社内版ビズリーチとは?人材流出防止サービスの導入メリットと注意点

社内版ビズリーチ

    2025年1月、ビズリーチが社内人材の活用を目的とした新サービス「社内版ビズリーチ by HRMOS」をリリースしました。

    タレントマネジメントや社内公募制度の強化に取り組む企業にとって注目のサービスですが、導入にあたっては仕組みの特徴や運用上の注意点を理解しておくことが不可欠です。

    本記事では、導入を検討している企業向けに「社内版ビズリーチ」の機能や導入メリット、注意点をわかりやすく解説します。

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末永雄大

末永雄大

新卒でリクルートエージェント(現リクルート)に入社。数百を超える企業の中途採用を支援。2012年アクシス(株)設立、代表取締役兼転職エージェントとして人材紹介サービスを展開しながら、年間数百人以上のキャリア相談に乗る。Youtubeチャンネル「末永雄大 / すべらない転職エージェント」の総再生回数は2,000万回以上。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック
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優秀な若手人材が退職していませんか?

昨今、外部人材の獲得競争は熾烈を極めています

採用コストの増加、カルチャーフィットの課題、ミスマッチによる早期離職など、これらのリスクを抱えながら、企業は人材の獲得に奔走しています。

一方、社内を見渡せば、現場で活躍しながらもキャリアの次の一歩を見出せずにくすぶっている社員が少なくありません。彼らは時に、社内で評価されることなく転職市場に流出し、外部で高い評価を受けているのが現状です。

こうした「社内の埋もれた才能」を発掘し、社内で最適に活用するための仕組みとして注目されているのが「社内版ビズリーチ」です。

社内版ビズリーチとは?

社内版ビズリーチとは、ビズリーチが提供するタレントマネジメントシステム「HRMOS」の機能の一つで、社内の人材を「見える化」し、最適な人材配置を支援するサービスです

このサービスは、求職者に対して企業が直接スカウトを行う中途採用プラットフォーム「ビズリーチ」の考え方を、社内向けに応用したものです。

2025年にリリースされた新しいサービスで、キリンホールディングスなど15社で先行導入が進んでいるとのことです。気になる料金は非公開となっています。

社員のスキル・経験・志向性をデータベースとして一元管理し、それをもとに社内各部署が自発的に「スカウト」できるような形に設計されており、従来の形式的な社内公募制度とは異なり、双方向的なマッチングが可能になります。

また、社内FA制度との違いは、社員主導での異動希望提出に加えて、部署側からも「こんな人材が欲しい」というニーズを発信できる点にあります。

つまり、従来のトップダウン・ボトムアップどちらか一方に偏っていた異動制度を、よりマーケットプレイス的に進化させたものが「社内版ビズリーチ」だと言えるでしょう。

末永雄大 末永

社内公募制度やタレントマネジメントシステムを導入しても、社員の情報を「見える化」するだけでは十分とは言えません。多くの企業で見られるのが、せっかく蓄積したタレント情報を活用できていないというケースです。制度を形骸化させないためには、現場マネージャーや社員に「異動が自分ごとになる」ような働きかけが不可欠です。

社内版ビズリーチが注目されている理由

社内版ビズリーチが注目されている背景には、ジョブ型雇用へのシフト、キャリア自律を促す人事政策の加速、さらには人的資本経営という文脈があります。

JTC(伝統的な日本企業)のメンバーシップ型人事では、社員は会社都合で配属され、キャリア形成は受動的であることが一般的でした。

しかし現在、社員一人ひとりが「自分のキャリアは自分で創る」という発想に変わりつつあり、企業側もその意思を支援する体制を求められています。

また、社内のスキルマップを見える化することによって、再教育(リスキリング)や配置転換が戦略的に行いやすくなり、人材の最適配置や多様なキャリア支援が可能となります。

このような「人を活かす」視点での人事戦略が、社内版ビズリーチの導入を後押ししているのです。

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社内版ビズリーチ導入のメリット

社内版ビズリーチ導入のメリット

ビズリーチ公式サイトから引用

社内版ビズリーチの導入によって得られるメリットは多岐にわたります。まず、人材の情報が集約されることで、企業にとって人的資本の可視化が進みます。

これは、どの部署にどんな人材がいて、どのようなスキルや志向を持っているのかを俯瞰的に把握できるということです。それにより、戦略的な配置転換やプロジェクトアサインが容易になります。

また、社員のキャリアオーナーシップを促進できる点も見逃せません。異動の希望を自発的に出せるだけでなく、他部署からスカウトが来ることで「会社が自分を見てくれている」という実感を得られ、モチベーションやエンゲージメントの向上に繋がります。

さらに、中途採用に過度に依存しない組織体制が整うことで、景気や外部市場の変動に左右されにくくなり、柔軟で持続可能な人材戦略の基盤が築かれます。そして何より、優秀人材が「機会の欠如」を理由に会社を去るリスクを大幅に減らせるのです。

末永雄大 末永

社内転職制度(キャリアチェンジ制度)を成功させるには、スカウト活用の促進、キャリア面談との連携、制度目的の周知など、制度を動かすための運用設計が鍵を握ります。「仕組み」だけでなく「使い方」こそが成果を左右するポイントです。

社内版ビズリーチ導入時の課題と失敗パターン

一方で、社内版ビズリーチを導入しても、うまく活用できない企業があるのも想定されます。

その多くは「社内転職制度をつくっただけ」で終わってしまってしまうケースです。つまり、導入したこと自体に満足してしまい、社員への浸透や利用促進に十分なリソースを割けていないのです。

また、社員側の課題として「自分をどうアピールしていいかわからない」「公募に応募しても異動できるとは限らない」という不信感があると、制度の利用は進みません。人事からの一方通行の情報提供だけでは、社員の自発性を引き出すことは難しいのです。

さらに、現場の管理職が「人材を引き抜かれるのでは」といった不安から制度活用に非協力的な態度を取る場合もあります。このような場合、制度の趣旨や全社的なメリットを丁寧に伝える社内広報や教育が不可欠です。

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社内版ビズリーチは「運用」がカギ

社内複業制度やフリーエージェント制度の成否を分けるのは「運用」です

どれだけ優れたシステムを導入しても、それが日々の運用の中で活かされなければ意味がありません。仕組みだけが整っていても、現場で使われずに放置されてしまっては意味がありません。

社内転職制度の目的を社員一人ひとりに正しく伝え、活用の成功体験を広げ、必要に応じて手厚いサポートを行う。こうした地道な取り組みこそが、制度を社内に定着させる鍵となります。

実際に成果を出している企業では、導入フェーズから人事部だけでなく現場も巻き込み、段階的に制度を浸透させています。また、外部の専門支援を活用することで、運用負荷を軽減しながら高い制度活用率を維持しています。

社内公募制度を成功に導くアクシスの社内公募制度運用支援サービス

私たちアクシス株式会社では、社内公募制度の導入から活性化までを一貫して支援しています

タレントマネジメントの視点を取り入れた制度設計、社内広報やエンゲージメント施策、キャリアコーチ派遣、、1on1トレーニング実施など、運用に根ざしたサポートが強みです。

また、業種・規模・制度導入の目的に応じて最適な支援パッケージをご用意しており、他社では対応が難しい「現場巻き込み」や「制度の形骸化対策」まで含めて伴走支援いたします。

特に、運用フェーズでつまずきがちな「人事部と現場との連携構築」において、高い評価をいただいています。興味がある企業様はお問い合わせページからご連絡ください。

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