中卒だと就職できない？難しい理由とおすすめの職業を紹介！

中卒で就職できないのは嘘

中卒だと就職できないと思われやすいですが、実際のところは就職はできます。ただ、高卒や大卒と比べると学歴フィルターによる偏見が存在するため、難しさはありますが不可能ではありません。

しかし、高卒や大卒と比べると応募できる求人が少なく、内定を獲得するためにはスキルアップや資格取得などの工夫が必要になります。

内閣府の「男女共同参画白書(令和3年版)」によると、そもそも中卒者は全体的に少なく、令和2年度(2020年)の進学率は男子96.3％、女子97.6％と9割以上が高校に進学しています。そのため、中卒者は「高校にも進学できないレベル」と見なされることがあり、学歴による偏見が生じやすいのが現状です。

確かに学歴による偏見はありますが、厚生労働省の「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況(令和6年度)」によると、中卒者の就職率は令和6年3月末時点で82.6％と、高卒の99.6％よりは低いものの、8割以上の中卒者が就職を成功させています。このように、学歴に自信がない中卒でも、しっかり準備をすれば就職することは可能です。

中卒の就職は難しくなりやすい理由

中卒は高卒や大学卒業の求職者と比べて、学歴に対する社会的な偏見を受けやすく、また応募資格の制限によって選択できる求人が限られています。上記にあげたような理由を含め、中卒だと就職が難しくなりやすい傾向にあります。

確かに確かに就職は難しいですが、冒頭で述べたように不可能ではありません。中卒が直面する課題に対し、適切な方法を取れば正社員としてのキャリアを築くことも可能です。

ここでは中卒者の就職で課題になりやすいことについて解説していきます。

中卒に対する社会的な偏見

中卒というだけで、能力や意欲に関係なく「継続力がない」と見なされ、不利になることがあります。

とくに学歴を重視する企業では「学業を途中で諦めた＝忍耐力がない」という先入観を持たれることがあり、採用のハードルが上がりやすいです。

継続力や意欲での懸念を払拭するためには、これまでの経験をアピールする必要があります。しかし、中卒の場合は年齢的に正社員としての実務経験や長期間のアルバイト経験を積むのが難しいため、選考では学校生活で取り組んだことを具体的にアピールするのが効果的です。

他にも独学で資格を取得するのも働く上での意欲をアピールするのに役立ちます。ただ、資格なら何でも良いというわけではありません。希望する仕事に関連であるものでなければ評価してもらえないので注意が必要です。

中卒者向けの求人が少ない

大手転職エージェントのdodaで実際に学歴別の求人数を調べてみました。2025年3月時点で募集要項に学歴を記載していない学歴不問の求人は123,780件あります。

中卒・高卒・大学卒をそれぞれ調べると、高学歴になるほど求人が増えていくのがわかります。ちなみに中卒の応募を歓迎していると記載している求人は40件で、高卒と比べても圧倒的に少ないです。

このように、中卒者向けの求人は極めて少ないため、就職活動において選択肢が限られてしまいます。

応募資格を満たせずに応募できない

冒頭でも説明したように日本では9割以上の10代が高校へ進学しています。高校に進学しているのは当たり前の状態なので、求人でも高卒以上を応募条件にしているケースが多いです。そのため、興味のある求人があったとしても「高卒以上」の一文によって応募できないケースも少なくありません。

企業が高卒以上を必須条件にしている理由は、基本的な教育水準を満たしているからです。というのも企業は高卒レベルの読解力・適応力がある人材を求めているのです。会社も善意で人を雇っているのではなく、事業を推進するためにこれらの能力が必要不可欠だと考えています。

企業が「高卒以上」を応募条件とする理由として、以下の点が挙げられます。

ちなみにさまざまな業界・職種で「高卒以上」を必須条件としています。例えば、大手メーカーの技術職、有名企業の営業職・事務職は高卒以上としている傾向にあります。大学卒業見込みの新卒からの応募も多いため、基礎学歴に不安のある中卒を対象にする必要がないからです。

中卒では取得できない資格がある

資格の中には最終学歴が中卒では取得できないケースもあります。中卒で取得できない理由は業務を遂行するのに高い専門性が必要で、それを身につけるために一定以上の学歴を必要としているからです。

例えば、大学で専門の教育が必要となる看護師や保育士、教師は高卒以上の学歴が必要です。しかし、中には学歴不問で、中卒でも業務経験を積めば受験資格を得られる資格もあります。具体的には下記の資格が該当します。

