看護師が異動する理由を解説!配置転換に納得できない場合の対処方法を伝授
総合病院など複数の診療科病棟がある職場では、看護師にも異動(配置転換)があります。理由や年数は病院によって異なります。
ここでは、異動がある理由や必要性、異動に納得できない場合の対処方法について紹介します。
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看護師は3年程度で異動することが一般的
総合病院や大学病院など、複数の診療科病棟がある大きな病院の場合、看護師の異動(配置転換)は当たり前のようにおこなわれています。
異動時期・異動方法は病院によって異なりますが、3~4年間隔で異動するのが一般的です。
※事情があれば1年前後で異動を命じられるケースもあり、異動先も病棟間だけでなく、病棟から検査室や透析室へ異動することもあります。
なお、新人・既卒看護師の採用時に、異動があることを求人票に記載する病院もありますが、異動自体は当然のものとして、求人票には何も記載されていないこともあります。
末永
部署異動で選ばれる看護師の特徴
異動(配置転換)は基本的に「看護師自身の事情」もしくは「病院側の事情」によって実施されます。
「看護師自身の事情」であれば、看護師が異動希望を申し出た結果で異動する場合です。
例えば
違う診療科に移りたい、系列病院に異動したいなど、看護師自身が異動を望んでいる場合は、部署異動の対象者に選ばれやすくなります。
「病院側の事情」は、人員調整や人材育成を目的に異動させる場合です。人員調整であれば人手不足になった部署へ、余裕のある部署から人員を異動させます。
例えば
人手不足の部署は基本的に即戦力となる人員異動となるため、異動対象として選ばれる人は基本的な看護スキルを保有している看護師が対象となる場合が多いです。
人材育成の観点から病院側が異動させる場合は、幅広いスキル・技術を身に付けてもらうために、ジョブローテーションの一環として異動させます。
この場合、若手看護師が対象者になりやすく、現時点で能力を最大化できていないと判断された看護師や、今後適切なキャリア形成をしていってほしい看護師が対象となることが一般的です。
末永
逆にほとんど異動しない人は、看護師本人が異動希望を持っていないことはもちろん、優秀なので現職場から手放してもらえなかったり、スキル不足で引き取り手がいなかったり、といった特徴もありますね。
末永
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看護師を部署異動させる理由
看護師を異動させる理由も病院によってさまざまです。ここでは看護師が部署異動する際に考えられる理由を5つ紹介します。
スキルと経験の向上
定期的に部署異動を実施することで、その看護師が持っているスキルや経験値を高める効果が期待できます。
看護師自らが異動希望を出して異動する場合はもちろん、病院からの辞令で異動する場合も、働いてみると自分に合っていて予想以上に能力発揮できたというのはよくあるケースです。
病院側も看護師一人ひとりの特性を見極め、どの業務に適性があるかを見抜くことは簡単ではありません。
配置転換を通じて実際にいくつかの業務を経験させることで、強みや弱みが明確になるため、適材適所の判断が可能になるのです。
末永
また、病院側の理由として、幅広い業務を経験させることで、高スキルで汎用性の高い看護師を育成したいというものもあります。
末永
看護師は業界全体で慢性的に人手不足が続く業界であり、人員不足になった場合も、すぐに追加要員を確保できるとは限りません。
そのため、既存の看護師を育成し、定着化させることで、人材採用にかかるコストを圧縮したい意図もあります。
人員調整
病院側の意図として人手不足に陥っている部署へすぐに看護師を配置したり、今後病院をあげて注力したい事業領域などがあった際に、必要なスキルをもった看護師を異動させるケースがあります。
求人を出すことで病院外からの人材確保も可能ですが、病院内のルールや環境に慣れた看護師を配置転換させることで、迅速に欠員を補充するのが目的です。
キャリア開発の支援
人事異動で強制的に業務内容が変わるので、異なる診療科・部署での経験を積む中で看護師自身の適性を把握することが可能です。
看護師自身の強みと弱みを明確化し、将来の意向・方向性を具体化させることで、キャリア開発の支援につながります。
また、看護師自身のメリットも大きく、複数の部署や業務を経験することで、医療・看護に関する多角的な視点が身につきます。
身に付けた技術やスキルを応用する力や専門性を高めることもできますね。
職場環境の改善
定期的な人事異動で職場の人間関係をリフレッシュする効果があります。他部署での経験や知見を通して異動先の業務を見ることで、異動先部署の看護師がこれまで思いつかなかったアイデアや課題に気付く機会が増やせるのです。
部署内のメンバーが固定化されていると、仕事のマンネリ化によって看護師の業務意欲が低下してしまう場合がありますが、定期的に人材異動があると異動者や周りの看護師のモチベーションは向上し、結果として職場活性化につながります。
組織の活性化
人事異動を通して病院内のコミュニケーション活性化やリレーション構築を促す目的もあります。
さまざまな部署を経験する中で、看護師は自ずと病院の部署内外に多くの知り合いを作ることができます。複数の部署が関連するような業務があった場合も、異動者が橋渡し役となり、部署間の連携をスムーズに進めることが可能です。
基本的に看護師は異動を拒否できない
