
看護師の残業は多い?平均残業時間や残業代の現状と少ない職場を解説
毎日のように残業が続くと、看護師の仕事にやりがいはあっても、体と心がついていかないですよね。
この記事では、看護師の残業は多いのかを、平均残業時間や残業代・サービス残業のデータをもとに解説します。
残業が少ない職場の特徴も紹介するので、働き方を見直したい看護師はぜひ参考にしてみてください。
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看護師の残業は多い?平均残業時間のデータ
結論からいうと、看護師の残業は多いです。日本医療労働組合連合会(医労連)の調査では、日勤の看護師に1日平均68分の時間外労働が発生しています。
ここでは、1日あたり・1ヶ月あたり・年齢別の残業データを順に紹介します。
1日あたりの平均残業時間
医労連の「2022年 看護職員の労働実態調査」によると、日勤の看護師は始業前と終業後を合わせて1日平均68分の時間外労働をしています。
準夜勤・深夜勤・2交替勤でも、1日あたり45〜53分の時間外労働が発生しています。
勤務形態別の平均時間外労働は以下のとおりです。
| 勤務形態 | 始業前(分) | 終業後(分) |
|---|---|---|
| 日勤 | 22 | 46 |
| 準夜勤 | 22 | 23 |
| 深夜勤 | 19 | 26 |
| 2交替勤 | 24 | 29 |
出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」
始業前の時間外労働はどの勤務形態も20分前後です。終業後は日勤の46分が最長で、ほかの勤務形態でも20分以上の残業があります。
日勤に限ると、終業後に30分以上残業している人は73.4%、60分以上残業している人も4割を超えています。
急患対応や人手不足、交代時の引き継ぎといった看護師特有の業務が、残業の主な背景です。
1ヶ月あたりの平均残業時間
1ヶ月の残業時間で最も多い回答は5時間未満の28.5%ですが、回答を合算すると月5時間以上残業している看護師は64.1%です。
| 1ヶ月の残業 | 割合 |
|---|---|
| なし | 7.4% |
| 5時間未満 | 28.5% |
| 5〜10時間未満 | 22.4% |
| 10〜20時間未満 | 22.3% |
| 20〜30時間未満 | 10.4% |
| 30〜40時間未満 | 4.4% |
| 40〜50時間未満 | 3.1% |
| 50〜60時間未満 | 0.8% |
| 60〜70時間未満 | 0.3% |
| 70〜80時間未満 | 0.1% |
| 80時間以上 | 0.3% |
出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」
上の表を合算すると月30時間以上は9.0%、月60時間以上も0.7%いて、一部の看護師が長時間の残業をしています。
この残業時間には、残業代が支払われないサービス残業も含まれています。
年齢別に見た残業時間の違い
年齢別では、始業前の時間外労働が40〜50代に偏っています。
日勤の看護師のうち、1日60分以上残業している人の割合を年齢別にまとめました。
| 年代 | 始業前 | 終業後 |
|---|---|---|
| 20歳未満 | 3.3% | 22.5% |
| 20歳〜24歳 | 8.6% | 47.9% |
| 25歳〜29歳 | 7.2% | 46% |
| 30歳〜34歳 | 9.5% | 47.6% |
| 35歳〜39歳 | 7.5% | 36.7% |
| 40歳〜49歳 | 20% | 44% |
| 50歳〜59歳 | 23.6% | 42.5% |
| 60歳〜64歳 | 3.3% | 25.5% |
| 65歳以上 | 3.8% | 40.7% |
出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」
始業前の時間外労働は40〜59歳で2割前後と、ほかの年代より高めです。
新人教育や委員会活動と並行して若手を補助する中堅・ベテランに、負荷が集まっているという意見もあります。

看護師の残業代は出る?サービス残業の現状
残業をすれば、その分の残業代が支払われるのが原則です。しかし看護の現場では、残業代が支払われないサービス残業が今も多くあります。
残業代のルールから対処法まで、順に確認していきます。
残業代の割増率のルール
