
介護職が続く人の特徴5つ|続かない理由と長く続けるコツ
介護職が続く人には5つの共通点があります。平均勤続年数8.2年や離職率12.4%といった最新データをもとに、続く人の特徴と続かないと言われる理由、長く続けるコツを解説します。
施設形態ごとの続けやすさの違いや、つらさの原因が自分と職場のどちらにあるかの見分け方も紹介します。
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介護職が続く人に共通する5つの特徴
介護の仕事を始めて数ヶ月、あるいは数年が経ち、この仕事を何年も続けられるのかと考え始めた人は少なくありません。
長く働いている先輩を見て、自分とは何が違うのかと感じることもあると思います。ただ、続いている人に共通しているのは我慢強さではありません。もっと具体的な工夫です。
利用者や同僚と気持ちよく関われている
介護職が続く人の1つ目の特徴は、周囲と気持ちよく関われていることです。ただ、ここで言うコミュニケーション能力は話し上手という意味ではありません。
長く続いている人が徹底しているのは、申し送りの精度です。事実と自分の解釈を分けて話すと、受け取る側の判断がぶれません。
たとえば「Aさんの機嫌が悪かった」ではなく「Aさんが朝食を3割残し、声かけに返事がなかった」と伝えます。
もう1つは、迷った時点で早めに聞くことです。自分で抱えて対応が遅れるより、5分早く相談したほうが結果的に周囲の手間が減ります。

人当たりの良さより、情報の渡し方がうまい人が結果的に信頼されています。
挨拶や雑談が苦手でも、申し送りが正確なら職場での立ち位置は安定しますよ。
仕事の感情を家に持ち帰らない
介護職が続く人の2つ目の特徴は、仕事で受けたストレスを家まで引きずらないことです。プライベートの時間を守れている人ほど、結果的に長く働けています。
介護は人と深く関わる仕事なので、理不尽に感じる場面や、うまく対応できず落ち込む場面が必ず出てきます。続いている人は、その感情を消そうとはしていません。持ち帰らない仕組みを先に作っています。
具体的には、退勤前にその日の記録を書き終えて職場に置いてきます。帰り道に必ず寄る場所を決めておくのも有効です。
家に着いたら着替えを済ませてから座る、と手順を決めている人もいます。行動を区切りにすると気持ちも切り替わりやすくなります。

気持ちの切り替えが上手な人は、意志が強いわけではありません。
切り替わる行動をあらかじめ決めているだけなので、真似できる部分は多いです。
体の使い方を知っていて無理な介助をしない
介護職が続く人の3つ目の特徴は、体の使い方を知っていることです。ここは根性では埋まりません。
移乗や排泄の介助で腰を痛めると、どれだけ仕事が好きでも続けられなくなります。長く働いている人は、腰ではなく脚と体重移動で動かす方法を身につけています。
押さえるポイントは3つです。膝を曲げて重心を低くします。両足を肩幅以上に開いて体を支える面を広げ、利用者と自分の体を近づけてから動かします。
これはボディメカニクスと呼ばれる介助の基本で、3つ守るだけで腰への負担はかなり変わります。
福祉用具も遠慮せずに使います。スライディングシートやリフトは、使える場面で使ったほうが利用者の安全も確保できます。

腰を痛めて辞める人は本当に多いです。技術の問題であって、根性の問題ではありません。
1人で持ち上げようとした時点で、その介助はやり方を見直す合図だと考えてください。
自分に合った施設形態で働けている
介護職が続く人の4つ目の特徴は、自分に合った施設形態を選べていることです。同じ介護職でも、働く場所によって仕事の中身は大きく変わります。
夜勤の有無や身体介護の比重、1人で判断する場面の多さを見てください。この3点だけでも、特別養護老人ホームと通所介護ではまったく違います。
続かなかった人が「介護は向いていなかった」と結論づけている場合でも、実際には施設形態が合っていなかっただけのことが少なくありません。
介護職に向いている人かどうかは、職種そのものより働く場所との相性で決まる部分が大きいです。施設ごとの違いは後ほど詳しく整理します。