人事異動は基本的には拒否できません。人事異動は「業務命令」であり、これを拒否すると「業務命令違反」になる可能性が高くなることから、場合によっては懲戒処分となる可能性もあります。
看護師に限らず、日本では正社員として働く場合、終身雇用のように長期的に働くことが前提です。そのため、会社・組織への雇用規制(労働者を簡単に解雇できないよう制限する法的規制)は厳しく設定されています。
一方で、会社・組織は労働者に対して強力な人事権を持っており、労働者は人事異動を原則的に拒否できないものとされているのです。
末永
「今の診療科でやりがいを感じていたが異動を命じられてつらい…拒否できるのだろうか?」と悩みを抱えているている人は、転職を検討してみてはいかがでしょうか。
末永
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異動を拒否できる場合もある
人事異動は原則として拒否はできませんが、人事異動によって看護師の仕事や生活に大きな影響を与えることは事実なので、理由があれば拒否できるケースもあります。
たとえば、雇用契約書で勤務地や職務内容が限定されている場合は、契約内容から大きく外れる異動に対しては「契約違反」として断ることが可能です。
末永
また、介護や育児といった個別の事情によって異動・転勤が難しく、辞令に従うと異動者への影響が大きくなる場合は拒否できる可能性もあります。
ただし、この場合は病院側の配慮によって人事異動が取り消されることになるので、必ずしも拒否できるとは限りません。
末永
異動(配置転換)を拒否すると職場で働きにくくなる可能性があります。その場合は現在の職場に固執せず、他の医療施設も検討してみることをおすすめします。
看護師を求めている医療施設はたくさんあります。中には異動がなく、希望の仕事ができる施設も存在しています。
まずはどんな求人があるのかを確認する意味で転職エージェントに相談してみると良いでしょう。
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看護師を部署異動させるメリット・デメリット
看護師の異動(配置転換)にはメリット・デメリットのどちらも存在します。ここでは代表的なメリット・デメリットを紹介します。
看護師を部署異動させるメリット
看護師が異動(配置転換)するメリットとしては、異動することによって新しいスキルが身につくことがあげられます。
いつまでも同じ病棟で働いていては、仕事の内容も固定されてしまい、スキルアップに限界があります。
新しいスキルを身につけることができれば、キャリア形成にも役立ちます。また、転職して新しいキャリアを身につけるより、異動したほうが同じ病院内なので勝手が分かっている分、新しい職場にも馴染みやすいのもメリットです。
また、病院側のメリットとして、マンパワーの調整や人間関係のリセットがあげられます。特定の場所で看護師の離職や休職が続くと、マンパワーが不足し、そこで働く看護師にだけ負担が大きくなるので人事異動で調整するのです。
末永
ほかにも、長い間職場で働く人が固定されていると、働く者の間で軋轢が生じ、話し合い程度では解決できなくなることも珍しくありません。
定期的に看護師を異動させることで病院内を活性化させることで、「職場を働きやすく」するメリットもありますね。
看護師を部署異動させるデメリット
看護師が異動(配置転換)するデメリットとしては、モチベーションの低下があげられます。異動先の希望を聞いてくれる病院もありますが、必ずしも希望が通るとは限りません。
病院によっては本人の希望を一切聞かずに異動をおこなうこともあります。
「異動先がまったく希望していない部署で、キャリア形成にも役に立ちそうにない」場合、モチベーションが一気に低下してしまうケースも珍しくありません。
末永
また、異動直後は新しい人間関係を作りながら仕事も覚えなくてはならず、負担が大きくなります。
異動先の人間関係にすんなり馴染めればいいのですが、苦手な人が多い場合、「指導をうまく受けられない」「新しい仕事を覚えようとしてもうまくいかない」と悩むこともあるかもしれません。
末永
病院側のデメリットとしては、看護師の専門性が育ちにくい、人事異動に伴う運用コストがかかるなどのデメリットもありますね。
看護師が異動先に早く慣れるコツ
希望するかどうかに関わらず、病院で勤務している以上、人事異動は避けられません。ここからは看護師がいち早く異動先の業務に慣れるためのコツを3つ紹介します。
異動先の情報収集をする
同じ病院内といっても部署や診療科が違えば、職場のルールは異なります。元部署と比較し、元部署でのやり方に固執したり、非効率に感じてしまったりする場合も、まずは新しい環境のルールを素直にインプットすることが重要です。
また、人間関係も事前に押さえておきましょう。○○に関することは○○さんに質問する、などあらかじめ相談先を見つけておきます。部署内のパワーバランスも押さえておくと、問題発生時もスムーズに対処できますよ。
異動先へ早めに挨拶をする
異動先の看護師長や先輩看護師、同僚看護師などに対しては早めに挨拶に行きましょう。全員の前で1度に挨拶できない場合も、部署内の全ての関係者と対面で挨拶できるようにします。
お互いに初対面の場面では挨拶から人柄や態度をチェックされるので、好印象が与えられるようにすることが重要です。
うまく話すというよりも、誠実さや真面目さ、協調性などが伝わるように、笑顔を絶やさず、ハキハキと話すことを意識してみてください。
