公務員薬剤師の仕事内容とは?平均年収やメリット・デメリットを解説!

公務員薬剤師の仕事内容とは?平均年収やメリット・デメリットを解説!

    公務員薬剤師の仕事内容とは何か?について、現役転職エージェントが分かりやすく解説します。

    公務員薬剤師の平均年収やメリット・デメリットについて説明します。公務員薬剤師になるための試験内容や採用情報も紹介します。

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末永雄大

末永雄大

新卒でリクルートエージェント(現リクルート)に入社。数百を超える企業の中途採用を支援。2012年アクシス(株)設立、代表取締役兼転職エージェントとして人材紹介サービスを展開しながら、年間数百人以上のキャリア相談に乗る。Youtubeチャンネル「末永雄大 / すべらない転職エージェント」の総再生回数は2,000万回以上。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック
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公務員薬剤師とは?その仕事内容

公務員薬剤師とは国や地方自治体に所属して働く薬剤師のことです。

薬局に勤める民間薬剤師は医薬品の処方が主な仕事になるのに対し、公務員薬剤師は大きく「国家公務員薬剤師」「地方公務員薬剤師」「麻薬取締官」として、薬事行政や食品衛生、薬物犯罪防止、研究開発促進などを担います。

  • 国家公務員薬剤師:薬系技官として厚生労働省に所属し、国の関連機関・組織で勤務
  • 地方公務員:各地方自治体の本庁や保健所・公立病院などに勤務
  • 麻薬取締官:厚生労働省に所属し、地方厚生局麻薬取締部に勤務

公務員薬剤師になるためには薬剤師の国家資格合格と各種公務員採用試験の合格が必要であり、就職のハードルは高めです。詳しくは公務員薬剤師になるための採用試験で解説していますので、併せて参照ください。

また、公務員法上は公務員ではないものの、公務員と同じような職務・待遇を受けられる「みなし公務員」という働き方もあります。

みなし公務員は職務内容に公共性・公益性があることから、法律では公務員と同等に扱われる職種で、薬剤師の場合は国立病院や国立大学病院に勤務する薬剤師が該当します。公務員試験の受験は不要で、それぞれ各大学の病院が実施する採用試験に合格すれば就労可能です。

なお、これらの公務員薬剤師は求人数が少ない一方で、公務員ならではの安定性や社会的信頼度の高さ、福利厚生の充実度などから求職者の人気も高く、転職難易度は高めです。

公務員薬剤師を目指している場合は、薬剤師の転職事情に精通した転職エージェントを活用するのがおすすめです。非公開求人を多く保有する転職エージェントであれば、公務員薬剤師の求人に出会う可能性を高めることができますよ。

ここからは、公務員薬剤師を目指す人に向けて、各職種の特徴や仕事内容を紹介します。

国家公務員薬剤師の仕事内容

国家公務員薬剤師の特徴

  • 厚生労働省など国の機関に所属し、薬系技術職員として薬事行政に関わる業務をおこなう
  • 他省庁や専門家との関わりも多い

薬剤師が国家公務員として働く場合、厚生労働省の薬系技官として就職します。

薬系技官は、医薬品・食品・化学物質が人に与える影響に着目し、国民の暮らしや健康に関する制度や、医療提供の仕組み作りに関与しています。

厚労省HPを参考に、国家公務員の薬系技官が担当する分野をまとめてみました。

担当分野 仕事内容例
薬事分野 ・医薬品・医療機器・化粧品などの安全確保
・麻薬・覚醒剤などの取締り
・医薬品の販売制度
・薬剤師国家試験の改定・問題作成
保健医療分野 ・診療報酬・調剤報酬の改定・見直し
・薬価・材料価格
・後発医薬品の使用促進
食品安全分野 ・食品添加物指定
・食品中の農薬残留基準
・器具・容器包装の規格基準
化学物質分野 ・家庭用品の安全対策
・劇物・毒物の取締り
研究開発分野 ・医薬品・医療機器などの研究開発推進
・ライフサイエンス分野の研究開発推進
・医療ベンチャー企業の支援
参考:厚生労働省 薬系技官 採用情報

薬系技官の主な配属先は、大臣官房・医薬生活衛生局・医政局・保険局・健康局、食品安全委員会事務局などです。

また、新型コロナウイルス等感染症対策推進室・消費者庁などの他省や、国立がん研究センター・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)などの機関・組織に出向する場合もあります。

