医師の生涯年収どれぐらい?男女別や給与が高くなる理由も紹介
医師の生涯年収がどれぐらいなのか、施設の規模・全体・男女別にご紹介します。また、医師の年収が高くなる理由や、開業医と比較してどうなのかなどについても徹底解説します。
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医師の生涯年収は約4億4千万円
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査(2019年)」のデータを元に、医師の生涯年収を算出してみたところ、約4億4千万円でした。
生涯年収はデータの「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」×26歳~60歳までの35年で算出しています。
同じ医師という仕事ですが、施設の規模によって生涯年収に違いが生じます。具体的にどれだけ違うのか、以下でご紹介します。
施設規模 | 生涯年収 |
---|---|
10~99名 | 約4億2千万円 |
100~999名 | 約5億円 |
1000名以上 | 約3億8千万円 |
平均生涯年収 (10名以上) |
約4億4千万円 |
ユースフル労働統計の「労働統計加工指標集」によると一般的な正社員の生涯年収は2億5千万円ほどです。医師と一般的な正社員の平均年収を比較すると、約1億9千万円もの差があることが分かります。
医師の生涯年収について紹介しましたが、実際は常勤の他に掛け持ちで複数の病院で働いている場合もあります。また、医師には定年はないので、人によってはさらに生涯年収が上がるケースもありますね。
【男女別】医師の生涯年収
同じ医師でも男性と女性の生涯年収には、約6千万円の差が生じます。
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査(2019年)」のデータを元に、26歳~60歳まで働いた場合のそれぞれの生涯年収を以下で算出してみました。
生涯年収 | |
---|---|
男性 | 約4億7千万円 |
女性 | 約4億1千万円 |
全体 | 約4億4千万円 |
女性が男性よりも生涯年収が低いのは医師に限ったことではなく、働く女性全般に共通して言えることです。その大きな要因は妊娠・出産、子育てです。女性は出産前後に休職をする必要があり、母体の安全を考えれば働き続けることは困難です。
休職後の復帰にパートナーに理解があればフルタイム勤務が可能ですが、共働きの場合は時短勤務を選択せざる得ません。このようにライフイベントの影響を受けやすい女性は男性と比べ、キャリアと収入に差が出てしまうわけです。
医師の年収が高くなる2つの理由
一般の正社員より2億円ほど生涯年収が高くなっている医師ですが、年収が高くなるのはそれだけの理由があるからです。
そもそも医師になるためには、大学の医学部に進んで6年間みっちりと医療について学び、その後は医師国家資格に合格しなければなりません。そこからさらに2年以上、臨床研修医としての経験を積む必要があります。
通常の職種よりも高度な専門知識、スキルが求められるので希少価値が高く、年収も高くなります。しかし、医師の年収が高くなるのはこれだけではありません。他にも以下の2つの理由があります。
医師の仕事は激務
医師は需要の高い職種ですが、非常に激務でもあります。激務で給料が低ければ、医師になる人はいません。激務に対する対価として、医師の年収は高くなっています。
労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」では、1週間あたりの全労働時間が60時間以上が4割だと発表しています。しかも過労死ラインと呼ばれる月80時間以上もの残業をしている医師は全体の40%もいます。
医師はそもそも交代制であることが非常に少なく、1人の患者を1人の医師が診る主治医制になっています。主治医は担当の患者の治療に関して全責任を持つ必要があるので、少し不安な状態の患者であれば、残って様子をみてしまう…なんてことは日常茶飯事です。
さらに医師には法律で定められている当直業務というものがあります。一定以上の規模の病院は、必ず夜間・休日にも医師が病院内にいなければなりません。そして当直翌日の勤務体制ですが、80%以上の割合で通常通りの勤務となっています。
過酷な労働環境でありながらも、専門的な知識と技術が必要な医師が辞めないためにも、医師の年収は高くなっているわけです。
患者の命を取り扱うから
医師は患者の命に直接関わる仕事です。判断1つで患者の生き死にを左右してしまうので、それだけ大きな責任があります。
例えば、頭痛を訴えている患者を単なる風邪だと診断し、風邪薬を処方したとしましょう。この患者が単なる風邪なら問題ないのですが、緊急を要する病気だった場合、この判断によって取り返しのつかない状態にもなりかねません。
命を扱う仕事だからこそ、医師の年収は高くなっているわけです。
末永
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開業医のほうが生涯年収は高いがリスクも大きい
厚生労働省が公表している「第22回医療経済実態調査の報告」に掲載されている2018年度の平均年収を元に、70歳まで働いた場合の生涯年収を算出してみました。
生涯年収 | |
---|---|
開業医 | 8億2千万円 |
勤務医 | 5億4千万円 |
勤務医は単純に2018年度の平均年収に、26歳~70歳まで働いた場合の44年をかけただけの生涯年収です。
医師は基本的に26歳から10数年かけて、医療スキルや知識を臨床で身につけます。そのため、医師としてのスキルが身についた40歳頃に独立するケースが多いので、開業医の生涯年収は40歳~70歳までの30年間で算出しています。ちなみに勤務医としての14年間は加算していないので、実際はもう少し高い数値になります。
上記の比較からもわかるように、開業医のほうが生涯年収は圧倒的に高いです。しかし、開業医の場合は医療スキルの他に経営に関する知識やスキルも求められるようになります。
つまり、医療スキルの他に、自身の医院で働く医者や看護師、医療事務といったスタッフの管理、資金運用、集客など、効率よく医院を経営するためのスキルも重要となってくるわけです。
また、勤務医であれば不要な支出も開業医には多くあります。具体的には、医院を開くために金融機関から借り入れた資金の返済、最新の医療機器の購入費、施設の老朽化に備えた準備金などがあげられます。
これらの支出は勤務医では把握できない部分のため、一概に開業医が良いとは言えません。自分が将来的にどのような医師を目指したいのかも合わせ、勤務医として働き続けるのか、それとも開業するのかをしっかりと考えたほうが良い選択ができるでしょう。
医師としての年収を上げたい人へ
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