薬剤師の将来性は?増えすぎ?働き続ける必勝法を転職のプロが解説
薬剤師の将来性について、AIによって仕事がなくなってしまうのではないか、また増えすぎではないかと考える人が増えています。
本記事では薬剤師の現状と問題点、そして将来性について解説します。未来がないと諦めずに将来性を高めるための方法も紹介します!
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薬剤師の将来性は縮小している
薬剤師の需要は徐々に減少してきており、これからは安定していた薬剤師の雇用が危うくなる可能性があります。
2021年に厚生労働省が発表した一般職業紹介状況によると、薬剤師の有効求人倍率は2.90倍となっていました。約1年前の2020年2月時点では4.51倍となっていて、薬剤師の有効求人倍率は減少傾向にあります。
また平成30年までのデータにはなりますが、有効求人倍率の低下に反比例して薬剤師の数は年々増加傾向にあります。
厚生労働省
薬剤師の需要が減少することに対して、薬剤師の数が増加しています。すなわち、今後の薬剤師は職場の需要に対して供給過多になることが予想されます。次は「性別」「職場」「地域」のタイプごとに将来性を見ていきましょう。
【男女別】薬剤師の将来性
結論、性別に関係なく薬剤師の将来性は減少しています。
男性薬剤師の場合は、製薬会社に勤務する方が多い傾向を見れます。しかし後に解説しますが、製薬会社における薬剤師の需要は減少しています。勤務する職場によっては男性薬剤師の将来性は危ういです。
女性薬剤師の場合は、前提として薬剤師は女性の割合が多いことを踏まえる必要があります。出産や育児などで長期休暇が予測される女性薬剤師に対して、人事は男性薬剤師に管理職を任せる傾向があります。
改善されることを願いますが、現段階ではこのような傾向を見られます。これから薬剤師の需要が減少すると予想される中で、性別問わず今から様々な対策が必要です。
【職場別】薬剤師の将来性
薬剤師全体としての将来性は減少傾向ではありますが、実は職場ごとに詳しく見ると将来性を期待できるところもあります。
調剤薬局で働く薬剤師の将来性
調剤薬局の将来性は縮小することが予想されます。
厚生労働省の統計によると、調剤薬局で働く薬剤師の数は2年間で約8,000人増加しています。薬剤師資格を取得する人の数が増加したことに比例して、調剤薬局に勤める薬剤師の数も増加しています。
2016年 | 172,142人 |
---|---|
2018年 | 180,415人 |
また後に解説しますが、ファーマシーテクニシャン制度(薬剤師の補助)やジェネリック医薬品の台頭により、調剤薬局で働く薬剤師の需要が減少することが予測されます。
従って、調剤薬局においては薬剤師の供給過多が懸念され、将来性も少ないと見ることができます。
ドラッグストアで働く薬剤師の将来性
ドラッグストアで働く薬剤師の将来性は増加することが予測されます。
誰でも簡単に利用することができ、日常生活において身近な存在であるドラッグストアは、特に近年その業界規模が拡大しています。実際に、2020年度には前年対比でその市場規模が4.6兆円増加しています。
新型コロナウイルスの影響を受け、さらに人々の中で予防意識が高まる中で、今後もドラッグストアの市場規模は拡大するでしょう。それに伴い、薬剤師が働くポストも増加することが予測されます。
病院で働く薬剤師の将来性
病院薬剤師の将来性も拡大することが予測されます。主な理由として、病院は慢性的な薬剤師の人手不足を抱えています。
先ほどと同じ、平成30年に厚生労働省が発表した統計によると、病院薬剤師の数は2016年から2018年にかけて約2,000人増加していますが、それは人手不足を抱える病院が採用強化を推進しているからです。
病院で働く薬剤師の年収は他職場と比較して低く、また職場内の人間関係トラブルなどを懸念して勤務地としての人気があまり高くありません。従って、病院は今後も薬剤師の需要が減少しない職場と言えます。
製薬会社で働く薬剤師の将来性
製薬会社の将来性は縮小しています。実際に製薬会社に勤務する薬剤師の数も、ここ2年間で約1,000人減少しています。
元々狭き門である製薬会社ではありますが、大きな原因としてジェネリック医薬品の存在があります。ジェネリック医薬品により、製薬会社で働く薬剤師の主な仕事である新薬開発の必要性が減少しています。
日本政府も2020年までに医薬品の使用割合を80%ジェネリック医薬品にすることを目標としていたことから、その傾向が促進されています。
給料が高く、特に男性薬剤師が目指す職場として人気ではありますが、その将来性に関してはリスクが伴う職場になることでしょう。
都道府県別平均年収ランキング
実は、地方で働く薬剤師の将来性は高く、都市部で働く薬剤師の将来性は低いです。理由を解説する前に、まずは地域ごとの薬剤師の年収を見てみましょう。
ランキング | 都道府県 | 平均年収 |
---|---|---|
1 | 静岡県 | 699万円 |
2 | 長野県 | 690万円 |
3 | 高知県 | 643万円 |