薬系技官として採用されると、おおむね2年ごとに異動が発生し、様々な経験を積むことができます。

地方公務員薬剤師の仕事内容

地方公務員薬剤師の特徴

  • 都道府県や市区町村など地方自治体に所属し地域に根ざした仕事が中心
  • 薬剤師環境衛生評価や食品安全検査など行政に近い仕事もある

地方公務員薬剤師が活躍する現場は公立病院(公的医療機関)、保健所、衛生研究所、消費者生活センターの4つがあり、各現場の仕事内容は大きく異なります。

各都道府県の地方公務員試験に合格した後に配属先が決定するのですが、希望が尊重されるとは限りません。病院から保健所へ、研究所から生活センターへといったように配属先が変わる可能性もあるものの、転勤の対象は県内のみとなっています。

公立病院の仕事内容

公立病院の仕事内容は民間病院で働く薬剤師と基本的に同じです。医師の処方に沿って患者に調剤業務や服薬指導をおこないます。ただし、各薬剤師に求められる仕事内容は勤務する病院によって異なります。

保健所の仕事内容

保健所は薬事衛生、食品衛生、環境衛生の3つの部門に分かれます。


薬事衛生とは地域の薬局を対象に立入検査、新規出店の認可を担当し、食品衛生は飲食店の立入検査や食中毒の予防、環境衛生はプール・旅館の監査、廃棄物処理の監視をおこなっています。

衛生研究所の仕事内容

衛生研究所は地域の衛生に関する研究をおこなう施設で、食中毒の原因となる細菌やウイルスの研究・検査をおこない、その結果を保健所に通知して地域住民を健康被害から守る役割を担います。

消費生活支援センターの仕事内容

消費生活支援センターは消費者からの苦情に対応している職場で、食中毒が発生した際は、発生元とされる商品や店に対して原因の究明をおこなっていきます。

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ちなみに、国立病院や公立病院には、国や自治体が直接運営している病院と、民間や独立行政法人が運営する病院があります。


国や自治体直営の病院で働く薬剤師は公務員ですが、その他は準公務員・非公務員とみなされます。国立病院や公立病院に勤めたからといって必ず公務員になれるわけではないので注意しましょう。

麻薬取締官の仕事内容

麻薬取締官の特徴

  • 厚生労働省に所属し、地方厚生局麻薬取締部で活躍
  • 薬物犯罪の捜査が主な業務

麻薬取締官とは厚生労働省の地方厚生局麻薬取締役部で働く薬剤師のことで、主に麻薬や不正薬物の流出を事前に防止するための取締りをおこないます

もともと民間薬剤師のイメージとはかけ離れた公務員薬剤師ですが、麻薬取締官は特に仕事内容が異なります。

麻薬取締官の仕事内容

規制薬物の取締りや、麻薬の流通を防止するため医療機関への立ち入り捜査をします。また、地域住民に対して薬物犯罪を予防するため啓蒙運動の企画・実行、相談への対応をおこないます。

このように、薬剤師としての資格を活かす仕事が多く、患者との接点や医薬品の処方はおこないません。仕事内容の一部で、麻薬の売人と相対するなど危険を伴う仕事がありますが、特殊なキャリアを積めます。

職種の扱いは国家公務員であるため、麻薬取締官の勤務地は全国が対象となります。

みなし公務員の特徴

みなし公務員とは公務員の業務を代わりにおこなう民間職員のことで、準公務員ともいわれることもあります。都市再生機構、国民生活センターのような独立行政法人や、日本銀行、国立大学法人などが、みなし公務員の代表的な職場です。

薬剤師として、みなし公務員として働く場合は国立病院や国立大学病院に勤務する薬剤師が該当します。

みなし公務員は法律上公務員と異なる扱いとされていますが、公務員と同じような待遇が受けられること、安定性や社会的信頼度の高さ、福利厚生の充実度などの魅力があります。

公務員・みなし公務員として働く薬剤師は、薬剤師業界全体で見ても就業者数が限定的であり、求人も多くありません。そのため、公務員・みなし公務員薬剤師へ転職を目指したとしても、希望通りの求人になかなか出会えない可能性もあります。

公務員・みなし公務員薬剤師への転職を希望する場合は、自治体や行政機関、公立病院の採用ページを定期的にチェックして新規求人がないか確認するのはもちろんですが、求人保有数の多い転職エージェントを活用するのがおすすめです。

