的な業務説明では評価されにくい


民間企業への理解不足

「なぜ民間企業なのか」「なぜその業界なのか」を明確に説明できないと、本気度を疑われる

末永雄大

末永

メガホン 面接でよく失敗するパターン

公務員からの転職面接で失敗する人の多くは、「公務員の言葉」で話してしまうことです。


例えば、「市民サービスの向上に貢献しました」ではなく、「窓口待ち時間を30%削減し、市民満足度調査で5段階評価4.2を獲得しました」のように民間企業でも理解できる言葉で成果を説明することが重要です。

転職成功のために今からできる準備

民間転職を成功させるために、在職中から準備できることがあります。

今からできる転職準備

業務の成果を数値化する習慣

  • 「〇〇の業務を担当」→「予算〇億円の事業で〇件の案件を処理」
  • 「窓口対応を改善」→「平均待ち時間を〇分から〇分に短縮」
  • 成果を定量的に記録しておく

業界研究・企業研究の習慣化

  • 興味のある業界のニュースを定期的にチェック
  • 業界地図、企業のIR資料を読む
  • その業界で求められるスキルを把握する

転職エージェントへの早めの相談

  • 20代・30代前半のうちに市場価値を確認
  • 「今すぐ転職」でなくても相談可能
  • 自分の強みと弱みを客観的に把握する

特に転職エージェントへの相談は、「転職するかどうか」を決める前段階でも非常に有効です。市場価値を知ることで、公務員を続けるにしても、より主体的な選択ができるようになります。

公務員のキャリアプランで悩んだら

公務員のキャリアプランは、組織の特性上「自分だけで考える」のが難しい側面があります。

異動が多く専門性が身につきにくい、年功序列で成長実感が得にくい、民間企業の働き方が分からないなど、公務員特有の悩みを理解した上でアドバイスできる人に相談することが重要です。

末永雄大

末永

メガホン 公務員のキャリア相談で大切なこと

これまで多くの公務員の方のキャリア相談に乗ってきましたが、多くの人に共通するのは「公務員を辞めるべきかどうか」で悩んでいることです。


しかし、私がお伝えしたいのは「辞める・辞めない」の二択ではなく「いつでも選択できる状態を作っておく」ことの重要性です。


転職エージェントへの相談は「今すぐ転職する人」だけのものではありません。「将来の選択肢を知りたい」「自分の市場価値を確認したい」という相談も大歓迎です。

すべらないキャリアエージェントでは、公務員からの転職支援実績も豊富で、一人ひとりの状況に合わせた丁寧なサポートを提供しています。

元リクルート出身の代表・末永雄大が、「今すぐ転職」ではなく「将来の選択肢を広げるための相談」にも対応します。


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公務員のキャリアプランに関するよくある質問

公務員のキャリアプランに関してよく寄せられる質問にお答えします。

公務員を続けながら転職活動はできますか?

可能です。ただし、服務規程に違反しないよう、勤務時間外に活動することが前提です。


転職活動は「転職エージェントへの登録・面談」「求人の検討」「応募書類の作成」など、多くが勤務時間外にできます。面接は平日夜や土日に設定してもらうことも可能です。


ただし、現職に支障をきたさないよう、計画的に進めることが重要です。転職エージェントに「現在公務員で在職中」と伝えれば、スケジュール調整に配慮してもらえます。

公務員から民間に転職すると年収は下がりますか?

一概には言えませんが、20代・30代前半であれば年収アップの可能性は高いです。


公務員の給与は年功序列で、若手のうちは民間より低い傾向があります。一方、民間企業(特にコンサル、IT、不動産など)では、20代・30代でも成果次第で高収入を得られます。


ただし、40代以降で転職する場合や、中小企業に転職する場合は、年収が下がる可能性もあります。転職前に、転職エージェントで具体的な年収レンジを確認することをおすすめします。

何年目までなら未経験業界への転職がしやすいですか?

目安として、20代(特に20代後半まで)が未経験業界への転職がしやすい時期です。


20代はポテンシャル採用が可能で、「なぜその業界に挑戦したいのか」という熱意と、基本的なビジネススキルがあれば、未経験でも十分に可能性があります。


30代前半でも、公務員での経験を活かせる業界(コンサル、不動産、インフラなど)であれば転職可能ですが、専門性や実績の明確化が必要になります。30代後半以降は、未経験業界への転職は難しくなります。

公務員の経験が活かせる転職先はどこですか?

公務員の経験が活かせる転職先は多岐にわたります。


特に評価されやすいのは、①コンサルティング業界(公共系、DXコンサル)、②不動産・インフラ業界(渉外担当、事業開発)、③IT・SaaS業界(自治体向け営業・導入支援)、④人材業界(キャリアアドバイザー、公務員試験予備校講師)などです。


また、税務職員なら会計事務所、法務職員なら企業の法務部、建築職員なら不動産・建設会社など、専門職採用の場合はその専門性を活かせる業界への転職がスムーズです。

キャリアプランは一度立てたら変更しないほうがいいですか?

いいえ、キャリアプランは柔軟に変更すべきです。


環境や価値観は常に変化します。結婚、出産、親の介護、組織の変化、市場環境の変化など、様々な要因でキャリアプランの見直しが必要になることは自然なことです。


重要なのは、3ヶ月〜半年ごとに定期的に振り返り、「今のキャリアプランは自分にとって本当に望ましいものか」を問い直すことです。変更することは失敗ではなく、むしろ柔軟に対応できることが成功の秘訣です。

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