転職エージェント sesばかり,

転職エージェントはSESばかり?理由とSES以外に転職する方法

    転職エージェントに相談したのに、紹介されるのはSES企業ばかりだった。

    そんな経験をしたITエンジニアは少なくありません。

    実はSESばかり紹介されるのは、スキル不足が原因とは限りません。

    IT業界の構造やエージェントのビジネスモデルに起因する構造的な問題が大きく関わっています。

    この記事ではSESばかり紹介される理由と、SES以外の求人を引き出す方法、SES経験を活かしたキャリアアップ戦略を紹介します。

末永雄大 この記事を書いた人

末永雄大

新卒でリクルートエージェント(現リクルート)に入社。数百を超える企業の中途採用を支援。2012年アクシス(株)設立、代表取締役兼転職エージェントとして人材紹介サービスを展開しながら、年間数百人以上のキャリア相談に乗る。Youtubeチャンネル「末永雄大 / すべらない転職エージェント」の総再生回数は2,000万回以上。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック
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転職エージェントがSESばかり紹介する3つの理由

転職エージェントにSESばかり紹介されるのは、エージェントの悪意や求職者のスキル不足ではなく、IT業界全体の仕組みがSES求人を生み出しやすい構造になっていることが根本的な原因です。

IT企業の約9割が客先常駐型でSES求人の母数が圧倒的に多い

SESばかり紹介される最大の理由は、IT業界の求人市場でSES企業の求人が圧倒的多数を占めている点にあります。

IPA「IT人材白書」によると、IT企業のうち客先常駐を事業として行っている企業は全体の約9割に上ります。

ITエンジニア個人で見ても、約70%が準委任契約や業務委託といった形態で客先に常駐して働いているとされています。

つまりエージェントが紹介できる求人の母集団そのものがSES寄りになっている状態です。

自社開発や社内SEの求人は全体の1割程度しかなく、紹介される求人がSESに偏るのはある意味で必然と言えます。

SESの仕組みや客先常駐からのキャリアの活かし方を詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。

SES企業は採用ハードルが低く内定が出やすい

SES企業の多くは育成を前提とした採用を行っており、未経験者でも内定が出やすい傾向があります。

企業形態ごとの採用基準の違いを整理すると、以下のようになります。

比較項目 SES企業 自社開発企業 大手SIer
採用ハードル 低い 高い 高い
求められる経験 未経験可の案件も多い 同一技術2〜3年以上 設計・要件定義の経験
採用枠 案件数に応じて上限なし 少数(1〜数名) プロジェクト単位
選考回数 1〜2回 2〜4回 2〜3回

SES企業は案件単位でエンジニアをアサインするため、営業が案件を獲得できればその分だけ人を増やせる構造です。

結果として内定の出やすさがエージェントにとっての「紹介しやすさ」に直結しています。

エージェントの成果報酬モデルがSES紹介を加速させる

転職エージェントの収益は、求職者が企業に入社した時点で発生する成果報酬で成り立っています。

厚生労働省「職業紹介事業報告書の集計結果」によると、人材紹介の手数料は入社者の年収の30〜35%が一般的です。

担当アドバイザーに成約件数が評価指標として課されている場合、内定が出やすいSES企業を優先的に紹介するインセンティブが生まれます。

自社開発企業の選考は書類通過率が低く面接も複数回にわたるため、合理的に考えると内定確率の高いSES企業を複数紹介するほうがビジネスとして効率が良いことになります。