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公務員薬剤師の平均年収

総務省が発表した「令和4年度地方公務員給与の実態」によると、公務員薬剤師の平均月給(給与月額合計)は39万2810円です。基本給や諸手当の内訳を以下にまとめてみました。

手当は一部抜粋して記載しています。

項目 月額
基本給(平均基本給月額)
※扶養・地域手当含む
33,1237円
住居手当 5,825円
初任給調整手当 1,604円
通勤手当 9,635円
単身赴任手当 227円
特殊勤務手当 5,983円
管理職手当 4,101円
特地勤務手当 245円
へき地手当 54円
時間外勤務手当 30,959円
宿日直手当 1,740円
管理職員特別勤務手当 215円
夜間勤務手当 287円
休日勤務勤務手当 695円
【給与月額合計】 392,810円
参考:総務省の令和4年度地方公務員給与の実態

上の表によると、公務員薬剤師の平均給与は33万1237円であり、ボーナスが月給の4.4倍になるので、これらを年収に換算すると543万2287円になります。

ちなみに厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査(令和5年度版)」によると国民全般の平均年収は約506万円です。なので、公務員薬剤師の平均年収が高いことが分かりますね。

また、就職・転職クチコミサイト「エンゲージ 会社の評判(旧:ライトハウス)」に掲載されている数百以上の口コミから独自に調査した結果によると、民間で働く薬剤師の年収はドラッグストアが557万円、調剤薬局が481万円、製薬企業が958万円、 病院が416万円です。

薬剤師業界の各職種の平均年収と比較しても、公務員薬剤師の収入は平均よりも高い傾向であることがわかります。

公務員薬剤師のメリット・やりがい

公務員薬剤師は、調剤薬局やドラッグストアといった一般企業とは異なるメリット・やりがいがあります。公務員薬剤師を目指す場合は公務員ならではの特徴や違いを正しく理解しておくと、選考がスムーズに進み、入職後の後悔・ミスマッチを防ぐことができますよ。

公務員薬剤師として働くメリットとやりがいについて、下記で4つ紹介します。

雇用が安定している

元々薬剤師は安定した職業ではあるものの、民間企業で働く場合は、経営悪化による倒産や閉店の可能性もゼロではありません。特に調剤薬局は個人経営のところが多く、オーナー経営者の方針次第で経営悪化や閉店、大手に吸収合併という恐れもあります。

一方で、公務員薬剤師は国や地方自治体に雇用されている立場であり、景気の影響を受けることもなく雇用が安定しています。解雇されるリスクがほぼゼロに近く、長く安心して働けるのが大きなメリットだといえますね。

長く働けば年収が上がる

公務員の初任給は高くないですが、長く勤めるほどに年収が上がる年功序列制の給与体系となっています。基本的に勤続年数に応じて同期横並びで昇給・昇格していき、各年のボーナスも必ず支給されるので、将来の見通しが立てやすいのも特徴です。

また、民間の大企業でみられる企業年金と同じような退職金制度として、年金払い退職給付があり、しっかりと老後の備えができるのもメリットですね。

もちろん、民間企業では公務員よりも高収入となる企業も多いですが、企業業績や経済動向に左右されやすい民間企業と比較すると、給与水準の変化は少なく、収入の不安が少ないのは大きなメリットといえます。

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新卒で公務員になり、そこから民間に転職しようとすると両親から「もったいない」「やめておけ」と反対される人が多いのですが、これは中長期的な収入面での安定感・安心感を、高く評価しているからこその意見ですね。

福利厚生が充実している

公務員のメリットとして、各種手当や福利厚生が充実していることもあげられます。

たとえば、扶養手当や住宅手当、地域手当などの手当・補助金の支給が充実していたり、フレックスタイムやリモートワーク、育児休暇・時短勤務など柔軟な働き方が選択できたりと、男性・女性問わず活躍でき、働きやすい環境が整っていることは大きなメリットです。

また、充実した休暇制度も魅力です。公務員として付与される有給休暇は一般的な民間企業よりも多く、土日祝日の休みや夏季休暇・年末年始と長期休暇もしっかり取得できます。家族との時間を大事にしたい、趣味を楽しみたいなど、ワークライフバランスを実現しやすいのもメリットですね。

