理学療法士は増えすぎ?今後の需要とキャリアの方向性を解説
理学療法士は近年増加傾向にあり、将来に不安を感じる声もあります。
理学療法士が増えている背景や今後の需要、働き方の広がりについて分かりやすく解説します。
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理学療法士が増えすぎている背景
理学療法士の人数は年々増加しており、「多すぎるのでは」と感じる人もいます。
その背景は、過去の人材不足に対応して養成校が増えたことや、国家試験の合格者数が長期間にわたり高水準で推移していることです。
ここでは理学療法士が増えすぎている背景を2つ紹介します。
養成校の増加と国家試験合格者数の推移
理学療法士の人数が増えている要因は、養成校の増加と国家試験合格者の多さです。
厚生労働省や日本理学療法士協会の統計によると、養成校は2000年代以降に大きく増え、国家試験の合格者数も毎年およそ1万人前後で推移しています。
これにより資格を持つ理学療法士が急増し、現在では供給過多の傾向が強まっています。
少子化や政策の影響
少子化の進行により、理学療法士養成校への入学希望者が減少し、定員割れや募集停止となる学校が増えています。
また、過去に実施された人材確保を目的とした政策が、理学療法士の供給過多につながった一因でもあります。
文部科学省の統計によると、18歳人口は1992年の約205万人から2025年には約110万人に減少し、2041年には80万人を下回ると予測されているのです。
さらに、2000年代には厚生労働省の方針により養成校数が大きく増加し、その結果、理学療法士の供給が過剰になっています。
最近では、少子化の影響で学生の数が減る中、理学療法士を育てる学校も見直しが進んでいる状況です。
昔は学校がたくさん増えましたが、今は教育の質や実際の現場で役立つ力を大切にする動きが強まっています。
これからは、人数だけでなく、しっかりとした技術や知識を持った理学療法士が求められます。
理学療法士の人数と仕事|受給バランスの現状
理学療法士の人数は約20万人を超えていますが、仕事の需要と供給のバランスは地域ごとに大きく異なります。
都市部では理学療法士が多く競争が激しい一方、地方では人手不足の地域も見られます。また、病院や介護施設、訪問リハビリなど、働く施設や職種によっても求人状況が変わるのです。
以下より理学療法士の人数と仕事、受給バランスの現状を詳しく紹介します。
地域ごとの理学療法士の需要差
理学療法士の需要は地域によって大きく異なります。高齢化が進む地方では、医療や介護施設での理学療法士不足がとくに顕著です。
一方で、都市部では理学療法士の供給過多や充足率の高さが見られ、地域間で大きな差が存在しています。
厚生労働省の「第3回 理学療法士・作業療法士需給分科会」によると、医療・介護施設での理学療法士需要は高齢者人口や医療体制の違いに応じて変わります。
とくに高齢化率の高い地域ほどリハビリ需要が増え、理学療法士の必要性が高まっているのです。
理学療法士の地域ごとの需要差は、今後の働き方やキャリア選択に大きく影響します。
地方での不足を補うための支援や、都市部での競争を乗り越えるための専門性強化が、これからの理学療法士に求められていますよ。
働く施設や職種の違いによる求人状況
理学療法士の求人は、病院や介護施設などの職場だけでなく、担当する職種によっても偏りがあります。
とくに訪問リハビリや通所リハビリなどの在宅分野では求人が多く、働き方や求められる専門性に違いが見られます。
厚生労働省の「第3回 理学療法士・作業療法士需給分科会」によると、2018年時点で介護分野に従事する理学療法士は約2万5千人強で、2025年には3万人を超える見込みです。
訪問リハビリや通所リハビリなどの在宅支援業務で求人が増加しており、医療施設の急性期リハビリと比べて求人数や業務内容に差があることがわかります。
訪問リハビリや通所リハビリは、地域での生活支援を重視するため、理学療法士にとって専門性を活かしつつ柔軟な働き方が可能な分野です。
今後も高齢化の進展に伴い、在宅分野の需要はさらに拡大すると考えられます。