向き不向きを職種の単位で判断すると、選択肢を必要以上に狭めてしまいます。
まずは働く場所の単位で見直したほうが、現実的な打ち手が見つかりますよ。
資格取得の道筋を持っている
介護職が続く人の5つ目の特徴は、資格取得の見通しを持っていることです。
社会福祉振興・試験センターによると、介護福祉士は実務経験3年以上に加えて従事日数540日以上を満たすと受験できます。
今の勤務が資格につながっていると分かっていれば、つらい時期も通過点として捉えやすくなります。
その先にはケアマネジャーや生活相談員という道もあります。今日の業務が何年後の何につながるのかを言葉にできている人は、目の前の忙しさだけで進退を決めずに済みます。

続く人は、我慢しているのではなく、今の経験が何に変わるかを把握しています。
逆に見通しがないまま働き続けると、同じ業務でも消耗が早くなります。
介護職からのキャリアの広げ方については、下の記事で詳しく解説しています。
実際のところ介護職は何年続くのか
自分が続けられるかを考えるうえで、周りが実際どのくらい働いているのかは気になるところだと思います。
介護職の定着状況は、ここ数年で数字がはっきり動いています。思っているより長く働いている人が多い、というのが最新データの実態です。
介護職の平均勤続年数は8.2年、10年以上働く人は3人に1人
介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」によると、介護労働者が現在の法人で働いている年数は平均8.2年です。
職種別に見ると訪問介護員が7.7年、介護職員が8.2年になります。勤続年数の分布は以下の通りです。
| 現在の法人での勤続年数 | 割合 |
|---|---|
| 1年未満 | 8.3% |
| 1年以上2年未満 | 9.9% |
| 2年以上3年未満 | 8.3% |
| 3年以上4年未満 | 7.7% |
| 4年以上5年未満 | 6.0% |
| 5年以上7年未満 | 11.8% |
| 7年以上10年未満 | 12.8% |
| 10年以上15年未満 | 17.2% |
| 15年以上20年未満 | 9.0% |
| 20年以上 | 7.7% |
10年以上働いている人を合計すると33.9%になります。3人に1人が同じ法人で10年以上続けている計算です。

1年未満が8.3%という数字は、裏を返せば9割以上が1年を超えて働いているということです。
最初の1年を越えられるかどうかが、1つの分かれ目になっています。
介護職の離職率は12.4%まで下がっている
介護職は辞める人が多いという印象を持たれがちですが、離職率は下がり続けています。
介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」によると、令和6年度の離職率は12.4%でした。
前年度の13.1%から0.7ポイントの低下です。下がるのは2年連続で、傾向として定着が進んでいます。
| 年度 | 離職率 |
|---|---|
| 令和2年度 | 14.9% |
| 令和3年度 | 14.3% |
| 令和4年度 | 14.4% |
| 令和5年度 | 13.1% |
| 令和6年度 | 12.4% |
5年前と比べると2.5ポイント下がっています。処遇改善の加算が広がり、働き方の見直しが進んだことが背景にあります。

「介護は続かない業界」という前提そのものが、数年前の情報のまま止まっている場合があります。
今いる職場がつらいとしても、それを業界全体の話に広げる必要はありません。
介護業界の人手不足の現状については、下の記事でまとめています。
記事によって介護職の平均勤続年数の数字が違う理由
介護職の勤続年数を調べると、6年台から9年台までばらついた数字が出てきて戸惑うことがあります。これは調査が違うからで、どれかが間違っているわけではありません。
| 数字 | 調査名 | 何を数えた数字か |
|---|---|---|
| 8.2年 | 介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」 | 現在の法人で働いている年数。パートを含む介護労働者全体 |
| 9.5年 | 厚生労働省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」 | 月給制の常勤介護職員に絞った勤続年数 |
同じ「勤続年数」でも、対象に非常勤を含むかどうかで数字は動きます。数字を見るときは、何年度の調査で誰を数えたものかまで確認すると、実態を読み違えずに済みます。

