内視鏡看護師のきつさや辞めたい理由とは?向き不向きなど解説
内視鏡看護師は専門性がある一方でルーティンワークが多く仕事の内容に偏りがあるためきついと感じることがあります。
内視鏡看護師にきつさを感じたときには仕事内容や年収を考え、必要であれば転職も視野に入れることが重要です。
本記事では、内視鏡看護師がきついといわれる理由と対策、辞めたときの転職先について解説します。
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内視鏡看護師がきついといわれる理由
内視鏡看護師がきついといわれる主な理由には以下のようなものがあります。
それぞれの理由を解説します。
勉強量が多い
内視鏡技術は日々進歩し続けているため勉強し続けなければなりません。
特に内腔の検査に関わる医療機器を扱うため専門的な知識を必要とします。こうした技術については知識をキャッチアップするのが大変です。
内視鏡に興味があり知識習得を苦にしなければよいのですが、勉強することに疲れてしまうときつさを感じます。
ルーティンワークになりがち
内視鏡検査は患者や症状による処置に違いはなく、内視鏡検査の準備、検査技師のサポート、被験者のケアといった同じ作業が繰り返されます。
症状によって対応が変わる看護師の仕事に比べるとルーティンワークを感じやすく、その点がきつさを感じる原因です。
汚物の処理を行わなければならない
内視鏡検査の際には排泄物や汚物の処理をしなければならないケースがあります。
通常、看護師の仕事にも汚物処理は含まれますが、内視鏡検査では特に機会が多いため、こうした処理が続くときついと感じることがあります。
1日あたりの対応件数が多い
内視鏡検査は流れ作業の要素が多く、1日で何人もの患者を検査しなければなりません。
どれだけの検査数があるかは日によって変わるものの、業務時間内の対応件数が多い場合もあります。
検査数が多ければ多いほど仕事がルーティン化していると強く感じ、きつさにつながります。
患者のケアをしている実感を得にくい
内視鏡看護師の仕事は機材の準備、患者への説明、検査前の前処置、洗浄といった作業が中心です。
こうした作業は患者のケアをしている実感を得にくくつらさを感じます。
もちろん患者と接する機会がまったくないわけではありません。
しかし、患者のケアをする時間より作業時間の方が圧倒的に多いのです。
末永
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内視鏡看護師の仕事内容
ここで内視鏡看護師の仕事内容をひとつずつご紹介します。
内視鏡看護師の仕事は主に5つあります。
それぞれの仕事を解説します。
内視鏡検査の準備
内視鏡看護師の主な仕事は内視鏡の準備です。
内視鏡検査の前に内視鏡の準備をおこないます。
そのほかにも検査後に機器の洗浄や消毒をする必要もあります。検査前の手順確認、鎮静薬・消毒薬の準備などもおこなわなければなりません。
このように内視鏡検査の準場作業は多岐に渡ります。
内視鏡検査のサポート
内視鏡検査時に検査技師のサポートをおこなうのも内視鏡看護師の重要な仕事のひとつです。
内視鏡検査時のサポートには内視鏡検査の記録補助も含まれます。
内視鏡検査がスムーズに進むようにサポートするのも内視鏡看護師の大切な仕事なのです。
内視鏡前後のバイタルチェック
検査中や検査後に患者のバイタルチェックをおこないます。
検査前のバイタルチェックはもちろんのこと、検査中もチェックすることが重要です。
特に血圧、心電図、呼吸の状態をチェックし異常がないか確認します。
患者のケア
内視鏡看護師にとって、内視鏡検査のサポート以外にも重要な仕事があります。それは内視鏡検査を受ける患者のケアです。
検査内容の説明、検査室への搬送・搬出、検査後のケアを行い患者の不安感を取り除きます。
特に内視鏡検査に抵抗感を持つ人のケアは重要です。
患者のケアには安静解除(麻酔薬の効果が切れるまで)の補助も含まれます。
検査時以外の仕事
検査時以外にも内視鏡や周辺機器の点検や備品管理をおこないます。
内視鏡や備品は患者の体内に直接入るもののため、備品管理は怠ることのできない仕事です。
内視鏡看護師の1日のスケジュール
ここで内視鏡看護師の働き方をよりわかりやすく理解できるように、内視鏡看護師の1日のスケジュールをご紹介します。
時間 | 仕事 |
---|---|
8:30 | 出勤 |
8:40 | 準備 検査人数、検査内容の確認 鎮痛剤や検査に使用する薬品の準備 物品準備 |
9:00 | 検査開始(午前) |
12:00 | 検査終了(午前) 内視鏡の片づけ 医療器具の洗浄 記録実施 |
12:30 | 休憩 |
14:00 | 検査開始(午後) |