理学療法士の求人は職場や分野によって大きく異なるため、自分に合った職場を見つけるには最新の求人情報を効率よくチェックすることが大切です。
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理学療法士の増加による課題と問題点
理学療法士の増加により業界にはさまざまな課題が生まれています。
ここでは主な問題点を3つ紹介します。
今後は専門性を高め、多様な働き方に対応することが必要です。
就職難や求人の減少
理学療法士の急増により、新卒者や既卒者の間で都市部を中心に就職難が目立っています。
仕事の選択肢が限られ、求人の質も下がっているため、安定した就職が難しい状況です。
厚生労働省の「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方の検討会」によると、養成校の学生1人に対する求人件数は36件と非常に多いとされています。
しかし、実際の就職先は一部の施設に集中しており、都市部では希望する職場に就職できる割合が減っていることが分かっています。
就職の難しさは、理学療法士が増えたことによる「供給過多」だけが原因ではありません。
医療・介護分野の需要構造の変化や、求職者の職場選びの傾向も影響しています。
とくに都市部では人気施設に応募が集中しやすく、地方との就職格差も広がっている状況です。
理想の職場を見つけるには、エリアや分野を柔軟に見直すことも選択肢となります。
年収や待遇の伸び悩み
理学療法士の年収は2024年時点で約444万円となっており、全職種平均より低い水準にあります。
人材の供給が増えた影響で昇給や待遇の改善が進みにくく、報酬面での魅力がやや低下しています。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」では、全職種平均年収は約460万円であり、理学療法士との差は約16万円です。
年収 | |
---|---|
2019年 | 410万円 |
2020年 | 411万円 |
2021年 | 427万円 |
2022年 | 431万円 |
2023年 | 433万円 |
2024年 | 444万円 |
理学療法士の年収アップには、専門性の向上に加え、マネジメント職へのキャリアアップも効果的です。
たとえばリハビリリーダーや部署のマネージャー、さらには施設長や副施設長などの管理職を目指すことで、収入や待遇の改善につながりますよ。
理学療法士の給与が上がりづらい理由や収入アップの方法を紹介しています。ぜひご覧ください。
業務負担や働き方の変化
理学療法士は、多様な働き方が求められる中で、患者対応に加えて書類作成や会議、チームでの連携業務などの負担が増えています。
業務の幅が広がり、職務内容がより多岐にわたるようになっているのが現状です。
厚生労働省による「令和5年度の実態調査結果」では、事務作業や多職種での連携対応が増加傾向にあり、理学療法士も同様の状況にあると考えられます。
今後は業務負担を軽減する工夫や、効率的な働き方を意識することも重要です。
ICTの活用やチーム内での役割分担を見直すことで、理学療法士としての専門業務に集中できる環境を整えることが求められています。
需要が伸びる理学療法士の働き方と分野
理学療法士は医療現場だけでなく、訪問リハビリや介護予防、小児分野など、活躍の場が広がっている状況です。
高齢化の進行や地域包括ケアの推進により、これらの分野での需要は今後も伸びていくと考えられます。
多様な働き方や分野に対応できるスキルや知識が、キャリアの幅を広げるカギとなります。
訪問リハビリテーション
高齢化の進行に伴い、自宅でリハビリを希望する人が増えており、訪問リハビリテーションの需要は今後さらに拡大すると見込まれます。
厚生労働省のデータによると、介護保険を利用した訪問リハビリの利用者数は年々増加しており、2023年度には約45万人が利用しています。理学療法士にとって、在宅分野での活躍が今後ますます重要です。
訪問リハビリテーションは、利用者の生活の場でリハビリを提供する重要な分野です。
高齢化が進む今、理学療法士にとって今後ますます需要が高まる働き方の1つと言えます。