どの数字を信じるかで悩むより、自分がどちらの母集団に近いかで見たほうが参考になります。
常勤で働いているなら、9.5年のほうが体感に近い数字です。
介護職が続かないと言われる4つの理由と対処法
続く人がいる一方で、早い段階で辞めていく人がいるのも事実です。ここでは辞める理由を4つに整理しますが、それぞれに打てる手があります。原因を眺めるだけで終わらせず、対処法まで合わせて確認してください。
介護職が人間関係でつまずく
介護職が辞める理由で最も多いのは人間関係です。
介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」によると、介護の仕事を辞めた人の24.7%が「職場の人間関係に問題があったため」を理由に挙げています。
これが1位で、2位の「他に良い仕事・職場があったため」18.5%を大きく上回ります。
さらに中身を見ると、人間関係を理由にした人の49.1%が「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」と答えています。
同僚同士の相性の問題より、上下関係で起きている問題のほうが多いということになります。
対処法は2つあります。まず、きつい言動を受けた日時と内容を記録に残してください。
感情ではなく事実として蓄積すると、上長や本部に相談する際に話が通りやすくなります。
次に、事業所内で相談が難しければ、法人の相談窓口や都道府県の労働局に持ち込む選択肢もあります。

相性の問題だと思って我慢している人が多いのですが、指導の範囲を超えていることも珍しくありません。
記録が残っていれば、施設側も動かざるを得なくなります。
辞めたい気持ちが強くなっている場合の考え方は、下の記事で整理しています。
介護職は体への負担が蓄積する
2つ目は体への負担です。特に腰は、一度痛めると復帰が難しくなります。
移乗や入浴介助では、無意識に腰を曲げて持ち上げてしまう場面が多くあります。この動きを続けると腰椎に負担が集中します。
慢性的な腰痛につながり、若いうちは耐えられても数年単位で蓄積するのが厄介なところです。
腰痛対策は、介助の技術と道具の2本立てです。技術面で押さえるのは、膝を曲げて重心を下げること、足幅を広げること、利用者に体を近づけてから動かすことの3点です。
この手順を守るだけで腰への負担は減ります。道具の面では、スライディングシートや移乗用リフトを使える場面で必ず使ってください。
1人で持ち上げようとしている時点で、そのやり方には無理があります。2人介助に切り替える判断も、遠慮せずに出したほうが結果的に長く働けます。

体を壊してから辞めると、次の仕事の選択肢まで狭まってしまいます。
続けられるかどうかは気持ちの強さではなく、体を守る技術で決まる部分が大きいです。
介護職が給与に納得できない
3つ目は給与です。給料が安いという声は根強く、ここは正直に見ておく必要があります。
厚生労働省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」によると、介護職員の平均給与額は月338,200円です。
基本給に手当と一時金を含めた金額で、前年から13,960円増えています。ただ、水準として高いとは言えません。
国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、日本全体の平均給与は年478万円になっています。
ただ、賃上げの流れははっきりしています。厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」によると、改定率はプラス2.03%です。
介護職員については定期昇給を含めて、最大で月1.9万円の賃上げが見込まれています。
対処法は、資格取得と働く場所の見直しです。どちらも数万円単位で変わる話なので、後ほど具体的な金額とあわせて整理します。

給与への不満は、我慢しても解消しません。資格か職場のどちらかを動かす必要があります。
逆に言えば、動かせる要素がはっきりしている分、手は打ちやすいです。
介護職の給与水準そのものの背景は、下の記事で解説しています。
介護職はキャリアの見通しが立たない
4つ目は、この先どうなるのかが見えないことです。
毎日の業務に追われていると、5年後の自分が同じ仕事をしている姿しか浮かばなくなります。実際には介護福祉士やケアマネジャー、生活相談員など道は複数あります。ただ、現場にいると情報が入ってきません。
対処法は、求人票を読むことです。転職するかどうかは別にして、ケアマネジャーや生活相談員の求人票を5件ほど眺めてみてください。
必要な資格と実務経験の年数が書いてあるので、今の自分に何が足りないのかが具体的に分かります。
足りないものが分かれば、今の職場で埋められるのか、場所を変える必要があるのかも判断できます。見通しが立たないつらさは、情報を入れるだけでかなり軽くなります。

