理学療法士がオワコンといわれる理由は?リハビリ職の今後の需要と将来性を解説

理学療法士がオワコンといわれる理由は?リハビリ職の今後の需要と将来性を解説

    理学療法士が今オワコンといわれる理由や、業界が抱える課題を解説します。

    理学療法士がオワコン化しないための対策や、理学療法士として働くメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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末永雄大

末永雄大

新卒でリクルートエージェント(現リクルート)に入社。数百を超える企業の中途採用を支援。2012年アクシス(株)設立、代表取締役兼転職エージェントとして人材紹介サービスを展開しながら、年間数百人以上のキャリア相談に乗る。Youtubeチャンネル「末永雄大 / すべらない転職エージェント」の総再生回数は2,000万回以上。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック
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理学療法士がオワコンといわれる5つの理由

理学療法士は医療・介護現場で欠かせない存在ですが、給与水準の伸び悩みや体力的な厳しさなどの課題も抱えており、「オワコン」と揶揄されることがあります。

ここでは、理学療法士が「オワコン」といわれる代表的な5つの理由を解説します。

理学療法士の数が増えて飽和状態になっている

理学療法士の資格保有者数は年々増加しており、市場では飽和状態になりつつあります。

特に近年は、養成校の乱立で毎年1万人前後の新規資格取得者が市場に流入しており、供給過多で就職競争が激化しています。

年度 資格取得者数 理学療法士 総人数
平成31年度 10,809人 172,285人
令和2年度 10,608人 182,893人
令和3年度 9,434人 192,327人
令和4年度 10,096人 202,423人
令和5年度 11,312人 213,735人
出典:統計情報|公益社団法人理学療法士協会

最近の5年間だけでも理学療法士の総人数は5万人増えており、職種の価値が相対的に低下する懸念があります。

特に新卒者は就職先が限られやすく、将来に不安を感じやすい状況が生まれています。

理学療法士が増えすぎている背景や今後の需要を知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。

年収が上がりにくい

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、理学療法士の平均年収は420万〜430万円で推移しており、医療職の中では比較的低めの水準です。

昇給額も年間数千円〜数万円程度にとどまるため、経験年数を重ねても大幅な収入アップは望めません。

給与が上がりにくい背景には、診療報酬改定によるリハビリ点数の引き下げや、運営側の収益性低下による賃金抑制などがあります。

長く働いても生活レベルが上がらないことから、一般企業や他業種に転職する人も増えています。

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ただし歩合制を導入している訪問リハビリテーションなどの施設で働けば、頑張り次第で給与アップも可能です。

理学療法士の給料が安い理由を詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。

昇進・キャリアアップの機会が少ない

理学療法士は専門職として臨床現場に携わる時間が長く、一般企業のように役職やマネジメント職に昇進するルートが限られています。

管理職はありますが、枠が非常に少なく競争が激しいため、キャリアの頭打ちを感じやすいです。

また年功序列が根強く、即戦力としての経験や成果が昇進に直結しにくいのも難点です。

その結果、「同じ職場で何年働いても役職がつかない」「将来性が見えにくい」と感じる理学療法士が多く、オワコンと言われる1つの要因となっています。

体力負担が大きくて定年まで働きにくい

理学療法士の業務は、患者の移乗・歩行介助やリハビリ器具のセッティングなど、身体への負担が大きい作業が多く含まれます。

特に整形外科や回復期リハビリでは1日中立ちっぱなしで、腰痛や疲労が蓄積しやすいです。

加齢による体力低下もあり、「定年まで現場で働き続けるのは難しい」と感じる理学療法士は少なくありません。

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体力的なリスクは、長期的なキャリア形成やライフプランを考えるうえで大きな障壁となり、早期離職や異業種への転職を考える理由の1つになっています。

資格取得に高額な費用がかかる

理学療法士になるには、4年制大学や専門学校で学ぶ必要があり、学費は数百万円にのぼるケースが一般的です。

さらに国家試験の受験対策費や実習費、通学費も含めると、初期投資はかなり大きくなります。

卒業後も認定資格や専門研修、学会参加などに継続的な自己投資が必要です。

結果として「コストに対して初任給や昇給幅が見合わない」「投資回収に時間がかかる」という不満が生まれやすいといえます。

オワコンではない!理学療法士として働くメリット

理学療法士は「将来性がない」「オワコン」と悲観的に見られることもありますが、実際には今後も高い需要が見込まれる専門職です。

ここでは、理学療法士として働く6つのメリットを紹介します。

国家資格だから職探しに困らない

理学療法士は厚生労働省が定める国家資格であり、医療法に基づく病院や診療所、介護保険法に基づく介護老人保健施設などの幅広い施設で配置基準が定められています。

都市部だけでなく地方や離島でもニーズがあり、求人が安定しているのが強みです。

さらに医療機器メーカーや教育機関、スポーツチームなどの医療機関以外の領域でも理学療法士の免許保持者は信頼を獲得しやすく、即戦力として高く評価されます。

そのため転職・再就職の際に困りにくく、フリーランスや副業などの多様な働き方をするうえでも大きな武器となります。

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景気が後退している局面でも医療・介護は公共性が高いため、大幅な人員削減が起こりにくい点も魅力的な要素です。