先輩看護師を真似する
「職場の人が分かりやすく仕事を教えてくれない」場合は、まず先輩看護師の仕事ぶりをまねしてみましょう。
人の動きを観察していれば、どんな風に仕事をしているか分かってきます。そのうえでどうしても分からないことを質問してみると良いですね。
看護師が異動に納得いかない場合の対処法
人事異動は原則として拒否できないので、納得できない場合は転職を検討するのもおすすめです。
ただ、毎日忙しく働く看護師が、日々の業務と転職活動を両立するのは容易ではありません。
初めての転職活動で何から始めていいのか分からない人や、忙しくて転職活動に時間がかけられない人、短期間で効率よく転職活動を進めたい人は、「転職のプロ」である転職エージェントを頼りましょう。
末永
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末永
転職エージェントでは、面談の際にキャリアアドバイザーが希望条件やライフスタイルを配慮して、マッチする求人を紹介してくれるので、異動とは違い希望が通りやすいです。
希望する診療科などが明確に決まっている場合も転職エージェントを利用してみると良いかもしれません。
末永
看護師に特化した転職エージェントを利用すれば、元看護師など職種や業界に精通しているキャリアアドバイザーからのサポートを受けることができます。
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看護師が異動によるストレスを感じた場合
看護師はただでさえストレスを感じやすい職種ですが、それに異動という環境の変化を伴うとさらにストレスを感じてしまう可能性があります。
実際に、マイナビ看護師が発表している「看護師白書2022年度版」をみると、ストレスを「ほぼ毎日感じている」と回答した看護師が49.4%と、約半数が何かしらのストレスを抱えていることがわかりました。
看護師が抱えやすいストレスは以下の通りです。
ストレスの内容
- 上司や同僚との人間関係:62.4%
- 仕事の内容:50.3%
- 仕事量の多さ:47.2%
異動は、新しく人間関係が構築され、仕事内容も大きく変わる時期です。
看護師が抱えやすい原因の上位2つが該当しやすいため、異動の際のストレスには注意が必要です。
末永
ストレスを感じてしまったら、休息やリフレッシュすることが大切です。
夜勤などの生活リズムが一定ではない看護師だからこそ、休むことはストレス解消に効果的だと言えます。
末永
もし、それでもストレスが解消されないのなら、思い切って辞めて転職するという選択肢も前向きに検討してみてください。
ストレスを溜め込んでしまうと、病気のリスクが高くなります。希望しない異動先で約3年ストレスに耐えるのではなく、転職も視野に入れてみてくださいね。
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看護師の異動に関するよくある質問
看護師の異動(配置転換)に対してよくある質問をまとめました。ぜひ参考にしてください。
異動先が合わずつらい場合
転職者
異動後の部署で仕事内容や人間関係に馴染めず、看護師を続けるのがつらいです。どうすればいいですか?
末永
異動後は新しい職場に新鮮さを感じる一方で、職場に慣れるまで不安を感じたり気疲れしたりしますよね。
ただ、「早く成果を出さなければ」「早く周りとの関係性を作らなければ」と焦る必要はなく、「ルールや人間関係の情報収集」「気持ちの良い挨拶」「先輩社員の真似から始める」などのポイントをおさえることで、徐々に職場に溶け込めるようになります。
末永
とはいえ、異動先部署に馴染めずストレスを抱えているのなら転職も1つの選択肢です。
転職エージェントを利用すれば希望条件に合う職場を探しやすく、職場見学で事前に雰囲気を理解できます。自分で探すよりも理想の職場に出会う確率は高くなりますね。
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異動先でキャリアを上げる方法
転職者
異動先で看護師としてのキャリアアップを目指すにはどういう方法がありますか?
末永
まずは異動先の業務に慣れ、看護師として1人前にこなせることが大切です。
その上で更なるキャリアアップ・スキルアップを目指すなら、専門資格を取得する方法もあります。
たとえば、認定看護師や特定看護師を目指したり、診療科ごとの専門資格を取得するのが良いですね。
自分で部署異動を希望する場合
転職者
看護師で部署異動を希望したい場合の伝え方・手順を教えてください。
末永
異動したいと思ったら、以下のような手順を踏むとスムーズです。
- 上司に個別面談を申し出る
- 異動希望を伝える
- 上司に感謝の気持ちを伝え、引き継ぎ協力を依頼する
部署ごとの繁忙期をさけ、人事異動時期の少し前に異動希望を伝えるのがポイントです。
また、単に希望を伝えるだけでなく、異動することで病院にどう貢献できるのか、どれほど有益なのかを伝えると、上司や人事担当を納得させやすく、希望通りに異動が通りやすくなりますよ。
たとえば、以下のような異動希望(配置転換)の例文を参考にしてみてください。
例文
現部署で○○年間勤務し、患者さんに寄り添い回復を支援する仕事にやりがいを感じています。次のステップとして現部署での経験を活かして○○な経験・スキルを積むことで、より患者さんの健康維持に貢献できる看護師になりたいと考えています。
ちなみに看護師は年度始めの4月と10月の異動が多い傾向にあります。