日産はやばい?|転職支援のプロがリストラから将来性まで徹底解説

日産がやばいと言われる理由について現役の転職エージェントが徹底解説します。
リストラや日産の事業計画、将来展望まで網羅しているので、ぜひ企業研究にも活用してください。
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日産が「やばい」と言われる5つの理由
日産は、近年の動向からネガティブなイメージを持たれることが多く、検索候補でも「やばい」といったキーワードが見られます。
こうした「やばい」という声の背景には、過去の不祥事から現在の経営戦略まで、複数の要因が重なっています。
日産が「やばい」と言われる5つの理由
理由①:相次ぐリストラと工場の閉鎖
日産が「やばい」と言われる最大の理由は、国内外で断続的に報じられる工場閉鎖や大規模なリストラ計画です。
日産の主なリストラ計画
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9000人の削減
発表時期: 2024年11月
目標時期: 2027年度まで
概要: グローバル従業員の約7%にあたる9000人を削減
背景: 北米や中国での販売不振、最終利益の9割以上減 -
2万人削減(追加計画)
発表時期: 2025年5月
目標時期: 2027年度まで
概要: 既存の9000人に加えて、追加で約1万人の削減を含む合計2万人規模
概要: 7工場の閉鎖も計画
一連の計画は、「業績が悪いから人を減らしている」という強い印象を与えます。
ただし、報道されている動きは単なる業績悪化によるものだけではなく、EV(電気自動車)シフトや事業の選択と集中を進めるための「構造改革」の一環である側面も強いです。
この計画は、古い生産ラインを整理し、新たなEV技術へ経営資源を集中させるためと捉えることもできます。
理由②:過去の不祥事によるブランドイメージの低下
日産の不祥事で記憶に新しいのは、2018年のカルロス・ゴーン元会長による金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)などの事件です。
ルノー・日産自動車・三菱自動車の会長を兼務し、カリスマ経営者として知られるカルロス・ゴーンが金融商品取引法違反の疑いで逮捕された。
東京地検によれば、2011年3月期から2015年3月期の各連結会計年度におけるゴーンの金銭報酬が合計約99億9800万円であったにもかかわらず、合計約49億8700万円と記載した有価証券報告書を提出した疑いがもたれている。
東洋経済オンライン
事件以前にも、2017年に発覚した無資格者による完成車検査問題がありました。
企業のコンプライアンス(法令遵守)意識の低さが露呈する出来事が続いた結果、日産にネガティブなイメージが定着してしまいました。
さらに、国内工場での完成車検査問題(2017年)にくわえて、排出ガス・燃費データの不正測定問題(2018年)など、製品の品質に関わる不祥事も相次ぎました。
「技術の日産」という信頼が揺らいだことは、販売不振や株価低迷の根底にある要因です。
ブランドイメージは、中途採用市場の優秀人材をつなぎ留める資産でもあるので、採用難につながる恐れもありますね。
理由③:ルノーとの資本関係の変化と経営の不安定さ
日産は長らく、フランスの自動車メーカー・ルノーと複雑な資本関係にありました。
一時はルノーが日産の株式の43.4%を保有し、日産を連結子会社化していましたが、日産はルノーの株式を15%しか持たず、議決権がないという不均衡な状態が続いていました。
こうした資本関係が経営の意思決定を遅らせているとの批判もありましたが、2023年に両者は関係を見直し、ルノーの出資比率を15%まで引き下げる対等なパートナーシップに移行しました。
この移行により、日産が独自の戦略を打ち出しやすくなる反面、経営の舵取りが定まるまでは、現在のような組織再編や戦略転換が続く可能性があります。
転職者にとっては、変革期ならではのチャレンジングな環境とも言えますし、同時に中長期的な安定性を見極める必要もありますね。
理由④:EVシフトの遅れと将来性への懸念
日産は2010年に世界初の量産型電気自動車(EV)「リーフ」を発売し、市場のパイオニアとなりました。
しかしその後、米国のテスラや中国のBYDといった新興メーカーが急速にシェアを拡大していきました。その間、日産は新たなEVの開発に時間がかかってしまい、結果としてグローバルなEV競争では周回遅れの印象を与えてしまいました。