17:00 | 検査終了(午後) 内視鏡の片づけ 医療器具の洗浄 記録実施 |
17:30 | 業務終了 |
検査開始時間と終了時間は病院によってかわるものの、1日のスケジュールは決まっているためワークライフバランスはとりやすいのです。
末永
内視鏡看護師の仕事は大きく、検査前準備、検査中のサポート、検査後の片づけの3つにわかれます。検査は午前と午後の時間帯にわかれ、検査終了時間が決まっているため残業は少ないといえます。
内視鏡看護師になるメリット
内視鏡看護師になるメリットは以下の3点あります。
専門的な知識を身につけられる
内視鏡検査は専門的な知識が必要なため、医療の専門知識を身につけられます。
たとえば、内視鏡や周辺機器に関する知識は医療技術として貴重な知識です。
そのほかにも、実際に処置はおこなわないものの、医師の処置(画像のアセスメントや粘膜の切除・焼灼、クリッピング技術など)を間近で観察することにより専門的な知識の習得もできます。
このように看護師でありながら医療の専門知識を身につけられるのは大きなメリットといえるでしょう。
ワークライフバランスをとりやすい
先ほど内視鏡看護師の1日のスケジュールでご紹介したとおり、内視鏡研鑽を実施する時間は昼間の時間帯で夜勤の対応はありません。
そのため仕事とプライベートの時間が明確に分かれており、ワークライフバランスを取りやすいです。
生活リズムを取りやすい点も内視鏡看護師になるメリットのひとつです。
検査の仕事に携われる
内視鏡看護師は、医療関係の仕事の中でも特に検査の仕事に携われます。これは看護師の中でも特殊な仕事です。
さらに将来消化器内視鏡技師を目指すキャリアもあり、検査の仕事に携わることでこうしたスキルをキャリアアップに活かせます。
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会が2021年に公表した消化器内視鏡技師業務指針(第1版)によると、1980年以降、内視鏡技師の資格認定をされた人のうち看護師資格を保有している人はわずか15,377名しかいません。
このことからも内視鏡技師がいかに希少性のある仕事であるかがわかります。
加えて、内視鏡看護師として働くことで「複数のことを同時におこなう」「予測を立てて働く」といったソフトスキルも身に付きます。
内視鏡看護師になるデメリット
一方で、内視鏡看護師にはデメリットもあります。
内視鏡看護師のデメリットにはこのような点があります。
それぞれのデメリットを解説します。
特定の領域しか仕事に携われたい
内視鏡看護師は内視鏡検査以外の仕事に携われない点がデメリットです。
特に患者の介助や注射といった仕事はなく、そのほかの臨床経験も積めません。
これは特定のスキルしかアップせず一般的な看護スキルが上がらないことを意味します。
仮に内視鏡看護師から医療に関係するほかの職種に転職したくても、思うようにできないことが考えられます。
ルーティンワークになりがち
さきほどご紹介したとおり、内視鏡検査看護師の仕事は同じような作業の繰り返しです。
看護師の仕事もルーティンワークの要素はあるものの、内視鏡看護師の仕事の方が限定的な仕事の繰り返しであるといえます。
このように内視鏡看護師は極めて限定的で決まった仕事しかしないため、ルーティンワークになりやすいのです。
勉強量が多い
内視鏡は光学技術、エレクトロニクス技術、材質、システムといった点で日々進歩しているため勉強し続けなければならず、基礎的な医学についての勉強も必要です。
検査手法や消化器に関する医学そのものが大きく変わることはないものの、内視鏡の技術進歩によって操作方法や洗浄方法は変わります。
内視鏡看護師はこうした知識を習得するために勉強を続けなければならず、この点がデメリットです。
末永
内視鏡看護師にはメリットがある一方でデメリットもあります。もしデメリットを強く感じたときには転職も視野にいれてみてはいかがでしょうか。
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内視鏡看護師に向いている人
内視鏡看護師は看護師の中でも特定の技術を身につけた看護師であるといえます。
内視鏡看護師に向いている人にはこのような特徴があります。
内視鏡に関する専門知識を身につけたい
内視鏡検査は特殊な医療行為であり、もともと内視鏡検査に興味があり強く志望している人は内視鏡看護師に向いています。
内視鏡そのものの専門知識が身に付くほか、周辺器機を管理する機会は内視鏡看護師でしか経験できません。
内視鏡を扱える人は貴重な存在ともいえ、内視鏡に関する専門知識を身につけ痛い意欲が強い人にとって内視鏡看護師は向いています。
消化器内科の仕事に興味がある