今の会社の中だけで将来を考えると、選択肢は実際より狭く見えてしまいます。
転職する気がなくても、求人票を読むこと自体が現在地の確認になりますよ。
介護職のつらさの原因が自分と職場のどちらにあるか見分ける
ここまで4つの理由を挙げましたが、最も大事なのは、今感じているつらさがどこから来ているのかを切り分けることです。
多くの人は「介護の仕事が向いていない」という大きな結論に一気に飛んでしまいます。ここを取り違えると、転職しても同じことが起きます。
ところが冷静に分解すると、原因は職種そのものではありません。特定の上司や夜勤の生活リズム、その事業所のやり方に行き着くこともあります。
切り分けの手順は簡単です。紙に、今の仕事でつらいことを思いつくまま全部書き出してください。次に、それぞれの項目に「介護職ならどこでも起きること」か「今の職場だから起きていること」かの印をつけます。
- 夜勤で生活リズムが崩れるなら、夜勤のない施設形態を選べば解消できます
- 特定の上司の言動がきついなら、職場を変えることで解決する可能性が高いです
- 記録や書類の作業量が多いなら、事業所によって差が大きい部分です
- 利用者との関わり自体がつらいなら、介護職との相性を考える段階です
印が「今の職場だから」に偏っているなら、辞めるべきは介護職ではなく今の職場です。逆に「どこでも起きること」に偏っているなら、介護職以外も視野に入れる段階にあります。

不満を頭の中だけで考えていると、全部が同じ大きさに感じられてしまいます。
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施設形態別に見る介護職の続けやすさの違い
介護職と一口に言っても、働く場所によって負担のかかり方はまったく違います。比べたいのは4点あります。
夜勤の有無と身体介護の重さ、それに1人で判断する場面の多さと給与です。この4点で見ていくと、自分に合う場所が見えてきます。
| 施設形態 | 平均給与額(月額) | 夜勤 | 身体介護の比重 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 361,860円 | あり | 重い |
| 介護老人保健施設 | 352,900円 | あり | 中程度 |
| 訪問介護 | 349,740円 | 原則なし | 中程度 |
| グループホーム | 302,010円 | あり | 軽め |
| 通所介護(デイサービス) | 294,440円 | 原則なし | 中程度 |
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、給与水準が最も高い一方で、身体介護の負担も最も重い職場です。
入所しているのは原則として要介護3以上の人なので、移乗や排泄、入浴の介助が業務の中心になります。夜勤もあり、体力面での消耗は大きくなります。
その分、介助の技術は最も早く身につきます。介護福祉士の受験に必要な実務経験を積む場所としては効率が良く、数年で一通りの介護技術を習得したい人には向いています。
体力に不安がなく、収入を優先したい人に適した選択肢です。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、在宅復帰を目指す人が入所する施設です。給与は月352,900円と特養に次ぐ水準になります。
理学療法士や作業療法士、看護師と一緒に働くため、リハビリの視点が身につきます。利用者が回復して自宅に戻っていく場面に立ち会えるので、成果が見えやすい職場でもあります。
一方、多職種と連携する分、報告や記録の量は増えます。チームで動くのが得意な人には合いますが、自分のペースで進めたい人には負担に感じられることもあります。
訪問介護
訪問介護は、利用者の自宅に出向いて介護を行う働き方です。給与は月349,740円で、施設系と比べても遜色ありません。
最大の特徴は、原則として夜勤がないことと、1対1で仕事ができることです。職場の人間関係で消耗している人にとって、常に誰かの目がある環境から離れられるのは大きな利点になります。
ただし、その場の判断を1人で下す場面が多くなります。経験が浅いうちは不安を感じやすいので、未経験からいきなり選ぶより、施設で基礎を身につけてから移る人が多い職場です。
グループホーム
グループホームは、認知症の利用者が少人数で共同生活を送る住まいです。1ユニット9人以下という規模で運営されます。
身体介護の比重は比較的軽く、調理や洗濯を一緒に行うなど、生活を支える関わりが中心になります。利用者との距離が近く、1人ひとりをよく知ったうえでケアができるのが特徴です。
給与は月302,010円と施設系の中では低めです。また、認知症への対応力が求められるため、専門的な学習は必要になります。
通所介護(デイサービス)
通所介護は、日中だけ利用者を受け入れるサービスです。給与は月294,440円で、今回比較した中では最も低くなります。
その代わり、原則として夜勤がありません。生活リズムを一定に保てるので、体調管理はしやすく、家庭との両立を優先したい人には有力な選択肢になります。
レクリエーションの企画や送迎業務が入るため、介護技術以外の仕事も担当します。人と話すことが苦にならない人には働きやすい環境です。