末永雄大 末永

エージェントのビジネスモデル上、内定の出やすい求人を優先する構造があります。


これはエージェント個人の良し悪しではなく、業界全体の仕組みの問題です。

SESばかり紹介されるのはスキル不足が原因とは限らない

SESばかり紹介されると「自分のスキルが足りないから」と不安になる人は多いです。

ただ実際にはスキル不足とは関係なく、エージェント側の事情で求人が偏っているケースが多くあります。

エージェント側の保有求人が偏っているケースが多い

転職エージェントには得意分野があり、保有している求人の構成はエージェントごとに大きく異なります

SES企業との取引が多いエージェントに登録した場合、いくらスキルが高くてもSES求人が中心に紹介されます。

逆に自社開発企業やコンサルティングファームとの取引に強いエージェントであれば、同じスキルセットでも全く異なる求人が紹介されます。

1社のエージェントだけを利用して「SESしか紹介されなかった」と判断するのは早計で、エージェントの保有求人が偏っていただけの可能性があります。

希望条件の伝え方次第で「SES可」と解釈されてしまう

エージェントとの初回面談で「ITエンジニアとして転職したい」「開発の仕事がしたい」とだけ伝えた場合、SES企業の開発案件も含めて紹介対象になります。

SES企業でもシステム開発に携わる案件は多数あるため、エージェント側からすれば希望に合致した紹介をしている認識です。

SESを避けたいなら「客先常駐ではなく自社勤務で開発に携わりたい」「SES企業は紹介不要」と具体的に伝える必要があります。

SES経験者の市場価値は正しく評価されれば決して低くない

SESで働いていると「客先を転々としているだけで専門性が身についていないのでは」と自信を失いがちですが、これは正確ではありません。

重要なのは会社名ではなく「業界×職種の実務経験」です。

SES企業に在籍していても、インフラ構築の経験が3年あれば、それは市場で評価される立派な実務経験です。

問題はその経験が正しく言語化されていないことにあります。

「SES企業で3年勤務」と書くのと「金融系システムの要件定義・基本設計・開発・テストを3年間一貫して担当」と書くのでは、エージェントが紹介できる求人の幅が大きく変わります。

末永雄大 末永

転職市場では会社名ではなく「何の経験を何年積んだか」で評価されます。


SESかどうかより、積んできた実務経験の中身が重要です。

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自分の市場価値がどのくらいなのか知りたい人は、以下の記事も参考になります。

SES以外の求人を紹介してもらうための5つのポイント

SES以外の求人を紹介してもらうには、エージェントの使い方を工夫する必要があります。

受け身で紹介を待つのではなく、自分から条件を明確にして情報の質をコントロールすることが大切です。

初回面談で「SESは希望しない」と明言する

最も重要なのは、エージェントとの初回面談の段階で「SES企業は紹介不要」とはっきり伝えることです。

具体的には「客先常駐ではなく自社で開発を行っている企業を希望します」「SES・派遣形態の求人は今回は対象外でお願いします」といった明確な表現を使います。

「できればSES以外がいいんですけど」のような曖昧な言い方だと、エージェント側は「SESも含めて紹介して良い」と解釈する可能性があります。

遠慮する必要はなく、条件をはっきり伝えることはエージェントの業務効率にもつながります。

職務経歴を技術スキル・担当工程・成果物で具体的に言語化する

エージェントに紹介してもらう求人の質は、職務経歴の伝え方で大きく左右されます。

以下の情報を整理しておくと、紹介される求人の質が格段に上がります

職務経歴で整理すべき項目

エージェントとの面談前に棚卸ししておきましょう。

  • 担当した業界(金融、物流、製造など)

  • 担当工程(要件定義、基本設計、詳細設計、実装、テスト)

  • 使用技術(言語、フレームワーク、クラウド、DB)

  • チーム規模と自分の役割

  • 成果物や改善した内容

転職活動の成否は準備の質で大きく左右されるため、エージェントに会う前の段階で自分の経験を棚卸ししておくことが最も重要なステップです。

エージェントは2〜3社を並行利用して情報の偏りを防ぐ

1社のエージェントだけに頼ると、そのエージェントの保有求人や営業方針に左右されます。

2〜3社のエージェントを並行利用することで、紹介される求人の幅が広がり情報の偏りを防げます。

IT業界に強いエージェントやコンサル特化型、総合型の大手など、特性の異なるエージェントを組み合わせるのがポイントです。

エージェントを複数利用するメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

紹介された求人は「客先常駐か自社勤務か」を毎回確認する

求人票の記載だけでは客先常駐かどうか判断できないケースがあります。

「勤務地: 東京都内プロジェクト先」「クライアント先での業務」といった表現はSES型の就業形態を示している可能性が高いです。

紹介された求人を受け取るたびに、以下の質問をエージェントに投げかける習慣をつけましょう。

  • この求人は自社オフィスでの勤務ですか、それとも客先常駐ですか
  • 配属先はどの部署ですか
  • プロジェクトの契約形態は請負ですか準委任ですか
  • 自社プロダクトの開発に関わるポジションですか