高齢化で需要が増えている

総務省の統計によると、日本の65歳以上の人口は2024年時点で29.3%と過去最高を更新し、今後も右肩上がりで増え続ける見通しです。

高齢化に伴い、在宅リハビリや介護予防、デジタルヘルス分野の需要も拡大しており、理学療法士の雇用も安定的に増えると予測されます。

もともとリハビリ医療は景気変動の影響を受けにくく、長期的な需要が見込まれています。

さらに政府が地域包括ケアシステムの推進を掲げていることから、在宅や地域リハビリの領域で新たな雇用機会が創出されており、理学療法士の需要が減る可能性は低いです。

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運動機能のリハビリを必要とする高齢者は今後さらに増える見通しなので、理学療法士は介護予防事業の中心的存在になれますよ。

多岐にわたる分野で活躍できる

理学療法士の専門知識は「動作と運動」に関するものなので、医療・介護に限らず以下の幅広い分野で応用できます。

  • スポーツ
  • 産業保健
  • 福祉用具開発
  • デジタルヘルス
  • 教育

たとえばプロスポーツチームでは選手のパフォーマンス向上と怪我予防を担い、医療機器メーカーでは臨床評価データをもとに製品の設計をおこないます。

最近ではITと掛け合わせたオンラインフィットネス・リハビリなどの需要も急増しており、キャリアパスは年々多様化しています。

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適性や興味、ライフスタイルの変化に合わせて、キャリアや働き方を柔軟に選べるのは大きなメリットです。

AIの影響が少なく失業しにくい

理学療法士の業務は、触診や徒手療法などの対人業務が中心のため、AIやロボットの代替が極めて困難です。

近年はリハビリ支援ロボットや遠隔診療ツールも登場していますが、最終的な判断や介助を行うのは理学療法士です。

そのため、AI技術の進展による失業リスクは非常に低いといえます。

夜勤・サービス残業が少ない

多くの病院や介護施設では、リハビリテーションの提供時間が日中に限定されるため、シフト勤務でも夜勤やオンコールが少ない点が魅力です。

また診療報酬・介護報酬に基づく単位管理がおこなわれ、サービス残業が常態化しにくい構造があり、他の医療職に比べて長時間労働が少ないという利点があります。

特に外来リハビリやデイケア、訪問リハビリテーションでは勤務時間が明確に定まっており、自分でスケジュール調整が可能な場合が多いです。

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ワークライフバランスを保ちやすいので、生活リズムを崩さずに長期的に働き続けられますよ。

患者や家族から直接感謝してもらえる

理学療法士は、患者の状態が改善していく様子を日々実感できる数少ない職種です。

日常生活動作の向上や痛み軽減など、具体的な成果が目に見えるため、患者本人や家族から感謝の言葉を直接受け取る機会が多いです。

結果として「人の役に立っている」というやりがいを実感を得やすく、仕事に対するモチベーションを維持しやすい傾向にあります。

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理学療法士の仕事にやりがいやメリットを感じられないという人は、転職エージェントに相談して職場や職種を変えてみましょう。

リハビリ職におすすめの転職サイト

  • PTOTSTワーカー
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理学療法士としてオワコン化しないための対策

理学療法士が「オワコン」とならないためには、従来の臨床スキルに加え、市場価値を高める対策が必要です。

具体的には、以下5つの方法が有効です。

専門性を磨いて市場価値を高める

理学療法士が増えている状況で自分の価値を高めるには、基本的なリハビリ技術だけでなく、特定領域の専門性を極める必要があります。

たとえば脳卒中後遺症なら歩行分析とロボット技術を応用したリハビリ、小児なら感覚統合療法とオンライン家族支援など、複数分野を組み合わせたニッチ領域を極めましょう。

さらに資格を取得する場合も、呼吸療法認定士やNST専門療法士など、市場ニーズと合うものを選べば、ライバルと差別化できて転職する際も有利になります。

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自分の得意分野を極めることも大事ですが、複数のスキルを組み合わせることで、周囲に差をつけられますよ。