給与だけで選ぶと、夜勤の負担で数年後に行き詰まることがあります。
何を優先して何を諦めるのかを決めてから選ぶと、判断がぶれません。
職場選びで避けたい事業所の特徴は、下の記事でまとめています。
介護職を長く続けるための具体的な工夫
ここからは、介護職を長く続ける方法として、今の職場で試せることを整理します。
精神論ではなく、明日から手をつけられる範囲の工夫に絞りました。全部やる必要はないので、引っかかったものから試してみてください。
介護職が無理をしない仕組みを先に作る
長く続けるうえで最初に見直したいのは、無理をしない仕組みです。当たり前に聞こえますが、責任感が強い人ほどできていません。
人手が足りないから、利用者に迷惑がかかるからと考えて、自分の休みを削ってしまいます。その結果として体調を崩したり辞めることになるのが、本人にとっても職場にとっても一番損失が大きい結末です。
仕組みにするなら3つあります。有給を先に申請して予定を埋めてしまうこと、シフト希望は遠慮せず毎回出すこと、そして残業が続いたら週単位で上長に共有することです。意志ではなく段取りで守ってください。

体調を崩してから休むのと、崩す前に休むのとでは、復帰までの時間が全く違います。
早めに休める人のほうが、結果的に長く現場に立ち続けています。
介護職が変えられないことは割り切る
2つ目は、自分の力では変えられないことを切り離すことです。
職場には、人員配置や給与体系、施設の方針といった動かせない部分があります。一職員が働きかけても変わりません。ここに気持ちを使い続けると消耗するだけです。
割り切る対象と、そうでない対象を分けてください。申し送りの精度や記録の効率のように、自分の行動で改善できるものは取り組む価値があります。
一方、法人の経営方針や上層部の人事は、時間を使って悩んでも動くことはありません。
ただし、割り切ると我慢するは違います。ハラスメントや違法な勤務は割り切る対象ではなく、記録して相談する対象です。ここは混同しないでください。

何でも我慢する人ほど、限界が来たときに一気に辞めてしまいます。
切り離すものと戦うものを決めておくと、消耗が減りますよ。
介護職が1人で抱えず相談する
3つ目は、抱え込まずに人に話すことです。1人で考え続けても解決しない問題が、口に出した瞬間に整理されることがあります。
相手から答えをもらえなくても、話すために言葉にする過程で、自分が何に困っているのかがはっきりします。
まずは職場の先輩や上長です。ただ、職場のことは職場の人に話しづらいという場合もあります。家族や友人も、介護の現場を知らないと話が通じにくいことがあります。
その場合は、介護分野に詳しい転職エージェントに話してみるのも1つの手です。転職を決めていなくても相談はできます。
他の施設の状況を知っている相手なので、今の職場が標準的なのかどうかを判断してもらえます。

自分の職場しか知らないと、その環境が普通なのかどうかを判断できません。
外の基準を持っている人に話すだけでも、現在地がはっきりします。
相談先の選び方は、下の記事で詳しく比較しています。
介護職が体の使い方と福祉用具を見直す
4つ目は、体の使い方の見直しです。ここは技術なので、意識すれば必ず改善します。
介助のたびに腰へ負担をかけていないか、一度点検してください。膝を曲げずに腰から前傾していないか、足幅が狭いまま持ち上げていないかを確認します。
利用者と距離が離れたまま力で動かしていないかも見てください。この3点を直すだけで負担は変わります。
あわせて、事業所にある福祉用具を確認してください。スライディングシートや移乗用リフトが倉庫に眠っているケースは珍しくありません。
使い方が分からないなら、研修の機会を作ってもらえないか相談してみてください。それだけで負担は変わります。
介助前に確認したい3点
膝を曲げて重心を低くしているか
足を肩幅以上に開いて体を支えているか
利用者に体を近づけてから動かしているか