中卒でも経験を積めば、取得できる資格はあります。まずはアルバイトからスタートし、実務経験を積んでから取得を目指すと良いです。

自分の興味のある仕事がわからない場合は、将来的に選べる業界・職種が増える宅地建物取引士がおすすめです。

中卒が就職するのにおすすめの職種

中卒の就職活動では人手不足の業界・職種を選ぶのが内定を獲得するコツです。これらの業種では思うように人を採用できないため、選考でのアピール次第では中卒でも採用してもらえる可能性があります。

しかし、人手不足ならどの業界・職種でも良いというわけではありません。学歴でハンデのある中卒者は目先の利益で選ぶのではなく、10年・20年先を見据えた将来性のある仕事を選ぶことが重要です。

ここでは中卒者でも就職を成功させやすい仕事について解説していきます。

営業職

営業職は未経験でも挑戦しやすく、特に学歴不問の企業も多いため、中卒者でも採用されやすい職種の1つです。

中卒者が市場価値を高めるには、まず採用してもらえる営業職で経験を積み、その後より難易度の高い営業職へ転職するのが有効です。

営業の種類や営業職への転職について転職エージェントは下記の記事で解説しています。

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販売職・接客業

最初から営業職で成果を出せるのか不安な場合は販売職・接客業がおすすめです。中卒でも始めやすいだけでなく、営業に必要な接客経験を積めます。販売職・接客業を2年ほど経験すれば営業職へ転職しやすいです。

選択肢に上がるのはスマホ販売や飲食業ですが、どこも人手不足のため学歴を問わずに採用されやすいのが特徴です。人に接するのに自信がない場合はここから始めてみてください。

エンジニア

手に職をつける代表格は調理師や美容師でしたが、将来性で見たらおすすめできません。IT社会の現代ではエンジニアがおすすめです。

エンジニアはプログラミングスキルが必要なので、他の仕事に比べてハードルが高いです。しかし、物覚えが早い10代や20代のうちにプログラミングスキルを習得すれば、学歴がなくてもITエンジニアとしてのキャリアを歩めるようになります。

しかも即戦力として活躍できるITエンジニアは大手企業も強く求めています。下積み期間は長いですが、将来的には年収600万円以上も夢ではありません。

未経験からITエンジニアを目指している場合は下記の記事も参照してみてください。

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事務職

一般的な企業の事務職は、高卒以上が応募条件となっていることが多く、中卒者が正社員として採用されるのは難しい傾向にあります。派遣やアルバイトで経験を積むことは可能ですが、正社員登用のチャンスは限られます。

なぜなら事務職は女性に人気がある仕事だからです。大卒でも応募するケースが多く、ただでさえ少ない事務職の正社員求人の枠がさらに少なくなってしまいます。

事務職の転職事情やおすすめの転職エージェントについて、さらに詳しく知りたい人は下記の記事も参考にしてみてください。

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介護職

介護業界は慢性的な人手不足のため、中卒者でも学歴や資格がなくても正社員として採用されやすい職種です。

高齢化社会が進む中で、介護職の需要は年々増加しており、未経験でも採用されやすい業界です。さらに、働きながら介護資格を取得することで、キャリアアップや給与アップも期待できます。

未経験から介護職を目指す方法や利用できる転職エージェントについて、さらに詳しく知りたい人は下記の記事もおすすめです。

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運送業

コロナ禍を契機にUber EatsやAmazon、楽天でも独自の運送方法を導入し、運送業の需要は拡大しています。常に人手不足の業界なので、中卒者でも採用されやすいです。

一方で運送業・物流業界は「2024年問題」に直面しています。2024年4月に施行された「働き方改革関連法」によって、運送業の人手不足はさらに激しくなっています。これに対応するため、、業界全体としても人材の定着に労働時間の短縮や待遇改善に力を入れています。

ドローンやAIを使った業務効率化が進んでおり、今後は今よりも働きやすくなると想定されます。

工場作業員

中卒で地方に住んでいる場合は工場作業員がおすすめです。大手メーカーは難易度が高くなるので小規模な工場で経験を積んだ後、大手企業への転職を目指すとキャリアアップしやすくなります。

というのもモノづくりの国と呼ばれる日本では、日本各地にさまざまな製造業があります。金属加工や機械など、地域ごとに工場の種類が異なっており、興味のある職種を見つけやすいです。