以下は、2023年におけるEV販売の世界シェア率です。
| 順位 | 企業・グループ | シェア率 |
|---|---|---|
| 1位 | テスラ(アメリカ) | 19.3% |
| 2位 | BYD(中国) | 16.0% |
| 3位 | VWグループ(ドイツ) | 8.0% |
| 10位 | 日産・三菱・ルノー | 3.2% |
| 24位 | トヨタグループ | 1.0% |
| 28位 | ホンダ | 0.2% |
EVシェア率は、日産に限らず日系企業の全てが遅れを取っています。自動車業界が「100年に一度の大変革期」と言われる中、EV戦略の遅れは、会社の将来性そのものへの懸念につながっています。
EV開発の遅れは企業の競争力に直結するため、日産をはじめ各社では巻き返しに向けた投資や採用が活発化しています。
とくにソフトウェア・電池・データ領域の専門職は中途採用の需要が高まっていて、このような人材にはキャリアアップの可能性があります。
理由⑤:国内市場での販売不振と人気車種の偏り
日産の国内販売台数・シェア率は、長期的に減少傾向にあります。近年の数字を以下の表にまとめました。
| 年度 | 国内販売台数(乗用車) | シェア率 |
|---|---|---|
| 2023年度 | 484,195台 | 10.7% |
| 2024年度 | 460,868台 | 10.1% |
| 2025年度上半期 | 87,119台 | 8.2% |
出典:IRデータ資料:台数情報
また、日産の国内販売台数のうち「ノート」「セレナ」「エクストレイル」といった一部の人気車種に販売が集中しています。以下は、2025年度の1月~9月における日産の主な乗用車の国内販売台数です。
| 車種(乗用車のみ) | 国内販売台数 | 占有率(乗用車のみ) |
|---|---|---|
| ノート | 63,481台 | 40.2% |
| セレナ | 56,980台 | 36.1% |
| エクストレイル | 16,492台 | 10.4% |
トヨタのように幅広いラインナップで安定した収益を上げるビジネスモデルを確立できていない点も、経営の不安定さにつながっています。
こうした販売構造の偏りのある会社では、新規需要の創出や収益構造の転換を担える人材がより強く求められます。
そのため、商品企画・マーケ・デジタル分野での中途採用が強化される傾向にありますね。
日産の強み・将来性
ネガティブな側面が目立つ一方で、日産には他社にはない強みと、業績改善に向けた具体的な戦略があります。
日産の強み・将来性
世界トップクラスの技術と開発力
日産は経営不振に直面していますが、技術力は世界水準においてもかなり高いと言えます。
日産が開発した主な技術を以下の表にまとめました。
| 日産が誇る主要技術 | |
|---|---|
| e-POWER | エンジンで発電し、モーターだけで走行する独自技術。滑らかな加速が人気です。 |
| プロパイロット2.0 | 高速道路で「ハンズオフ(手放し運転)」を可能にした先進の運転支援技術です。 |
| 全固体電池 | 次世代電池の本命。日産は2028年度までの実用化を目指し、業界をリードしています。 |
とくに、e-POWERはハイブリッド車における革新的な発明となり日産の技術力を世界に発信するきっかけになりました。
プロパイロット2.0は、2019年に初めて導入され高速道路における「ハンズオフ」走行を実用化し、大きな話題を呼びました。また、今後は、全固体電池などの新たな技術革新に挑戦することを公言しています。
近年の技術発展が著しい自動車業界において、このような革新的な技術は、今後の電動化・自動運転社会での大きな競争力となります。
好調な販売を続ける人気車種の存在
経営全体としては苦戦しつつも、個々の製品で見れば大ヒットを記録している車種もあります。
とくに「ノート」や「セレナ」に搭載された「e-POWER」は市場に高く評価されています。また、軽EVの「サクラ」は2022-2023年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、EV市場での存在感を再び示し始めました。
以下の表は、2022年~2024における日産の主要車種の年間登録台数です。
| ノート | セレナ | サクラ | |
|---|---|---|---|
| 2022年 | 110,113台 | 57,513台 | 21,887台 |
