教員のキャリアプラン完全ガイド｜5つの選択肢を転職のプロが解説

更新日：2025.10.22

教員のキャリアプラン完全ガイド｜転職・異動・独立の選択肢を転職のプロが解説

この記事の要約

教員のはキャリアプランは5パターン
キャリアプラン設計方法4ステップ
教員のキャリアプランを考える方法

この記事を書いた人

末永雄大

新卒でリクルートエージェント(現リクルート)に入社。数百を超える企業の中途採用を支援。2012年アクシス(株)設立、代表取締役兼転職エージェントとして人材紹介サービスを展開しながら、年間数百人以上のキャリア相談に乗る。Youtubeチャンネル「末永雄大 / すべらない転職エージェント」の総再生回数は2,000万回以上。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック」
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教員がキャリアプランを考えるべき理由

まず、なぜ教員がキャリアプランを考える必要があるのか、その背景を整理しましょう。

教員の離職率は増加傾向にある

教員全体の離職率は近年増加傾向にあることが問題視されています。

特に若手教員の離職が顕著で、25歳未満と25歳以上30歳未満の離職者数は過去10年で大幅に増加しています。

長時間労働：週50時間以上働いている教員の割合は小学校で64.4%、中学校で77.2%
業務過多：授業準備、生徒指導、部活動、保護者対応など多岐にわたる業務
精神的負担：教員の6割が「3年以内の離職・転職」を考えているというアンケート結果も
教員不足：人手不足により1年目から担任や部活動の顧問を務める状況も増加

私がこれまで支援してきた教員からの転職希望者の中でも、「このまま続けられるか不安」という声は非常に多いです。

キャリアプランを早めに考えることで、自分らしい働き方を選択できるようになります。転職するかしないかは別として、選択肢を知っておくことが重要です。

教員のキャリアは「教員一筋」だけではない

多くの教員が「教員になったら定年まで教員」と考えがちですが、実際にはさまざまなキャリアの選択肢があります。

教員から民間企業への転職は難しいとされていますが、教員ならではのスキルを活かせる職種も多く存在します。

コミュニケーション能力：生徒、保護者、同僚との円滑なコミュニケーション
プレゼンテーション能力：わかりやすく伝える力、授業設計力
問題解決能力：生徒指導や学級運営での課題解決経験
マネジメント能力：学級経営、部活動指導でのチーム運営経験
計画・実行力：年間カリキュラムの設計と実施

教育業界内でのキャリアアップの選択肢には、塾講師、EdTech企業、教材制作、異校種への異動などがあります。

早めにキャリアプランを設計するメリット

キャリアプランを早めに考えることで、転職市場での優位性を保ちながら、自分に合った働き方を選択できます。

教員から異業種への転職を考えるなら、一年でも早いほうが有利です。ビジネス経験に乏しい教員は、企業から即戦力として見られにくいからです。

20代

第二新卒として未経験職種にも挑戦しやすい。将来性に期待されて採用される見込みあり

30代

教員経験を活かせる職種に絞る必要あり。即戦力として期待されるため基本的なビジネススキルが求められる

40代以降

専門性やマネジメント経験が重視される。教育業界内での転職が現実的

教員のキャリアプラン5つの選択肢

教員のキャリアプランには、大きく分けて5つの選択肢があります。それぞれの特徴を詳しく解説します。

選択肢①同じ学校種での継続・昇進を目指す

教員として働き続けながら、主任や教頭、校長などの管理職を目指すキャリアパスです。

安定した雇用と収入：公立学校の教員は地方公務員として定年まで雇用が保障される
教育現場での影響力：管理職として学校運営に関わり、より多くの生徒に影響を与えられる
充実した福利厚生：退職金や年金などの福利厚生が充実
専門性の深化：教科指導や生徒指導の専門性をさらに高められる