4 | 島根県 | 626万円 |
5 | 愛知県 | 622万円 |
6 | 青森県 | 620万円 |
7 | 秋田県 | 619万円 |
8 | 宮城県 | 610万円 |
9 | 三重県 | 601万円 |
10 | 山形県 | 595万円 |
11 | 神奈川県 | 583万円 |
---|---|---|
12 | 茨城県 | 581万円 |
13 | 広島県 | 571万円 |
14 | 宮崎県 | 570万円 |
15 | 北海道 | 566万円 |
16 | 福井県 | 566万円 |
17 | 滋賀県 | 564万円 |
18 | 和歌山県 | 563万円 |
19 | 大阪府 | 559万円 |
20 | 東京都 | 554万円 |
21 | 香川県 | 548万円 |
22 | 山口県 | 539万円 |
23 | 大分県 | 538万円 |
24 | 千葉県 | 537万円 |
25 | 鹿児島県 | 537万円 |
26 | 熊本県 | 537万円 |
27 | 富山県 | 536万円 |
28 | 福岡県 | 531万円 |
29 | 沖縄県 | 530万円 |
30 | 岡山県 | 529万円 |
31 | 兵庫県 | 527万円 |
32 | 京都府 | 527万円 |
33 | 鳥取県 | 525万円 |
34 | 佐賀県 | 523万円 |
35 | 栃木県 | 521万円 |
36 | 埼玉県 | 521万円 |
37 | 山梨県 | 512万円 |
38 | 奈良県 | 507万円 |
39 | 岐阜県 | 503万円 |
40 | 石川県 | 495万円 |
41 | 岩手県 | 494万円 |
42 | 福島県 | 489万円 |
43 | 群馬県 | 483万円 |
44 | 愛媛県 | 464万円 |
45 | 新潟県 | 447万円 |
46 | 徳島県 | 444万円 |
47 | 長崎県 | 428万円 |
ここから分かるように、薬剤師は地方に行くほど年収が高く、都市部に行くほど年収が低くなる傾向があります。その理由が、地方は薬剤師の人手不足が問題視されており、高年収という待遇を厚くすることで薬剤師を誘致しています。
また、これまで解説したように都市部には多くの薬剤師が集まるので、自然と薬剤師間の競争も激しくなります。従って、地域ごとの将来性は、地方に行くほど薬剤師の需要が高く、都市部に行くほど需要が縮小する傾向にあります。
薬剤師の将来性を左右する3つの要因
薬剤師の人数が増加すると同時に、将来性を左右する要因が主に3つあります。
AIの導入による業務の変化
まず前提として、AIとは大量のデータからパターンや判定技術を学んでいくことで、新しいデータを「分類」することに長けている技術です。つまり現時点での人間が蓄えた知識や経験のデータに基づいて、あたかもその道の専門家であるかのような判断ができる仕組みです。
AIの仕組み的に考え、現在薬剤師がおこなっている業務でAIにできることは、調剤と薬歴管理だと考えられます。
例えば、調剤業務についてはAIに任せたほうがスピードも早く、ミスもなくなるでしょうし、処方監査も人がやるより正確に危険を予測できるようになる可能性は高いです。
また、薬歴管理についてもAIに取って代わられる可能性はあるでしょう。今までに服用してきた医薬品のパターンからリスクを予測するには人の記憶力に頼るよりも、膨大なデータベースを使って結果を導き出せるAIのほうが強みを活かせるためです。
ファーマシーテクニシャン制度の導入
ファーマシーテクニシャンとは、アメリカで導入されているもので、薬剤師の指示に基づいて、主に医薬品のピッキングなど薬剤師の補助をおこなうスタッフのことです。
薬剤師のメインの業務は、患者さんとコミュニケーションをとって、専門的な知識を活かして、適切な調薬をおこなうことです。
しかし実際は、大量の医薬品の中から必要なものをピッキングする作業に多くの時間を取られているという問題がありました。
そこで、ファーマシーテクニシャンという薬剤師資格がないスタッフが補助することで、スムーズな業務を実現しようという仕組みがあるのです。
日本では導入するかは、議論の段階ですが、人件費が高額な薬剤師に対してファーマシーテクニシャンが導入されたら、需要が見込まれるでしょう。
薬剤師の業務効率化が実現されれば、今までの人員は必要なくなると考えられるため、ファーマシーテクニシャンが導入されれば、薬剤師の需要は減少してしまうかもしれません。
ジェネリック医薬品の存在
ジェネリック医薬品の存在は薬剤師の将来性に大きく影響します。
これまで専門的な知識や処方経験が求められた医薬品の扱いですが、ジェネリック医薬品の存在により人々の生活に身近なものになりました。より簡素化された調剤業務により、AI技術の医療現場への導入やファーマシー制度の導入が可能にもなりました。
人々の暮らしにとっては嬉しいことですが、薬剤師の需要減少を引き起こす要因です。日本政府もジェネリック医薬品の利用を促進していることから、今後も薬剤師の将来性は大きな打撃を受けていくでしょう。
新型コロナウイルスは薬剤師の将来性に影響する?