| 2023年 | 102,508台 | 75,673台 | 37,140台 |
| 2024年 | 87,200台 | 68,496台 | 22,926台 |
出典:日本自動車販売協会連合会
このように、日産には長期に渡って安定した売り上げがある人気車種があります。
とくに、「サクラ」は販売された2022年から2024年度まで3年連続で国内における電気自動車(EV)販売台数No.1を維持し続けています。
こうした、常に売り上げのある車種をいくつか持っていることは会社の利益の安定において強みとなります。
積極的な構造改革と将来への投資
日産は経営の立て直しに向け、2025年5月に新たな経営再建計画「Re:Nissan」を発表しました。これは、過去の計画よりもさらに踏み込んだ抜本的な構造改革を目指すものです。
この計画は、変化の激しい市場環境に迅速に対応できる、スリムで強靭な事業構造の実現を目的としています。
経営再建計画「Re:Nissan」の概要
- 2026年度までに自動車事業の営業利益およびフリーキャッシュフローの黒字化を目指す
- 固定費と変動費で計5,000億円のコスト削減(2024年度実績比)
- 人員を20,000人削減し、車両生産工場を17から10へ削減
この大規模なコスト削減と、事業の選択と集中を確実に実行できるかが、日産の将来性を左右すると予想されます。
さらに、日産は2024年3月に長期的経営計画「The Arc」を発表しています。2026年度までに年間100万台の電動車販売を目指し、次世代EVの開発や全固体電池の市場投入など、将来に向けた具体的な投資計画を明らかにしています。
短期的なリストラや不祥事といったネガティブな面がある一方で、収益性の改善や将来技術への投資といったポジティブな面も見えています。
日産への就職や転職を考えるうえでは、両面を冷静に評価・考慮するべきです。
日産の基本情報と実際の社員の声
実際に日産で働く社員の待遇は「やばい」のでしょうか。日産の年収や福利厚生、残業時間について、客観的なデータと口コミを見ていきましょう。
日産の年収
日産は、自動車メーカーの中でもトップクラスの給与水準を誇っています。
有価証券報告書によると、日産の平均年収は895万円です。
競合比では、トヨタよりは100万円ほど低いですが、勤続年数や平均年齢を加味するとホンダよりは少し良い条件であることが分かります。
| 企業名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 調査対象数 |
|---|---|---|---|---|
| 日産自動車 | 895万円 | 41.0歳 | 14.7年 | 24,413人 |
| トヨタ自動車 | 982万円 | 40.7歳 | 15.6年 | 71,515人 |
| 本田技研工業 | 895万円 | 44.5歳 | 21.3年 | 32,088人 |
出典:日産自動車株式会社 有価証券報告書・トヨタ自動車株式会社 有価証券報告書・本田技研工業株式会社 有価証券報告書
※全て2025年3月期 ※「調査対象数」は「従業員数」の数値
国税庁の「令和5年度 賃金構造基本統計調査」によると、「輸送用機械器具製造業」の平均年収は約596万円であり、日産の給与水準は業界平均と比べてもトップクラスであることがわかります。
また口コミサイトでは、以下のような声が見られました。
年収に関するポジティブな口コミ
30代・男性・技術職
給与水準はメーカーの中でも高い方だと思う。業績が悪い時期でもボーナスは一定水準が保証されていた。年功序列の色は残っているが、安定性を求めるなら十分すぎる待遇。
エンゲージ会社の評判年収に関するネガティブな口コミ
40代・男性・管理部門
ゴーン時代に比べると給与は下がった。とくにボーナスの変動が大きく、業績が悪いと年収がガクッと落ちる。評価制度はあるが、結局は上司との相性や年次が重視されがち。
OpenWorkトヨタとホンダの年収は、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
日産の福利厚生
日産は福利厚生の面でも充実しています。以下は、日産の具体的な福利厚生制度です。
| 主な福利厚生制度 | |
|---|---|
| 住宅 | 家賃手当・社員寮制度 |
| 家族 | 家族手当、育児・介護支援 |
| 資産形成 | 財形貯蓄制度、社員持ち株会、退職年金 |
| その他 | サークル活動・社内イベント |