施設勤務とは異なるやりがいがあり、地域での活躍を目指す人にとって有力な選択肢ですよ。
地域包括ケア・介護予防分野
理学療法士は地域包括ケアシステムの中核を担い、在宅での自立支援や生活機能の維持・向上に欠かせない存在です。
とくに介護予防分野では、高齢化の進行にともなって、その需要が急速に高まっています。
厚生労働省の「介護保険制度について」でも、通所リハビリテーションや生活機能訓練の現場で理学療法士がリハビリサービスを提供していることが明記されています。
施設や病院だけでなく、地域ケアでも専門職として積極的に参画している点も注目すべき特徴です。
理学療法士は地域で高齢者が安心して生活できるように、他の職種と連携して支援しています。
身体機能の評価や運動指導、生活環境の調整を通じて、生活の質向上に取り組んでいます。
さらに、ICTを活用した遠隔リハビリや利用者・家族へのセルフケア指導も広がっており、地域包括ケアの充実に不可欠な存在です。
小児リハビリや予防医療
理学療法士は小児リハビリテーションと疾病の重症化予防の両分野において、役割の幅が広がっている状況です。
小児リハビリでは、成長過程にある子どもたちの発達支援や機能改善に専門的なケアを提供しています。一方、疾病重症化予防の分野は、生活習慣病や転倒、介護予防に対する『予防理学療法』が重要な役割を担っている分野です。
厚生労働省の「リハビリ職に関する報告」では、理学療法士による予防理学療法が生活習慣病や転倒予防に有効であることが明記されています。
また、J-Stageの論文でも、小児集中医療施設の整備に伴い、小児リハビリテーションの体制拡充が報告されており、両分野での需要と期待が高まっています。
このように、理学療法士は幼少期から幅広い年代の健康維持と機能向上に貢献しており、今後さらに活躍の場が拡大していく分野です。
小児リハビリや予防医療は、理学療法士の専門性を活かせる将来性の高い分野です。
とくに小児や高齢者のケアに関心のある人にとって、早期からのキャリア形成が有効といえます。
これらの分野では、専門知識に加えて、家族や地域と連携する力も求められるため、幅広いスキル習得がキャリアの強みになりますよ。
理学療法士が今後も活躍するためのキャリア戦略
理学療法士の活躍の場は拡大していますが、今後も安定して働くには将来を見据えたキャリア戦略が重要です。
現場経験を積みながらスキルを深めるだけでなく、専門資格の取得や新しい分野への挑戦が、長く活躍するためのカギです。
また、教育やマネジメント分野に進むことで、現場以外での役割を担う選択肢もあります。こうしたキャリアの広がりは、年収や待遇の向上にもつながるのです。
ここでは、理学療法士が今後も求められる人材となるために役立つ、2つのキャリア戦略を紹介します。
専門資格・認定理学療法士の取得
認定理学療法士や専門理学療法士の資格を取得することは、特定分野における専門性の証明となり、理学療法士としての競争力を高めるうえで非常に有効です。
日本理学療法士協会の統計によれば、2025年3月時点で認定理学療法士の実数取得者は15,922名、専門理学療法士は1,752名にのぼります。
約14万名の会員のうち、これらの資格保有者は5%未満であり、希少性の高い人材として評価されやすいことが分かります。
専門資格の取得は、自身の強みを明確にし、キャリアの幅を広げるうえで大きなメリットがあります。
とくに今後は、在宅医療や予防分野などで専門性が重視される傾向が強まっており、資格を持つことで信頼性や職域の拡大にもつながります。
将来を見据え、早めに資格を取得することは、安定したキャリアを築くうえで有効ですよ。
マネジメントや教育職へのキャリアパス
理学療法士には、臨床以外にもマネジメントや教育職などキャリアパスがあり、組織運営や育成の分野で活躍できます。
多くの役割に取り組むことで、理学療法士として長く働き続けやすくなり、仕事への満足感も高まりやすいです。
現場では、リーダーシップや指導力が求められる場面が多く、管理職や教育職のニーズも高まっています。
これらの職務には、専門知識に加えて高いコミュニケーション能力が求められ、今後のキャリア形成にとっても重要な要素です。
マネジメントや教育職は、現場経験を活かしながら新たな視点で医療やリハビリ分野に関われる魅力があります。