中卒が正社員として就職するためのコツ

中卒が正社員として就職するためには、不足しているスキルや経験を補うための具体的な行動が必要です。まずは企業の求める人物像を理解し、そのための行動を取るようにしてみてください。

ここでは中卒が正社員を目指すための具体的な方法を解説します。

高卒認定試験を受ける

中卒者でも高卒認定試験に合格すれば、高卒以上の学力を有している証明になり、高卒以上の求人にも応募できるようになります。

ちなみに高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)に合格すれば、高校卒業と同等の学力があると証明されます。試験は年に2回、例年8月と11月に実施されており、16歳以上であれば受験可能です。

さらに高卒認定資格を取得すれば、大学・専門学校への進学が可能になるだけでなく、一部の企業では高卒と同じように扱ってもらえます。

ビジネスマナーを身につける

働くということはさまざまな年代の人と一緒に仕事をするということです。そのため、企業は学歴だけではなく、社会人としての礼儀や振る舞いを有しているかを重要視しています。学歴があっても失礼な態度で取引先を失えば、会社としては大きな損失です。

とくに面接での挨拶や敬語の使い方はビジネスの基本です。中卒であれば新卒と同じ新人研修を受けられますが、あらかじめ基本を身につけていると面接で高く評価される可能性はあります。

資格を取得する

資格を取得することで、その仕事をする上で必要な知識や技能を有していると評価してもらいやすくなるので中卒者でも採用される可能性が高まります。

とはいえ、資格はたくさんあります。中には取得しても評価してもらえないのもあるので注意が必要です。評価してもらえる資格は応募した職種に関連しているものです。

まずは自分が応募したい職種の仕事内容を理解することから始めてみてください。調べていく過程で有利になる資格が出てくるので、今の自分でも取得できるか確認すると良いです。

業務経験が必要な場合はアルバイトで良いので、採用してくれるところで経験を積んでから試験に臨むとスムーズです。

ちなみに将来的に資格を取得するつもりでアルバイトをしている場合でも就業経験として評価してもらえる可能性があります。

正社員雇用のあるアルバイトから社員を目指す

中卒者で何の仕事に就けば良いのかわからない場合は、正社員登用のあるアルバイトから始めてみてください。働いている途中で長期的に働きたいと思えるようになったら、正社員にしてもらえないか打診してみると良いです。

ただ、正社員はアルバイトよりも求められるレベルが高まります。これまでと同じ姿勢では評価してもらえないので、正社員とアルバイトの違いを自分の中でしっかり考えて気持ちを切り替えることが大切です。

学歴不問の求人に応募する

中卒者は選べる求人が少ないことを理解し、学歴不問の求人を選ぶようにすると良いです。学歴不問の求人はポテンシャルを重視した採用をおこなっています。

学歴以外の人柄ややる気を評価してくれるので、中卒者でも採用される可能性が高まります。

学歴不問の求人はさまざまな業界・職種にあります。どんな求人があるのか確認する意味で求人サイトで「学歴不問」で検索してみると良いです。

転職エージェントを利用する

中卒でも転職エージェントを利用できます。とくに20代若手に専門特化した転職エージェントは、中卒・高卒の幅広い支援実績があります。これまでの実績に基づいたノウハウでサポートをおこなってくれるので、自分だけで対策するよりも就職を成功させやすいです。

中卒者が面接でよく聞かれる質問

会社に入社するためには面接は大きな関門です。面接を突破できなければ正社員として働くことはできません。これは中卒だけでなく高卒・大学卒業者すべてに共通することです。

ただ、中卒者が面接を受ける際には、中卒ならではの質問をされます。この質問を通して働く意欲や考え方、将来をどのように捉えているのかを見極めようとしているのです。

ここでは、中卒者が面接でよく聞かれる質問とその答え方について詳しく解説します。

なぜ就職したいのか

中卒者との面接で、面接官は仕事への意欲や将来のビジョンを確認するために「なぜ就職したいのか」質問をします。「とにかく正社員になりたい」という理由だけでは採用担当者に響かず、仕事に対する前向きな姿勢を示す必要があります。

「安定した職に就いてスキルを磨きたい」「長く働きながら成長したい」といった具体的な理由を伝えると、評価が高くなります。

進学よりも就職を選んだ理由

「進学よりも就職を選んだ理由」を質問された際には、中有卒者の学歴のハンデをどう捉え、どう克服しようとしているのかを説明することが大切です。

学歴がないことをネガティブに捉えるのではなく、「早く社会に出て経験を積みたかった」「自分の強みを活かせる仕事に挑戦したい」といった前向きな姿勢を示すと好印象につながります。