また日産では、コアタイムのないスーパーフレックス制度やリモートワークが導入されているので、ワークライフバランスのサポートも充実しています。
日産は育児休職の制度も整備されています。
2024年度の男性育休取得率は、65.5%に昇るなど高い水準を保っています。
日産の残業時間
日産のサステナビリティデータブック 2025によると、2024年度における月間の平均残業時間は20.3時間で、以下の表の通り、年々短くなっています。
| 年度 | 平均残業時間 |
|---|---|
| 2022年度 | 25.6時間 |
| 2023年度 | 25.4時間 |
| 2024年度 | 20.3時間 |
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2023年度の自動車産業を含む「輸送用機械器具製造業」の平均残業時間は20.5時間です。
日産の2023年度の平均残業時間は、25.4時間なので平均値を上回っていますが、翌年の平均残業時間は5時間以上削減されています。
部署や時期によって差はありますが、会社全体の残業時間は年々減少傾向にあります。
評判・口コミ
20代・女性・事務系
残業代は1分単位で支給されるため、サービス残業は一切ない。コンプライアンス意識は高い。フレックス制度や在宅勤務も普及しており、ワークライフバランスは取りやすい。
エンゲージ会社の評判
30代・男性・開発職
新型車の開発プロジェクトが佳境に入ると、残業や休日出勤が増える時期はある。しかし、一時的なもので、プロジェクトが終われば長期休暇も取得可能。
OpenWork
日産は経営課題を抱えつつも、社員の待遇は手厚いことがわかります。
変革期にあるため、安定志向の人には厳しさもありますが、キャリアアップを目指す人にはチャンスも多い環境です。
日産への転職を成功させるコツ
日産の中途採用の応募要件は、公式HPに詳しく書かれています。一般的な選考フローは以下の通りです。
出典:日産公式サイト:募集要項
基本的な選考フロー
- WEBエントリー
- 書類選考
- 面接(2~3回)
- 内定
※公式サイト経由の応募の場合。転職エージェントや企業スカウト経由の場合、一部選考フローが短縮されることがあります。
日産は経営課題を抱えつつも、高い技術力とブランド力を持つ優良企業であり、転職市場での人気も高いです。
日産のような大手メーカーへの転職を成功させるためには、個人での応募よりも、ハイクラスやメーカー特化型の転職エージェントがおすすめです。
日産は公式HPの採用だけでなく、転職エージェントを通じた採用も行なっており、非公開求人や選考スキップなどの恩恵を受けられる可能性があります。
とくに、ハイクラス転職ではJACリクルートメント、メーカー特化型ではメイテックネクスト・マイナビメーカー AGENTがおすすめです。
メーカーの内部事情や選考対策に精通した転職エージェントが客観的なアドバイスをくれたり、「非公開求人」を紹介してくれます。
日産への転職方法については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてください。
ハイクラス求人が多いおすすめ転職サービス
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大手マイナビのメーカー専門エージェント!メーカー業界を含む多職種のサポートに対応
日産に関するよくある質問
日産は将来的に潰れる可能性がありますか?
結論から言うと、日産が潰れる可能性は極めて低いと考えられます。
日本を代表する大企業であり、銀行や政府との強いつながりがあります。また、「e-POWER」やEV技術といった高い技術力を持っており、経営改革も進んでいます。短期的には厳しい状況が続いても、中長期的には復活する可能性が高いです。
日産への転職は「勝ち組」と言えますか?
なにを勝ち組とするかによりますが、国内トップクラスの年収水準と手厚い福利厚生を考慮すれば、「勝ち組」と言えるかもしれません。
ただし、現在は会社全体の変革期にあるため、「安定して働きたい」という志向だけでは厳しい側面もあります。自ら課題を見つけ、変革を推進できる人材にとっては、やりがいとキャリアアップが期待できる環境です。










経営効率化のために必要な改革ではありましたが、「日産は経営が苦しい」「いつリストラ対象になるか分からない」といった不安を従業員や転職希望者に与える大きな要因にもなっています。