法定労働時間の1日8時間・週40時間を超えて働いた場合、残業代は25%以上の割増賃金で支払われます。
| 残業の種類 | 割増率 |
|---|---|
| 時間外労働(1日8時間・週40時間超) | 25%以上 |
| 月60時間を超える時間外労働 | 50%以上 |
| 深夜労働(22時〜翌5時) | 25%以上 |
出典:厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率引き上げ」
月60時間を超えた分の割増率50%は、2023年4月からすべての企業・法人に適用されています。
固定残業代(みなし残業)の職場でも、決められた時間を超えた分は別に支払う決まりです。
時間外労働の上限は原則で月45時間・年360時間です。特別条項の取り決めなしに超える状態が続く職場は、36協定違反の可能性があります。
参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制」
サービス残業になりやすい業務
医労連の調査によると、サービス残業になる業務の1位は記録の57.9%でした。
| サービス残業になる業務 | 割合 |
|---|---|
| 記録 | 57.9% |
| 患者への対応 | 42.3% |
| 情報収集 | 41.9% |
| 研修 | 9.8% |
出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」
職場別では、訪問看護の74.1%が記録でサービス残業になりやすいと答えています。一般病棟では患者への対応が47.6%で最多です。
一方で、勤務先に申告される残業は短めです。日本看護協会の調査では、正規雇用の看護職員の超過勤務は1人あたり月平均5.1時間でした(2024年9月時点)。
出典:日本看護協会「2024年 病院看護実態調査 報告書」
調査方法が違うため単純には比べられませんが、病院の申告ベースの超過勤務と、看護師本人が答えた残業時間には大きな開きがあります。
残業代が出ないときの対処法
残業代が出ないときは、我慢せずに記録と相談から始めてみてください。
残業代が出ないときの対処
出退勤の時刻をメモやアプリで記録する
就業規則で固定残業代の条件を確認する
上司や労務担当に申告の方法を確認する
改善されない場合は労働基準監督署に相談する
労働基準監督署への相談は無料です。サービス残業が当たり前の職場なら、転職も一つの方法です。

時間外のWEB研修が増え、自宅で受けた研修に賃金が支払われないケースもあります。
医療安全や感染対策など、実施が義務の研修まで不払いの例が報告されています。
残業代が出ない職場の見分け方は、以下の記事で詳しく解説しています。
看護師の残業が多くなる4つの原因
看護師の残業は、記録・患者への対応・情報収集・研修の4つの業務で生まれやすいです。
それぞれの業務がなぜ残業につながるのかを説明します。
原因1.記録
記録とは看護記録のことで、看護師がおこなった看護の過程や患者の情報を残す業務です。
看護記録には以下の目的があり、手を抜けない業務です。
- 患者に適切な看護を実践した証明
- 看護の一貫性や継続性を担保
- 看護ケアの質の向上
記録は勤務中に書く時間を取りづらく、終業後に残りやすい業務です。記録業務の効率化を進める病院もあります。
原因2.患者への対応
急患や容体の急変など、患者への対応は予定が立たないまま発生します。
残業につながりやすい場面
急患の受け入れ対応
受け持ち患者の容体悪化
家族への説明や急な問い合わせ
緊急性が高い対応は残業申請が間に合わず、そのまま不払いになるケースもあります。
原因3.情報収集
患者の情報収集は治療の安全に関わるため、時間を削りにくい業務です。
情報収集で確認する内容
アレルギーや服薬の状況
治療中の患者の体調変化
前の勤務帯からの申し送り事項
勤務前の情報収集が習慣になっている職場では、始業前の時間外労働が増えやすいです。
原因4.研修
研修は残業として扱われないことが多い業務です。医労連の調査では、研修が全く残業扱いにならなかった人が42.6%いました。
| 研修が残業として扱われた時間 | 割合 |
|---|---|
| 全く扱われていない | 42.6% |
| 5時間未満 | 51.3% |
| 5〜10時間未満 | 4.1% |
| 10時間以上 | 1.9% |
出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」