中長期的なキャリアを見据え、早期から準備を始めることが重要です。
理学療法士が活躍できる求人や資格を活かして働ける求人を豊富に保有してる転職サイトを紹介しています。ぜひご覧ください。
理学療法士の年収・待遇は今後どうなるのか
理学療法士の年収・待遇は現在、供給過剰や競争激化の影響で伸び悩んでいます。
とくに都市部では理学療法士が飽和し、昇給や待遇改善が難しい状況です。しかし、専門資格の取得やマネジメント、教育職へのキャリアパスを活用することで、待遇の向上や安定した収入が期待できます。
ここでは、年収・待遇に関わる重要なポイントを2つ紹介します。
現状の年収水準と推移
理学療法士の年収は全体的に安定していますが、経験年数や地域によってばらつきが見られます。
今後は訪問リハビリテーションなどの新しい分野で需要が増えることで、収入の伸びが期待される状況です。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、理学療法士の平均年収は約444万円前後で推移しています。地域や勤務形態によって差はありますが、多様な働き方の広がりにより収入増加の可能性が示されています。
将来の収入を安定させるためには、早い段階からキャリアプランを意識し、専門性や実務経験を積み重ねることが重要です。
長期的な視点で職場選びや働き方を見直すことが、年収の向上につながります。
理学療法士から他職種・一般企業への転職について、理由やメリット・デメリット、おすすめの転職先などを詳しく解説しています。
転職成功のポイントも紹介しているので、ぜひご覧ください。
地域差や施設形態による違い
理学療法士の業務内容や役割には、地域によって大きな違いがあります。
都市部では多職種連携が進んでおり、理学療法士も専門性の高い業務に従事するケースが多いです。
一方、地方では人員が限られることから、理学療法士が幅広い業務を担う傾向にあります。
都市部の医療機関では、各職種が連携する体制が整っているため、理学療法士は自身の専門分野に集中しやすい環境です。
これに対して地方では、人手不足の影響により、理学療法士が多様な役割を兼ねる必要があり、この違いが業務内容に大きく影響しています。
理学療法士の業務範囲や役割は、施設の規模や機能によっても異なります。
大規模な病院では急性期リハビリや高度な専門分野に携わる機会が多い一方、介護施設や小規模施設では、生活支援や予防リハビリなど幅広い対応が求められることが多いです。
こうした環境の違いは、働き方やキャリア形成にも影響を与えます。
理学療法士としての働き方に限らず、他職種への転職やセカンドキャリアを考えるのも選択肢です。
今後の進路を検討する際には、以下の記事もぜひご覧ください。
理学療法士の増えすぎに関するよくある質問
理学療法士の増えすぎに関するよくある質問をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
給料が低いと言われているのに、なぜ理学療法士の数は増えているのか?
理学療法士は過去に人手不足だったため、養成校の増加や国家試験の合格者数の多さが続いており、今も毎年多くの人が資格を取得しているからです。
理学療法士より作業療法士の求人が多く見えるのは、なぜですか?
理学療法士の供給は比較的、充足しています。一方で、作業療法士の需要が高まっているためです。
つまり、理学療法士は一部地域や施設で人員が足りている状況になっています。
理学療法士は将来性がないのですか?
理学療法士の需要は高齢化社会の進展や医療・介護分野の拡大により増加しています。
そのため将来性は十分にあります。ただし、養成校の増加に伴う供給過多の課題もあるため、専門資格の取得や多様なスキルを磨くことで、競争力を高めることが重要です。
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理学療法士の資格を取得する人が増える一方で、今後は「どこで」「どのように」働くかが重要になる時代です。
供給が多いからこそ、自分の強みや専門性を意識しながらキャリアを考えることが、将来的な安定につながります。