管理業務の増加：管理職になると授業以外の業務が増える
プレッシャー：人事評価や保護者対応、学校運営のプレッシャー
長時間労働：管理職でも長時間労働が続く可能性

このキャリアパスは、教育への情熱が強く、現場での指導を続けたい人に適しています。

選択肢②異校種への異動でキャリアの幅を広げる

小学校から中学校、中学校から高等学校などの学校の垣根を越え、期限付きで異動できる制度があります。

異校種を経験することで各学校の文化や異校種の働き方、指導方法を知ることができます。

発達段階の理解：生徒の発達段階を理解でき、見通しを持った指導ができる
指導力の向上：異なる年齢層への指導経験で教育者としてのスキルアップ
人脈の拡大：異なる学校種での人脈構築
キャリアの多様化：将来的な選択肢が広がる

公立学校の教員であれば、都道府県教育委員会に申請することで異校種への異動を経験できる場合があります。

選択肢③教育業界内での転職(塾・EdTech・教材制作)

教育業界内での転職は、教員経験を直接活かせるため比較的転職しやすい選択肢です。

学習塾の講師・教室長

集団指導や個別指導の塾講師として、または教室運営を担う教室長として活躍。教員経験が高く評価されます

EdTech企業

オンライン教育サービスの企画、教材開発、講師として。リクルートやベネッセなどの大手企業の案件も

教材制作会社

教科書や参考書、問題集の制作。教員経験を活かした現場目線の教材開発が可能

教育系ベンチャー企業

新しい教育サービスの企画・開発。教育への情熱と現場経験が活かせる

企業の研修・人材育成部門

社員教育や研修プログラムの企画・実施。教育スキルが直接活かせる

教育業界内での転職は、教員経験が高く評価されるため比較的スムーズに進みます。

特にEdTech企業や教材制作会社では、現場経験のある教員を積極的に採用しています。ワークライフバランスの改善も見込めるため、検討する価値は高いです。

選択肢④異業種への転職

教員から民間企業への転職は難易度が高いとされていますが、教員ならではのスキルを活かせる職種もあります。

営業職(法人営業・無形商材)

説明能力や対人スキルを活かせる。特にIT業界の法人営業は成長性が高い

人事・研修担当

社員教育や採用業務で教育経験が活きる。人材育成の視点が評価される

カスタマーサクセス

顧客の課題解決をサポートする職種。問題解決能力とコミュニケーション能力が活かせる

コンサルタント

業界特化型のコンサルファームであれば教育経験を活かせる。論理的思考力が求められる

給与の低下：未経験の業種に転職すると、給与が現在よりも下がる可能性あり
ビジネススキル不足：民間企業で生かせるビジネススキルや経験が不足していると判断される
年齢の壁：30代以降は即戦力として期待されるため、基本的なビジネスの考え方から教育しなければならない人材は対象外とされる可能性

私の経験上、教員から民間企業への転職では「教員経験をビジネスの文脈でどう語るか」が重要です。

「生徒指導」を「顧客対応・問題解決」と言い換えるなど、企業が理解しやすい言葉で表現する必要があります。応募書類の段階からこの視点が不可欠です。

選択肢⑤独立・起業(塾開業・フリーランス)

教育業界で働く人のキャリアアップの選択肢として、独立・開業も考えられます。

個人塾の開業

自宅や賃貸物件で個人塾を開業。初期投資を抑えられ、自分の教育理念を実現できる

オンライン家庭教師

Zoomなどを使ったオンライン指導。場所を選ばず、副業からスタートも可能

教育コンサルタント

学校や塾に対するコンサルティング。豊富な現場経験が強みになる

フリーランスの教材制作者

教材や問題集の制作を請け負う。専門教科の知識を活かせる

メリット

自分のペースで働ける
教育への理想を実現できる
収入の上限がない

デメリット

収入が不安定
経営スキルが必要
生徒募集などの営業活動が必要

独立・起業は、教育への強い情熱と経営者としての覚悟が必要です。まずは副業から始めて、軌道に乗ってから独立する方法もあります。

教員が転職を成功させるためのキャリアプラン設計法

教員から転職を成功させるには、戦略的なキャリアプラン設計が不可欠です。具体的なステップを解説します。

ステップ①教員経験の棚卸しと強みの言語化

公務員(教員)経験は事務的に説明することが難しいです。教員は人間関係が複雑に絡み合った指導や対応を仕事としているため、企業のようにざっくばらんに経験やスキルを説明しにくい職業です。