新型コロナウイルスが薬剤師の将来性にどのような影響を与えるのかについて気になる薬剤師も多いと思います。
コロナの感染拡大によって、薬局や病院への来院数が減少し、それによって経営が悪化しています。その結果コストの削減のために人員が削減されています。
具体的には、厚生労働省の一般職業紹介状況 についての調査データによると、令和元年11月と令和2年11月の薬剤師の有効求人倍率を比較すると減少傾向にあります。
2020年の有効求人倍率 | 2021年の有効求人倍率 | |
---|---|---|
パート含む | 3.51倍 | 2.11倍 |
パート除く | 4.51倍 | 2.90倍 |
このデータだと、2020年11月から2021年11月にかけてかなり数値が減少しており、職に就くのが難しくなっていることがわかります。つまり、先が見えない状況の中で、人員の削減をおこなっていると考えられます。
コロナウィルスの感染拡大に歯止めがかかり始めるまでは、他の業種もそうですが、需要が高まっていくとは考えにくいです。
薬剤師の将来性が縮小する中で勝ち抜くために
薬剤師の将来性は縮小傾向にあり、それは業界規模の縮小だけでなく、薬剤師個人の需要や今後も働き続けることができるか否かにも影響します。
しかし苦労して取得した薬剤師資格、守るべき家族や収入など、これからも薬剤師として働き続けたいことは当然です。従って、今後も薬剤師として働き続け活躍するために必要なことをまとめました。
職場に求められているスキルを把握する
いたって簡単で、あなたが現在働いている職場において貢献できることを考えましょう。
何度も申し上げますが、薬剤師の需要は減少しており、何事においても需要が減少する業界では特別なスキルや大体不可能な価値を貢献することが求められます。
今のあなたが職場に提供できる価値はなんですか?難しいことではありますが、この課題を解決することができれば、今後も薬剤師として長く働き続けることができ、職場から求められる薬剤師になります。
資格を取得して差別化する
将来性を高め今後も働き続けるために資格の取得をおすすめします。おすすめの資格は「認定薬剤師」「英語」の2つです。
「認定薬剤師」を取得することで、資格取得者にしか扱うことができない業務を担当することができます。また、外国人移民の受け入れやドラッグストアの海外展開が予測される中で、「英語」に関する資格を取得することは市場価値の高い薬剤師になることにつながります。
さらに、資格を取得することで自身のキャリアアップにもつながります。薬剤師の評価制度は勤務年数と経歴が主な軸であり、資格を取得することであなただけの経験を積むことが可能になります。
在宅医療の経験を今から積む
最後に在宅医療の経験を今のうちから積みましょう。
少子高齢化の問題を抱える日本社会の中で、在宅医療の必要性がこれから拡大していきます。実際に多くの調剤薬局、そしてドラッグストアにおいても在宅医療への取り組みを推進しております。
在宅医療に携わるには特別な資格が必要ないので、もし現職場で在宅医療を提供している場合は希望することで経験を積むことができます。
新しい経験、かつ今のお仕事と並行して携わることになるので不安もあると思いますが、あなたの薬剤師としての市場価値を高め将来性を高めるためにおすすめします。
薬剤師の将来性を高める方法
薬剤師の需要が縮小し、安定した雇用が保障されない時代はすぐそこまで来ています。これからは薬剤師個人の市場価値を高めることで、長く働き続けることができます。
しかし、一概に市場価値を高めるために経験を積もうと言っても非常に曖昧ですよね。その時におすすめするのが転職エージェントを利用することです。
私転職したい訳ではないんだけども…、もちろん転職することを強要していません。転職エージェントはその豊富な業界知識とあなたの経験を比較することで、客観的な市場価値を測ることをサポートします。
その過程で、今より好条件の職場やさらなるスキル・経験を積む機会が必要であれば、ぜひ転職エージェントに求人紹介を依頼しましょう。あなたの希望に合った職場を紹介してくれます。
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