これらの質問を通じて、エージェントに「SES型の就業形態を明確に避けている」と認識してもらえます。

合わない担当者は遠慮なく変更を依頼する

エージェントの担当アドバイザーと相性が合わない場合、遠慮せずに変更を依頼して問題ありません。

担当者変更はエージェント業界では日常的に行われていることです。

変更を検討すべきサインは以下の通りです。

  • 希望条件を伝えてもSES求人ばかり紹介される
  • 技術的な話が通じない
  • レスポンスが遅い
  • 求人の詳細を質問しても曖昧な回答しか返ってこない

変更を申し出る際は「別の担当者の視点からも求人を紹介していただきたい」と伝えれば角が立ちません。

末永雄大 末永

エージェントは転職活動のパートナーです。


遠慮して希望を伝えないままでは、紹介される求人の質は上がりません。

SES経験を活かせる転職先とキャリアアップ戦略

SESでの経験は正しく活用すれば、キャリアアップの強力な武器になります。

SES経験者が狙える代表的な転職先を比較すると、以下のようになります。

転職先 特徴 求められる経験 年収変化の目安
自社開発企業 1つのプロダクトに継続的に関われる 同一技術2〜3年以上 +50万〜150万円
社内SE 自社オフィス勤務で安定した環境 インフラ運用やベンダー折衝経験 +0〜100万円
ITコンサル 技術力を上流の課題解決に転換 SE経験+論理的思考力 +200万〜400万円

年収変化の目安はdoda「平均年収ランキング」(2026年4月時点)および弊社の転職支援実績に基づく

自社開発企業のエンジニア

自社開発企業はSESとの大きな違いとして、1つのプロダクトに継続的に関わりながら改善を重ねていける点があります。

同一技術領域で2〜3年以上の実務経験があると選考が通りやすく、加えてコードレビューの経験やGitHubでの個人開発の実績があるとさらに評価されます。

SESで複数の現場を経験してきたことは「多様な技術環境への適応力」として評価されるケースもあります。

社内SE(情報システム部門)

社内SEは事業会社のIT部門で自社のシステム運用や企画を担当するポジションです。

SESでインフラ運用やネットワーク構築の経験がある人は親和性が高いです。

自社オフィスでの勤務が基本で、常駐先が変わるストレスがない点も魅力の1つです。

一方でキャリアの専門性が特定の業界に限定されやすい面もあるため、長期的なキャリア設計を考えたうえで選ぶ必要があります。

社内SEの仕事内容や転職方法については以下の記事で詳しく解説しています。

ITコンサルティングファーム

ITコンサルティングファームは企業の経営課題をITの力で解決する仕事です。

SES経験者にとっては技術の知見を「上流の課題解決」に転換できるキャリアパスとして注目されています。

経済産業省「IT人材需給に関する調査」によると、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。

Big4をはじめとするコンサルティングファームでもIT人材の採用を拡大しています。

コンサルファームで求められるのは、プログラミングスキルそのものよりも「技術を使ってビジネス課題をどう解決するか」を考える力です。

ただ年収だけで転職先を選ぶと入社後にミスマッチが起きやすいため、自分がどんなキャリアを築きたいのかを先に明確にしておくことが大切です。

末永雄大 末永

SESの技術経験は上流工程やコンサルへの転職で武器になります。


大事なのは「何に向かうか」を決めてから動くことです。

もし「言われたものを作るだけ」の仕事に限界を感じているなら、上流工程に携われるキャリアパスを一度整理してみてください。

【SES→ITコンサル転職】
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ITコンサルタントへの転職について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。