道具を使うことに引け目を感じる必要はありません。
用具を使ったほうが利用者の安全も守れるので、遠慮なく頼ってください。
介護職を長く続けた人が得られるもの
介護職を続けるメリットも、判断材料として押さえておきたいところです。やりがいのような感覚的な話だけでなく、数字で確認できる見返りがあります。
介護職は勤続年数と資格が給与に直結する仕事なので、続けた分の見返りははっきり金額に表れます。
介護職の給与は勤続1年から10年以上で月6万円上がる
介護職を続けた場合、給与は勤続年数に応じて上がっていきます。
| 勤続年数 | 平均給与額(月額) | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 1年 | 298,760円 | 40.4歳 |
| 2年 | 309,630円 | 40.5歳 |
| 3年 | 316,080円 | 42.2歳 |
| 4年 | 322,370円 | 42.7歳 |
| 5〜9年 | 335,640円 | 45.3歳 |
| 10年以上 | 359,040円 | 48.9歳 |
勤続1年で298,760円だった給与は、10年以上になると359,040円になります。差額は月60,280円です。年間に直すと70万円以上の差になります。
加えて、国の処遇改善による底上げも続いています。先ほど触れた令和8年度の介護報酬改定による賃上げは、勤続年数による昇給とは別に上乗せされます。

自分の昇給だけでなく、業界全体の水準が引き上げられているのが今の局面です。
続けた人ほど、この上昇分をそのまま受け取れる形になっています。
賃上げの動きの詳細は、下の記事で解説しています。
介護職は資格が取れて選べる仕事が広がる
続けることで得られるもう1つの見返りが、資格です。
社会福祉振興・試験センターによると、介護福祉士は実務経験3年以上かつ従事日数540日以上を満たし、実務者研修を修了すると受験できます。
3年という年数だけでなく日数の要件もあるため、勤務実績を確認しておいてください。
資格の有無は給与にそのまま反映されます。保有資格別の平均給与額は以下の通りです。
| 保有資格 | 平均給与額(月額) | 平均勤続年数 |
|---|---|---|
| 介護福祉士 | 350,050円 | 10.4年 |
| 実務者研修 | 327,260円 | 6.9年 |
| 介護職員初任者研修 | 324,830円 | 8.8年 |
| 保有資格なし | 290,620円 | 5.8年 |
介護福祉士と無資格者の差は月59,430円です。さらに介護福祉士を取得すると、ケアマネジャーや生活相談員、サービス提供責任者への道が開けます。現場以外の働き方も選べるようになります。

資格は今の職場で評価されるだけでなく、どこへ行っても通用する持ち物になります。
続けるかどうか迷っている時期でも、受験要件だけは満たしておく価値がありますよ。
現場以外で資格を活かす働き方は、下の記事で紹介しています。
それでも介護職を続けられないと感じたときの選択肢
工夫を試しても限界だと感じることはあります。その場合に取れる選択肢は3つあり、いきなり辞める以外の道もあります。どれを選ぶかは、先ほど整理した原因の切り分け結果によって変わります。
介護職が休職して距離を置く
心身の不調が出ている場合は、辞める前に休職を検討してください。
いきなり退職すると収入が止まり、次を焦って決めることになります。休職であれば籍を残したまま距離を置けますし、健康保険から傷病手当金を受けられる場合もあります。
まずは受診してください。医師の判断があれば話は進めやすくなります。そのうえで上長か人事に相談し、就業規則で休職期間を確認します。
迷惑をかけると考えて限界まで働く人がいますが、途中で倒れるほうが職場にとっても負担は大きくなります。一番大切にすべきは自分の心と体です。距離を置いて回復した結果、もう一度現場に戻る人も実際にいます。

休むという選択を、逃げだと考える必要はありません。
体調を戻してから判断したほうが、進路の決め方も落ち着いたものになります。
介護職のまま職場を変える
つらさの原因が今の職場側にあるなら、介護職を辞める必要はありません。職場を変えるだけで解決する可能性があります。
先ほど整理した通り、施設形態が変われば夜勤の有無も身体介護の重さも変わります。人間関係についても、事業所が変われば顔ぶれは入れ替わります。
介護職としての経験はそのまま持ち運べるので、キャリアが途切れることもありません。
ただし注意点があります。転職のタイミングを決める前に、必ず原因を確かめてください。確かめないまま職場を変えると、同じ問題を繰り返します。
目の前の不満に反応して転職を重ねる人は、根本の課題に気づかないまま職を転々とすることになりがちです。書き出して切り分ける作業は、必ず先に済ませておいてください。
新しい職場では、最初の1ヶ月に同じフロアの職員と意識的に話しておくと、その後の働きやすさが変わります。入ったばかりの時期は質問しやすい立場なので、そこを使わない手はありません。