独自の経験を積むことができる

公務員薬剤師は、医薬品の規定や麻薬の取締りなど、民間企業に勤める薬剤師とは仕事内容が大きく異なります。

いわゆる利益追求ではなく、国や地域に暮らす人々が安心して生活するための公益性や社会的貢献度を優先する働き方に「やりがい」を感じる人は多いです。

たとえば、地方公務員では「自分の専門スキルを活かして地域の公衆衛生確保・改善に貢献したい」「自分の地元で人々の暮らしを支えたい」という志望動機(志望理由)の人が多く、「社会や人のために働きたい」という人には大きな魅力となりますね。

また、仕事内容も専門的で、知識・経験を積んでスキルアップしていくものが多いことや、数年に一度の部署移動でさまざまな仕事に触れられるのも、公務員薬剤師ならではメリットです。

ただし、日々の仕事という観点では地味な仕事が続きます。この部分のギャップが大きいと「仕事がつまらない」「思っていたのと違った」と感じてしまい、退職につながるケースもありますので注意してください。

公務員薬剤師のデメリット

メリットの多い公務員薬剤師ですが、デメリットと両面で理解しておくと、ミスマッチ・入職後の後悔を減らすことができます。

特に公務員薬剤師として働く人の口コミでは「きつい」「辞めたい」といった意見も見られるので、転職を希望している場合はネガティブな面もしっかりと把握しておくと良いですよ。

行政職だと薬剤師のブランクができる

病院で働く場合は別ですが、公務員薬剤師は調剤業務をおこないません。そのため、公務員薬剤師のキャリアが長いほど、かかりつけ薬局として地域医療に貢献する調剤薬局やドラッグストアへ再び転職するときに、調剤の知識を取り戻すのに時間がかかる傾向にあります。

公務員薬剤師から調剤薬局やドラッグストアに転職したいという場合に、即戦力を確保したい職場では、ブランク期間から経験不足とみられる可能性もあるので、要注意です。

異動や転勤が多い

公務員薬剤師は、異動や転勤が頻繁にあります。厚労省のHPによると、国家公務員はおよそ2年ごとに異動があります。

さまざまな職場を経験しながらスキル・キャリアアップしたい人には学びがいのある働き方です。しかし、1つの職場で長く働きたい、毎日決まった仕事をしたい、新しい業務内容・職場環境は苦手という人にとっては、異動の多さがストレスになる可能性もあります。

また、職種によって異動の範囲は広く、馴染みのない地方や離島、国家公務員の場合は海外の日本大使館への転勤となる可能性がある点もデメリットです。

副業ができない

公務員は法律で副業が禁止されています。最近では、薬剤師でも在宅で副業をしたり、調剤薬局やドラッグストアでアルバイトをしたりする人も多いです。

兼業してたくさん稼ぎたい人は、公務員ではなく民間企業に転職することをおすすめします。

公務員薬剤師に転職するためには

すでに薬剤師免許を持っているのであれば、公務員試験に合格し、各種研修を修了すると公務員薬剤師として働けます

試験の種類は「国家公務員試験」「地方自治体の試験」「麻薬取締部の試験」があります。以下で各試験内容の特徴について解説します。

なお、公務員薬剤師は公務員の種類ごとに実施されている公務員試験・採用試験の受験が必要ですが、国立病院や大学病院に勤める「みなし公務員」の場合は公務員試験はありません。公務員としてのメリットは享受しつつ、公務員試験対策を省略できるので、公務員薬剤師を目指す人は「みなし公務員」としての働き方も選択肢の1つにするといいですね。

みなし公務員を目指す場合は公務員試験の受験が不要となるので、その分早めに転職活動をスタートさせ、選考対策に重点を置くのがおすすめです。この時、転職エージェントを活用し、経験豊富なキャリアアドバイザーと二人三脚で求人探し、選考対策ができると、効率よく転職活動を進められますよ。

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マイナビ薬剤師ファルマスタッフなどの転職エージェントは全て無料で利用でき、薬剤師の転職事情に精通したキャリアアドバイザーによる実践的なアドバイスももらえるので、ぜひ積極的に活用してみましょう。

各公務員薬剤師の試験内容については、下記で詳しく紹介します。

国家公務員薬剤師の試験

国家公務員試験は4月下旬ごろに1次試験、5月下旬~6月中旬に2次試験がおこなわれ、試験を合格した後に官庁訪問(最終面接)があります。

試験の内容については、1次試験は教養試験と基礎数学・薬剤学に関する専門試験、2次試験が薬化学・薬剤学に関する専門試験と個別面接による人物試験、そして国の政策について自分の意見を述べる政策論文試験があります。