SESからの転職で失敗しないための3つの考え方

SESから転職する際に「とにかくSESを辞めたい」という気持ちだけで動くと、転職先でも同じ不満を抱えるリスクがあります。

「SESを辞めたい」だけで動くと同じ失敗を繰り返す

転職のきっかけが「SESの客先常駐がつらい」「スキルが身につかない」といった不満であること自体は自然です。

ただ不満の解消だけを目的にすると、転職先でも別の不満が生まれてすぐに辞めたくなる悪循環に陥りがちです。

「SESを辞めたい」の裏にある本当の欲求を掘り下げる必要があります。

  • 1つのプロダクトに深く関わりたいのか
  • 上流工程で企画やコンサルに携わりたいのか
  • 技術力を磨いてスペシャリストになりたいのか

その答えによって目指すべき転職先は全く変わるため、まずは自分の本音と向き合うところから始めてみてください。

エンジニアの転職で失敗しやすいパターンとその対策については、以下の記事で解説しています。

市場価値を正しく把握してからキャリア戦略を立てる

転職活動で失敗する大きな原因の1つは、自分の市場価値を正しく把握できていないことです。

ここで言う市場価値とは、特定の会社に限らず持ち出せる経験やスキルのことです。

社内での評価が高くても、それが会社の中だけで通用する評価であれば転職市場では評価されません。

逆にSES企業で年収が低くても、市場で評価される技術経験を積んでいれば転職先の選択肢は広がります。

市場価値を把握するには、自分の経験を「業界×職種×年数」で整理するのが有効です。

「金融業界のシステム開発を3年」「インフラ構築でAWSの設計・構築経験が2年」といった形で棚卸しすると、転職市場でどのポジションに手が届くかが見えてきます。

末永雄大 末永

年収の高さと市場価値の高さは別物です。


転職で後悔しないためには、まず市場価値を客観的に把握することが出発点です。

市場価値を高める具体的な方法については、以下の記事が参考になります。

転職先は「働き方」ではなく「積める経験」で選ぶ

「自社開発=ホワイト」「SES=ブラック」というイメージで転職先を選ぶのは危険です。

自社開発企業でも残業が多い企業は存在しますし、SES企業でも働きやすい環境の会社はあります。

転職先を選ぶ際に最も重視すべきは「そこでどんな実務経験が積めるか」です。

3年後に自分がどんなスキルセットを持っていたいのかを逆算して、そこに到達できる経験を積める環境かどうかで判断します。

「自社開発だから」という理由だけで転職先を決めると、配属された部署で市場価値につながらない業務を担当するリスクもあります。

入社後半年以内の退職率1.5%以下という実績が示す通り、キャリアの軸から逆算した転職はミスマッチが起きにくくなります。

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転職エージェントにSESばかり紹介される場合のよくある質問

SESの経験しかなくても自社開発企業に転職できますか?

転職は可能です。

SESで2〜3年以上の開発経験があり、担当した工程や技術スタックを具体的に説明できれば、自社開発企業の選考は十分に通過できます。

SES歴1年未満でも転職は現実的ですか?

現実的ですが選択肢は限られます。

1年未満の場合は第二新卒枠での転職が有力です。

24〜27歳であればポテンシャル採用も可能ですが、28歳以降は職種経験が求められるため、もう少し経験を積んでからの転職が有利になるケースもあります。

未経験からITエンジニアになる場合、SESは避けるべきですか?

一概にSESを避けるべきとは言えません。

SES企業は研修制度が充実していることが多く、最初のキャリアの入口としては合理的な選択肢です。

ただし入社後にどんな案件にアサインされるかで経験の質が大きく変わるため、配属先の案件内容を事前に確認することが重要です。

SESから転職するベストなタイミングはいつですか?

同一技術領域で2〜3年の実務経験を積んだタイミングが転職市場での評価が高まりやすいです。

年齢が若いほど選択肢は広いため、先延ばしにしすぎないことも大切です。

転職エージェントに「SES以外」と伝えたのにSESを紹介されたらどうすればいい?

まず「先日お伝えした通りSES企業は対象外でお願いします」と改めて伝えましょう。

それでもSES求人が続く場合は、そのエージェントの保有求人がSES中心の可能性が高いため、担当者変更か別のエージェントへの切り替えを検討してください。

まとめ

転職エージェントにSESばかり紹介されるのは、IT業界の構造やエージェントのビジネスモデルに起因する問題であり、求職者のスキル不足が原因とは限りません。

SES以外の求人を引き出すには、希望条件を明確に伝えること、職務経歴を具体的に言語化すること、複数のエージェントを並行利用することが重要です。

SES経験を「次のキャリアの武器」として活かすには、自分の市場価値を正しく把握し「何に向かうか」を先に決めてから転職活動を始めることが成功のポイントです。

末永雄大 末永

SESでの経験は決して無駄ではありません。


大切なのは今の経験をどう活かすかを戦略的に考えることです。


1人で悩まず、キャリアの専門家を頼ってみてください。

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