記録の電子化や音声入力で、記録業務を短くする医療機関もあります。
業務改善に取り組む職場かどうかで、残業の減りやすさは大きく違いますよ。
看護師の残業が少ない職場の特徴
残業の多さは、働く施設や職場の種類で大きく変わります。
医労連のデータをもとに、残業が少ない施設と職場を紹介します。
月20時間以上の残業が少ない施設
前月に20時間以上残業した人の割合が低いのは、地域の民間精神科病院や済生会などの施設です。反対に、大学病院は高めです。
医労連の調査から、主な医療施設について前月の時間外労働が20時間以上だった人の割合を抜粋しました。
| 医療施設 | 月20時間以上の割合 |
|---|---|
| 公立大学病院 | 29.5% |
| 国立大学病院 | 28.6% |
| 地域医療機能推進機構(JCHO) | 24.5% |
| 自治体立病院 | 20.0% |
| JA厚生連の病院 | 19.4% |
| 日本赤十字社(日赤) | 13.7% |
| 済生会 | 10.7% |
| 地域の民間精神科病院 | 2.5% |
出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」
公立大学や国立大学の病院、地域医療機能推進機構(JCHO)など、高度急性期医療を担う施設で残業が多い結果でした。
残業が少なめの職場の種類
病棟以外に目を向けると、残業が少なめの職場があります。日勤で終業後60分以上残業している人の割合は以下のとおりです。
| 職場 | 割合 |
|---|---|
| 一般病棟 | 52.4% |
| 訪問看護 | 41% |
| 手術室 | 33.4% |
| 介護施設(老健・特養など) | 25% |
出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」
介護施設や手術室は、一般病棟より長時間の残業が少なめです。訪問看護は残業自体が短くても、記録の持ち帰りに注意してください。
クリニックや保育園など、夜勤がなく診療時間の決まった職場も選びやすいです。
診療科や職場の選び方は、以下の記事でも詳しく解説しています。

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看護師が残業を減らす方法
残業を減らすには、今の職場でできる工夫と、職場を変える方法の2つがあります。
今の職場で残業を減らす工夫
まずは、業務の進め方を見直して残業を減らせないか試してみてください。
今の職場でできる工夫
てきぱき働く先輩を観察して真似る
業務の準備を前もって済ませておく
同僚と協力して仕事を分担する
仕事の早い先輩の動きや段取りを観察すると、自分の業務のムダに気づけます。困ったときに助け合える関係づくりも、業務の分担につながります。
ただし、看護師の残業は人手不足や業務の構造から生まれるものが多く、個人の工夫には限界があります。
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看護師の残業についてよくある質問
看護師の残業についてよくある質問に答えます。
看護師の仕事量が多い職場はどこですか?
残業時間のデータで多いのは、一般病棟・救急・精神病棟・外来や透析です。
反対に、介護施設や訪問看護は長時間残業の割合が比較的低い職場です。
看護師は休憩をきちんと取れていますか?
きちんと休憩を取れている看護師が多い一方で、不十分な人もいます。
とくに夜勤のある働き方では、休憩が足りないと感じる人が少なくありません。
残業が多いと体調を崩しやすいですか?
残業が多いほど心身に負担がかかり、体調を崩しやすくなります。
睡眠不足が続くと回復が追いつかず、仕事中のミスにもつながります。
始業前の情報収集は残業代の対象になりますか?
職場の指示で始業前の準備をしている場合は労働時間にあたり、残業代の対象です。
医労連の調査でも、始業前に20分前後の時間外労働が確認されています。
残業が少ない職場で働きたい看護師は転職も検討しよう
看護師の残業は1日平均60分以上と多く、記録や患者対応によるサービス残業も残っています。
個人の工夫で減らせる残業には限界があります。残業の少なさを優先するなら、施設や職場の種類から見直すのがおすすめです。
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看護師の働き方や転職について、あわせて以下の記事も参考になります。