1. 担当した業務を洗い出す

授業、生徒指導、部活動、学校行事、保護者対応、校務分掌など、すべての業務をリストアップ

2. 身につけたスキルを整理

それぞれの業務で身につけたスキルを具体的に書き出す(プレゼン力、課題解決力、マネジメント力など)

3. 数値化できる実績をまとめる

担当生徒数、成績向上率、部活動の実績、学校行事の参加率向上など、具体的な数字で表現

4. ビジネス用語に言い換える

教育用語を企業が理解しやすいビジネス用語に変換する

教育用語	ビジネス用語
生徒指導	問題解決能力・カウンセリングスキル
保護者対応	ステークホルダーマネジメント
授業設計	プレゼンテーション能力・カリキュラム設計
学級経営	チームマネジメント・目標達成力
部活動指導	リーダーシップ・育成力

ステップ②転職活動のタイミングと時間の作り方

教員は多忙を極め、転職活動に十分な時間を確保できません。勤務時間内には仕事が終わらず、ほとんどの教員が勤務時間外にも仕事をしている状況です。

在職中に情報収集と自己分析を進める

退職してからではなく、在職中から少しずつ準備を進めることが重要

夏休みや冬休みを活用

面接設定や企業研究など、まとまった時間が必要な活動は長期休暇を活用

3月末退職を見据えた計画

転職の時期が3月末退職に限定されているため、逆算して計画的に進める

通勤時間を活用：転職サイトの閲覧、業界研究、求人情報のチェック
土日の空き時間：転職エージェントとの面談、応募書類の作成
オンライン面談の活用：移動時間を節約できるオンライン面談を積極的に活用
スキマ時間の有効活用：昼休みや放課後の短時間でも情報収集を進める

教員の転職活動で最も難しいのが、時間の確保です。だからこそ、転職エージェントを活用して効率化を図ることが重要になります。

エージェントに希望条件を伝えておけば、自分で求人を探す時間を大幅に削減できます。面接日程の調整もエージェントが代行してくれるため、多忙な教員にとって非常に有効です。

ステップ③転職エージェントの戦略的活用

教員の転職では、転職エージェントという転職のプロの力を借りることがおすすめです。

教育業界に精通したアドバイス：教育業界に精通したキャリアアドバイザーに、転職をサポートしてもらえる
非公開求人へのアクセス：非公開求人を持っているため、ライバルの少ない求人に応募できる
選考対策の支援：書類作成から面接対策など、転職活動全般のアドバイスを受けられる
時間の節約：求人探しや企業とのやり取りを代行してもらえる
給与交渉の代行：自分では言いにくい給与交渉も代行してもらえる

弊社のすべらないキャリアエージェントでは、教員の人向けに無料のキャリア相談会を実施していますので、興味のある人はぜひご利用ください。

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ステップ④企業が求めるビジネススキルの習得

応募書類を作成する際は、教員時代の実績やリーダーシップを明確に示し、企業が求める能力との接点を意識的にアピールすることが大切です。

ビジネスマナー

メール作法、ビジネス文書の書き方、電話応対など基本的なビジネスマナー

Officeスキル

Excel(関数、ピボットテーブル)、PowerPoint(プレゼン資料作成)、Word(ビジネス文書)

データ分析の基礎

数値をもとにした課題発見や改善提案ができる力

業界・企業研究の方法

志望業界の動向、企業の強み・課題を調査・分析する力

オンライン学習：短期講座やオンライン学習で補強するのがおすすめ(Udemy、Schoo、グロービス学び放題など)
転職エージェントのセミナー：ビジネスマナーや面接対策のセミナーに参加
ビジネス書の読書：ロジカルシンキング、マーケティング、営業など基礎的なビジネス書を読む
資格取得：MOS(Microsoft Office Specialist)など、スキルを証明できる資格も有効