副業を始めて複数の収入源を持つ

理学療法士の収入を上げたい、収入を安定させたいという場合は、副業を始めるのが効果的です。

本業の給与が上がらなくても、副業で収入の柱を増やせば年収も上がります

理学療法士におすすめの副業

  • 訪問リハビリ
  • スポーツトレーナー
  • Webライティング
  • オンラインセミナー講師

訪問リハビリの業務委託は高単価案件が多く、時間帯を限定して働けるため、スキマ時間を有効活用できます。

またWebライティングは在宅でおこなえるので、育児や介護との両立もしやすく、ライフスタイルに合わせた働き方を実現できます。

理学療法士におすすめの副業を知りたい人は、下記の記事も参考にしてみてください。

管理職を目指す

理学療法士としてキャリアを伸ばしたいなら、主任や部門長などの管理職への昇進を目指しましょう。

管理職になると給与水準が向上し、教育・評価、人員配置、予算管理などの組織運営スキルが身につきます。

昇進を早めるには、具体的な業務改善提案や数値目標の達成実績を資料化し、定例会議で共有するなどのアプローチが有効です。

さらにMBAや医療経営士などのマネジメント系資格を取得すれば、経営視点を持つ理学療法士として高く評価され、将来的に部門長や事業所長のポストも狙えます。

独立・開業する

理学療法士として自分の理念を形にしたいなら、自由診療型の整体院や機能訓練型デイサービス、オンラインリハビリなどで独立・開業する選択肢があります。

開業にはテナント取得や機器購入などの初期費用がかかりますが、料金は自由に設定できるため、成功すれば高い収益性を実現できます。

マーケティング戦略としては、地域ニーズを調査し、Web集客やSNS運用でターゲットに刺さる情報発信をおこなうと有効です。

特にSNSでターゲット層への情報発信を継続し、口コミと紹介を循環させる仕組みを構築すれば、広告費を抑えた顧客の獲得が可能になります。

また税制面では、法人化による所得分散や経費計上で手取りを増やせるため、開業前に専門家へ資金計画を相談すると安心です。

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独立を視野に入れて、早期からマネジメントスキルや事業運営の知識を習得しておけば、スムーズに開業できますよ。

理学療法士におすすめのセカンドキャリアを知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。

条件のよい職場に転職する

現在の職場で給与アップやキャリアップを望めない場合は、転職するのも1つの手段です。

同じ理学療法士でも、病院や施設によって待遇や働きやすさは大きく異なります

最新機器や教育研修費を惜しまない病院や、成果連動型の訪問看護ステーションでは、経験年数にとらわれない高年収や早期の昇格が可能です。

転職する際に、リハビリ職専門の転職サイトやエージェントを活用すれば、非公開の高待遇求人を紹介してもらえます。

さらに年収交渉の代行や面接対策などの手厚いサポートを受けられるので、自力で探すよりも良い条件を引き出せます。

末永雄大 末永

リハビリ職や医療技術職の転職支援に特化したマイナビコメディカルPTOTSTワーカーなどの 転職エージェントを利用すれば、マッチング率も上がりますよ。

理学療法士におすすめの転職先や、転職サイト・エージェントを知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。

理学療法士のオワコンによくある質問

理学療法士のオワコンによくある質問と回答をまとめました。

理学療法士が抱える現状の課題は?

理学療法士が抱える現状の課題は、主に5つあります。

  • 資格保有者の増加による人材飽和
  • 診療報酬改定による賃金抑制
  • 昇進ポストの不足
  • 業務ICT化の遅れ
  • 身体的負担の大きさ

上記の課題はいずれも専門性を磨いたり職場を変えたりすることで、ある程度解消できます。

現在の働き方や給料に不満がある場合は、マイナビコメディカルPTOTSTワーカーなどの転職エージェントに相談してみましょう。

理学療法士が「やめとけ」「やめてよかった」と言われる理由は?

理学療法士が「やめとけ」と言われる最大要因は、初任給の低さや身体的な負担の大きさにあります。

転職によって報酬やワークライフバランスが改善したことで、「やめてよかった」と感じる人も多いです。

しかしネガティブな理由の多くは、職場のミスマッチやキャリア戦略が取れていないことが原因です。

自分に合った働き方や職場を選べば、満足度も収入も大きく改善できます。

理学療法士が「やめとけ」と言われる理由を詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。

理学療法士は将来性がない?今後の需要は?

理学療法士は今後さらに需要が高まると予想されており、将来性は高いです。

厚生労働省の資料によると、日本における高齢者の人口は今後も増え続け、2040年には65歳以上が全人口の35%を占めると予測されています。

さらにスポーツ分野や産業保健、医療機器開発など新規市場での需要も拡大しており、長期的に市場価値を維持・向上できる職種といえます。

理学療法士の将来性を詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。

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