医療分野の中でも特に消化器内科に興味がある人は内視鏡看護師に向いています。
直接医療行為を実施できないものの、普段目にすることがない人体内部の消化器官を直接モニターで観察する機会は内視鏡看護師の貴重な経験のひとつです。
内視鏡看護師から内視鏡検査技師にステップアップする人も多く、消化器官に興味があり専門知識を深めたい人は内視鏡看護師は向いています。
消化器検査を仕事を苦にしない
内視鏡検査を苦にしない人も内視鏡看護師に向いています。
消化器検査は内腔を見る、汚物を処理するといった場面に遭遇する機会の多い検査です。
さらに内視鏡を使った治療を施す場合は体液を直接見る場面にも遭遇します。
こうした臓器や体液を見ることに対して抵抗感がない人は内視鏡看護師向きです。
内視鏡看護師に向いていない人
一方で内視鏡看護師に向いていない人もいます。
内視鏡看護師に向いていない人にはこのような特徴があります。
それぞれも特徴を解説します。
ルーティンワークが不得意
ルーティンワークに飽きを感じる人は内視鏡看護師に向いていません。
内視鏡看護師の仕事で紹介したとおり、内視鏡検査の仕事は機器の準備、検査の前処理、患者のバイタルチェック、汚物処理が検査のたびに繰り返されるためです。
1日の中で複数の患者に対して同じ作業をおこない、基本的に作業内容の違いはありません。
そのため常に違った医療処置をしたい、あるいはルーティンワークに飽きを感じる人は内視鏡看護師に向いていません。
患者のケアを仕事にしたい
患者のケアを仕事にしたい人も内視鏡看護師には向いていません。
内視鏡看護師は事務的な作業が多く、患者と接する機会(コミュニケーションをとる時間)が限定されるためです。
内視鏡看護師もバイタルチェックや検査前、検査後に患者のケアをおこないます。しかし、これはあくまで限られたものであり患者に応じたケアとは違います。
病棟勤務の看護師のように患者のケアを仕事にしたい場合は内視鏡看護師の仕事は不向きといえます。
看護業務全般の臨床体験を積みたい
看護師業務全般にかかわりたい、看護師業務全般の臨床体験を積みたい人も内視鏡看護師は向いていません。
内視鏡検査は限定された医療処置しかしないためです。
バイタルチェックや患者とのコミュニケーションはあるものの、食事介助や昼間の問診、夜間の見回り、定期的なバイタルチェックは内視鏡看護師は経験できません。
看護師としてさまざまな臨床体験を積みたいと希望がある場合は内視鏡看護師には不向きです。
内視鏡看護師を辞めたいときの判断基準
内視鏡看護師がきついと感じたとき、本当に辞めるべきかどうか悩むことがあるかもしれません。
そこで辞めるべきかどうか判断する基準をいくつかご紹介します。
このような点を判断基準として考えてみましょう。
それぞれの判断基準について解説します。
きつさに耐えられないとき
内視鏡看護師として頑張ろうと思ってもどうしても耐えられないときがあります。
頑張ることは大切ですが、心身に異常を来たしては元も子もありません。
今回紹介した勉強量が多い、ルーティンワークになりがちといった「きつさ」にどうしても耐えられないときはストレスを蓄積させないためにも内視鏡看護師を辞めることも選択肢のひとつです。
そのときにはあらためて自分のやりたいことと今までの経験を振り返り、自分に合った転職先を見つけることをおすすめします。
内視鏡看護師に向いていないと強く感じるとき
内視鏡看護師に不向きだと感じるときは仕事の適性が合っていないと思われるため辞めることも考えてみましょう。
向き不向きは実際に経験して気がつくことも多いものです。
気がついたことを前向きに捉えて転職に向けて一歩踏み出すことをおすすめします。
キャリアパスに疑問を感じたとき
内視鏡看護師のキャリアパスに疑問を感じたときには、自分の描いているキャリアパスに沿った職種に転職しましょう。
内視鏡看護師を選択したものの、看護師としてのスキルに偏りがでることに不安を感じる、あるいは内視鏡以外の医療に興味を持つこともありえます。
あらためてキャリアパスを見つめ直し、内視看護師以外の選択肢を考えてみることも重要です。
年収を上げたいと感じたとき
内視鏡看護師の年収は看護師の平均年収より低く、たとえばマイナビ看護師の求人によると360~480万円の年収帯がもっとも多くみられました。
令和5年賃金構造基本統計調査では看護師の平均年収は約508万円との結果があり、看護師の平均年収と比べると約30~150万円もの差があります。
仕事に対する捉え方はひとそれぞれ違うものの、収入を重視したい、もしくは年収を上げたいと感じたときに、年収を転職の判断基準として考えることは大変重要です。
末永