オンライン講座やセミナーを利用して、ビジネスマナーやプレゼンテーションスキルを学ぶ人も少なくありません。転職エージェントに相談しながら、必要なスキルを特定・習得していくと効率的です。

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教員からのキャリアチェンジは、決して簡単ではありません。しかし、適切なキャリアプランを設計し、戦略的に転職活動を進めることで、新しいキャリアへの道は開けます。

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教員のキャリアプランは、教育現場に留まるだけでなく、多様な選択肢があります。しかし、教員という職業の特殊性から、転職活動は一人で進めるのが難しいのも事実です。

弊社「すべらないキャリアエージェント」では、教員からの転職を数多く支援してきた実績があります。あなたの強みを活かせる転職先の提案から、応募書類の作成、面接対策まで、転職のプロが徹底的にサポートします。

まずはキャリア相談だけでも構いません。ぜひ一度、すべらないキャリアエージェントにご相談ください。

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教員のキャリアプランでよくある質問

教員のキャリアプランに関してよく寄せられる質問にお答えします。

教員から転職すると年収は下がりますか?

未経験の業種に転職すると、給与が現在よりも下がる可能性があります。ただし、教育業界内での転職や、教員経験を活かせる職種であれば、年収を維持できるケースもあります。

特にEdTech企業や大手教育企業への転職では、年収アップも十分に可能です。転職エージェントに相談して、年収レンジを事前に確認することをおすすめします。

何歳までなら教員から転職できますか?

教員から異業種への転職を考えるなら、一年でも早いほうが有利です。20代なら第二新卒として未経験職種にも挑戦しやすく、30代以降は教員経験を活かせる職種に絞る必要があります。

ただし、40代以降でも教育業界内での転職や、マネジメント経験を活かした転職は十分に可能です。年齢よりも、どのようなスキルや経験をアピールできるかが重要になります。

年度途中で辞めても転職できますか?

年度途中の退職は、学校側との調整が難しい場合がありますが、正当な理由をきちんと説明し、誠実に対応していれば大きな不利にはなりにくいです。企業側も事情を理解してくれることが多いため、面接時に理由をしっかり話せるように準備しておきましょう。

ただし、できれば年度末の退職が望ましいです。学校への影響を最小限に抑え、円満退職を目指すことが、その後のキャリアにもプラスに働きます。

教員免許は転職に役立ちますか?

教員免許があると有利な職種としては、児童クラブの支援員、塾講師などが挙げられます。教育業界内での転職では高く評価されます。

ただし、民間企業への転職では教員免許そのものよりも、教員として培った実務経験やスキルのほうが重視されます。免許を持っていることよりも、どのような成果を上げてきたかを具体的に説明できることが重要です。

転職活動はどのくらいの期間がかかりますか?

一般的に3〜6ヶ月程度です。教員は多忙なため、在職中から計画的に進めることが重要です。

自己分析や業界研究に1〜2ヶ月、応募書類の作成と求人応募に1〜2ヶ月、面接から内定まで1〜2ヶ月程度を見込んでおくと良いでしょう。転職エージェントを活用すれば、この期間を短縮できる可能性があります。

教員経験が短くても転職できますか?

経験年数にかかわらず、指導経験やコミュニケーション能力を具体的に伝えれば、若手教員でも転職に成功するケースは多くあります。

むしろ20代であれば第二新卒として扱われ、ポテンシャル採用の対象になりやすいです。強みを活かす業界や職種を見極めるための事前調査と自己分析が肝心です。

スキル不足が不安ですがどうすれば良いですか?

オンライン講座やセミナーを利用して、ビジネスマナーやプレゼンテーションスキルを学ぶ方も少なくありません。転職エージェントに相談しながら、必要なスキルを特定・習得していくと効率的です。

まずは基本的なOfficeスキル(Excel、PowerPoint)とビジネスマナーから始めることをおすすめします。これらは短期間で習得可能で、転職活動でも即座に活かせます。

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