試験を突破した後の官庁訪問では、各府省が開催している業務説明会に積極的に参加しましょう。業務理解につながるだけでなく、希望先の府省に自己PRする機会にもなります。

地方公務員薬剤師の試験

地方公務員薬剤師の試験は5月に1次試験、6月に2次試験がおこなわれます。詳しくは各自治体により異なるので、希望地のホームページを確認して情報取得を心がけましょう。

1次試験では教養試験と薬学に関する専門試験、2次試験では判断力・思考力についての小論文試験、個別面接やグループディスカッションによる人物試験が主な内容です。

地方公務員の場合は自治体によって選考内容も異なるため、試験の例題や過去問題を参考にして、受験する自治体の特色を研究することがオススメです。

また、公立病院は9月に採用試験をおこなうことが多いです。まれに12月や3月に試験を実施する病院もあるので、病院HPで募集時期や試験日をチェックしておきましょう。

麻薬取締官の採用試験

麻薬取締官を目指す場合は、大卒以上で国家公務員試験一般職試験もしくは薬剤師国家試験に合格したうえで、厚生労働省地方厚生局の麻薬取締部でおこなわれる採用試験に合格しなければいけません。

薬剤師免許を持っている場合の年齢制限は「29歳以下」が受験上限となります。

試験では捜査に必要な法律の知識も問われ、試験自体も欠員が出た時のみ不定期でおこなわれるため、採用は狭き門となっています。

麻薬取締官の採用情報は厚生労働省の麻薬取締部のHPに随時更新されます。また地域ごとに麻薬取締部で業務説明会も開催しているので、ぜひ参加して採用に関する情報や業務理解を得ることが、採用試験を突破する秘訣です。

公務員薬剤師へ転職する際の注意点

公務員薬剤師に転職を目指す際、メリット・デメリット以外に知っておきたい注意点を2つ紹介します。

デメリットを把握した上で、最適な選択をしたい人はぜひ参考にしてみてください。

年齢制限がある

公務員試験には年齢制限が設けられています。公務員試験の年齢要件は年々緩和されている傾向にあるのと、職種によっても年齢上限はさまざまなので一概には言えませんが、一般的に30歳前後が年齢要件の上限です。

経験者採用枠など年齢制限がないこともあり、30歳を超えているからといって公務員薬剤師への転職を諦める必要はありません。しかし、地方公務員はエリアによって異なるので、あらかじめ年齢要件はしっかりと確認しておくことをおすすめします。

求人が少ない

薬剤師全体で見ると、公務員薬剤師として就業している人数は、かなり限定的です。公務員薬剤師を目指す場合も、そもそもの求人数が少ないため、なかなか求人に出会えなかったり、定期採用で転職活動をはじめたタイミングで採用をしていなかったりと、転職のチャンスが少ない点に注意しましょう。

たとえば、国家公務員で薬剤師として活躍する薬系技術職員(薬系技官)の採用人数は以下の通りです。

薬系技官
採用実績
平成31年 令和2年 令和3年 令和4年 令和5年 令和6年
人数 8(5)人 9(4)人 8(4)人 7(2)人 9(3)人 8(5)人
( )は採用者のうち女性の数
参考:厚生労働省の薬系技官 採用情報

各年ともに、国家公務員採用総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)の「化学・生物・薬学」区分の最終合格者から数名が採用されている状況で、かなりの狭き門であることが分かります。

なお、地方公務員や、みなし公務員の場合は各行政機関や病院が直接採用活動をおこなうケースもあります。国家公務員よりも求人数が多く、転職先を見つけやすい傾向にはありますが、民間企業と比較すると転職難易度が高めなので注意が必要です。

公務員薬剤師を目指すなら

公務員・みなし公務員薬剤師は一般的な民間薬剤師とは仕事内容や職場環境は大きく異なります。そのため、メリット・デメリットを比較しながら、自分のキャリアパスの中で公務員薬剤師が最適な選択であるかをしっかりと見極める必要があります。

公務員・みなし公務員薬剤師になるか、民間企業に就職するか悩んでいるなら、薬剤師の転職事情に精通したキャリアアドバイザーが在籍する転職エージェントに相談するのも有効です。

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特に求人数自体が少ない公務員・みなし公務員薬剤師は、転職エージェントが非公開求人として保有していることもあるので、幅広い求人を紹介してもらうためにも転職エージェントの活用がおすすめですよ。

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