転職そのものが解決策になるのは、原因が環境側にあると確認できた場合だけです。
そこを飛ばすと、環境を変えても同じところでつまずいてしまいます。
介護職向けの求人の探し方は、下の記事で比較しています。
介護職以外の仕事に転職する
切り分けた結果、介護職そのものとの相性に原因があるなら、他の職種を視野に入れる段階です。
未経験から移りやすいのは営業と事務、そして販売・サービスの3職種です。
- 営業
- 事務
- 販売・サービス
営業と販売・サービスでは、介護で身につけた対人スキルがそのまま活きます。相手の様子から状況を読み取る力や、要望を聞き出す力は、そのまま評価される能力です。
事務職は身体的な負担が軽く、生活リズムも安定させやすいので、体をいたわりながら働きたい人に向いています。
ただし、未経験の転職では年収がいったん下がる場合があります。目先の金額だけで判断せず、数年後に取り返せる見込みがあるかまで含めて考えてください。
もし介護以外の仕事を具体的に検討する段階なら、まずはどんな求人があるのかを把握するところから始めるのが確実です。総合型の転職エージェントなら、職種をまたいで選択肢を並べて比較できます。
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介護から異業種へ移る際の具体的な進め方は、下の記事でまとめています。
介護職が続く人に関するよくある質問
最後に、介護職を続けるかどうかで迷っている人からよく出る疑問をまとめました。
介護職は何年続けられれば一人前ですか?
介護福祉士の受験要件である実務経験3年が1つの区切りで、3年目が節目になります。
資格を取ると給与も上がり、任される仕事の幅も広がります。まずは3年を目安に考えてみてください。
1年目で辞めたいと感じるのは早すぎますか?
早すぎることはありません。ただ、辞める前に原因が職場と職種のどちらにあるかは切り分けてください。
職場側の問題なら、施設を変えるだけで解決する場合が多いです。
介護職は何歳まで働けるのでしょうか?
年齢の上限はなく、50代や60代で現場に立つ人も多くいます。
ただし身体介護の負担は年齢とともに増すので、通所介護など負担の軽い施設形態への移行を早めに考えておくと続けやすくなります。
介護職から他の職種に転職すると年収は下がりますか?
未経験の職種に移る場合、一時的に下がることが多いです。
ただし数年で取り返せる職種もあるため、目先の金額だけで判断しないでください。年収が下がる仕組みは下の記事で解説しています。
体力に自信がなくても介護職を続けられますか?
続けられます。腰への負担は体力よりも介助技術と福祉用具の使い方で決まる部分が大きいためです。
夜勤のない通所介護を選ぶという方法もあります。
介護職が続く人の特徴まとめ
介護職が長く続く人に共通しているのは、我慢強さではありませんでした。周囲への情報の渡し方が正確で、感情を持ち帰らない習慣があります。
体を痛めない介助技術を身につけ、自分に合った施設形態で働いています。そして資格取得の見通しを持っています。
データを見ても、離職率は12.4%まで下がり、同じ法人で10年以上働く人は33.9%にのぼります。介護職は続かない仕事だという前提そのものが、すでに古くなっています。
今つらいと感じているなら、まずは紙に書き出して、原因が今の職場にあるのか介護職そのものにあるのかを切り分けてください。
職場側に原因が偏っているなら、介護職を諦める必要はありません。施設形態を変えるだけで、夜勤も人間関係も身体の負担も変わります。

続けられるかどうかを、性格の問題として片づけないでください。
環境と技術で変えられる部分がほとんどなので、打つ手は必ず残っています。
自分に合う職場がどこなのかを1人で判断するのは難しい部分もあります。介護分野に強い転職サービスを使えば、施設形態や夜勤の有無まで絞り込んだうえで、他の事業所の実態を知る担当者に相談できます。
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