キャリアパスに疑問を感じる、あるいは年収を上げたいときには転職を考えてみるのもひとつの選択肢かもしれません。こちらの記事では看護師の年収について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
内視鏡看護師を辞める場合の転職先
実際に辞めると決意したときに、はたしてどのような職種を選べばいいか迷うかもしれません。
そこで内視鏡看護師を辞めたときに今までのスキルを活かせる職種をいくつかご紹介します。
転職先として考えられる職種には以下のようなものがあります。
それぞれの転職先をご紹介します。転職を考えるときにはぜひ参考にしてみてください。
病棟の看護師
病棟の看護師は患者のケアやバイタルチェックといった医療処置をおこなう看護師です。
内視鏡看護師に比べると臨床体験も多く、通い慣れた病院勤務のため比較的職場に馴染みやすいメリットがあります。
内視鏡看護師で経験したバイタルチェックや患者とのコミュニケーション、看護師との連携も活かせるため、病棟での活躍も見込めますよ。
外来の看護師
外来の看護師も内視鏡看護師の転職先として考えられる職種のひとつです。
患者とのコミュニケーションは病棟の看護師に比べると見劣りするものの、内視鏡看護師で経験したスキルを活かせます。
内視鏡看護師といえば臨床経験が偏っていると思われがちですが、仕事の中で培われたスキルは意外と多いのです。
たとえば点滴や麻酔注射といった医療処置、てきぱきとした対応力や患者へのケアなど内視鏡検査で実施してきた仕事はさまざまあります。
こうしたスキルを活かして多くの患者と触れ合い、汎用的な医療処置をおこなえる点が外来を対応する看護師のメリットです。
内科の看護師
内視鏡看護師の経験を活かす職種として内科の看護師もおすすめです。
内科は胃や腸といった内臓器官の痛みや異常を訴える患者が多く、内視鏡検査のときに得た専門知識を結び付けて考えられるためです。
もちろん医療行為そのものはできませんが、異常の原因を推測しながら患者のケアができる点は内視鏡看護師のメリットを活かして活躍できます。
末永
ひとえに看護師といってもさまざまな職種があり、働く場所によって仕事の内容も変わります。もちろん得られるスキルや年収も変わり、何を重視するのかがポイントです。
こちらの記事では看護師の転職エージェントに関する詳しい解説をしています。看護師向けの転職エージェントではさまざまな医療関係の求人を取り扱っているため新しい発見があるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。
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内視鏡看護師に関してよくある質問
ここで内視鏡看護師に関してよくある質問に弊社末永がお答えします。
未経験でも内視鏡看護師になれますか?
相談者
内視鏡看護師に興味があります。未経験でも内視鏡看護師になれますか?
末永
内視鏡看護師は専門的な知識を必要とするため未経験者がなることは難しいです。実際、求人を見ても経験者に絞っているものが多いのが実情です。
ただし、看護師となってから勉強をし、徐々に内視鏡看護師の業務に携わるケースもあります。
スタッフを教育する体制の整った病院に勤務すると内視鏡看護師になれる可能性は上がります。
内視鏡看護師に必要な資格はありますか?
相談者
内視鏡看護師に必要な資格はありますか?
末永
内視鏡看護師になるために特別な資格は必要ありません。しかし、将来を見据えると取得しておいた方が有利です。
内視鏡看護師に関連する資格には以下のようなものがあります。
スキルアップのためにもぜひチャレンジしてみましょう。
内視鏡看護師のスキルチェックシートはありますか?
相談者
自分に内視鏡看護師の適性があるか知りたいです。内視鏡看護師のスキルチェックシートはありますか?
末永
内視鏡看護師の給料はどのくらいですか?
相談者
内視鏡看護師の給料はどのくらいですか?
末永
数多くの求人を見ると平均的な給与はおおよそ30~40万円程度で募集されており、年収にすると360~480万円程度です。
令和5年賃金構造基本統計調査によると看護師の平均年収は約508万円であるため、看護師の平均年収と比べると少ないといえます。理由は残業がないためです。
しかし、スキルを磨き待遇の良い病院に転職することで年収アップを図れます。
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- 現場の看護師さんからヒヤリングしたリアルな情報が知れる
- 医療系転職サービスを複数展開しているので信頼できる
このように内視鏡看護師の仕事は特定の作業を繰り返すことがきつさを感じる大きな原因です。もし看護師として幅広く経験を積みたいと思ったときには転職を考えてみるのもよいかもしれません。