なぜなら、企業は学歴だけで判断するのではなく、入社後の成長と貢献を重視しているからです。

前向きな理由を伝えることで「主体性がある」「目的意識を持って行動できる」といったポジティブな印象を与えられます。また、「自分の強みを活かしたい」という姿勢を示せば、企業側も入社後の活躍を具体的にイメージしやすくなります。

事前に自分なりの理由を整理し、面接官に納得してもらえる説明を準備しておくと、スムーズに回答できます。

中卒のまま就職しないと待っている結末

10代の中卒者はたくさんの選択があると錯覚しがちです。10代で正社員にならなくても20代になれば自然となれると思っている人もいます。

しかし、社会はそこまで甘くはありません。中学を卒業してから何をやっていたのかは確認され、その内容が評価されていきます。就職しないまま「何となく自分探し」をして時間が経ってしまうと、さまざまな問題が生じてきます。

親や家族が支えてくれるうちは良いのですが、30代になっても働いていなければ愛想を尽かされます。その結果、自由に使えるお金がなくなり、不安に駆られて仕事を探そうにも簡単に見つかりません。

なぜなら、同じ年代の社会人は会社では中堅の立場になっているからです。その人たちと比べられてしまうので正社員の内定を獲得するのは難しくなり、フリーターといった非正規雇用の選択しかなくなってしまうのです。

フリーターの働き方が悪いわけではありませんが、正社員と比べて雇用に不安があったり、社会的な信用が低いデメリットもあります。

年齢を重ねるほど就職の難易度が上がるため、早めの対策が必要です。ここでは中卒のまま就職しないと待っている結末について解説します。

賃金格差で生活が厳しい

学歴によって生涯年収に大きな差が生じるため、中卒のままでは経済的に厳しい生活を強いられる可能性が高くなります。

労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2023 ―労働統計加工指標集―」によると、日本における平均的な生涯年収は中卒：約1億5000万円、高卒：約2億円、大卒：約2億5000万円 とされており、学歴が上がるほど収入も増える傾向にあります。

さらに、昇進やキャリアアップの機会も学歴によって制限されることが多いため、長期的な収入格差は拡大しやすいです。

雇用が安定しない

業績が悪化した際、非正規雇用の労働者は正社員よりも解雇されやすく、収入が不安定になりがちです。

正社員の雇用継続率は高いのに対し、派遣やアルバイトなどの非正規雇用は景気悪化時に大幅に削減される傾向があります。

特に人件費削減の対象になりやすく、契約更新がなくなることで収入が突然途絶えるリスクもあります。

社会的信用が得られない

中卒で非正規雇用のままだと、信用が低くなり、将来的にローンが組めない・家を借りにくい などの問題が発生します。

住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードの審査では「収入の安定性」が重視されます。

そのため、契約社員やアルバイトだと審査が通らないケースが多く、家を購入するどころか賃貸契約でも保証人を求められることがあります。

年齢を重ねると転職が今よりも難しくなる

中卒の若いうちはポテンシャル採用の可能性がありますが、年齢を重ねると転職市場での競争が厳しくなります。

20代のうちは「未経験でも成長が期待できる」と判断されることがありますが、30代・40代になると「経験がない＝即戦力にならない」 と見なされやすいです。その結果、伸び代が期待できる若い求職者と比較され、転職の難易度が上がります。

ハローワークよりも転職エージェントがおすすめ

ハローワークは公的な就労支援サービスです。そのため、ハローワークを使って就活をする中卒者もいます。しかし、将来を見据えた就職先を探したいのなら転職エージェントの利用がより効果的です。

転職エージェントでは学歴ではなくポテンシャルを重視した非公開求人を紹介してもらえます。さらに履歴書の添削や面接対策のサポートを受けられるため、就職成功の確率が高まります。

ハローワークは幅広い求人情報を提供しているものの、自分に合った仕事を見つけるには時間がかかることがあり、サポートも物足りないです。

一方で、転職エージェントは個別のキャリア相談をおこない、適職へのマッチングをサポートするため、学歴を理由に採用を敬遠されがちな中卒の求職者にとって心強い味方になります。

中卒の就職活動者によくある質問

中卒の求職者が就職活動を進めるうえで、よく抱く疑問について解説します。