保育士は年度途中で退職できる?よくある辞めたい理由や伝え方を例文付きで紹介!
保育士は年度途中で退職しても良いのか?について、現役エージェントが徹底解説します。
例文付きでよくある退職理由の伝え方や、辞めても良いのか迷った際の判断基準も紹介します。他にも辞めるメリット・デメリットや引き継ぎ業務のポイントも説明します。
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【年度途中での退職は悪いことではない!】
年度途中に辞められるのは困るという保育園が多いことから、年度末まで転職・退職することを我慢してしまう保育士は実際に多くいます。ただ、年度途中に転職できないわけではないので、自分と向き合って転職すべきかどうかじっくり考えてみましょう。
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保育士は年度途中でも退職できる
結論からいうと、保育士は年度途中でも退職することは可能です。
そもそも、法律上は退職する2週間前までに退職の意思をきちんと伝えれば問題ないと定められており、年度途中であっても問題なく退職できます。
職場への申し訳なさで引け目を感じる人も多いですが、我慢するのではなく自分の体調や気持ちを優先して決断することが大切です。
ただし、その保育園の雇用契約や就業規則により「1~3ヶ月前に退職の意思を伝える」と決められている場合もあります。あらかじめルールを確認し、漏れなく手続きが完了するように退職時期を調整するようにしてください。
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保育士が年度途中で退職したいと思う理由
保育士が年度末ではなく年度途中で退職したいと考えるには、いくつかの原因やきっかけがあります。
厚生労働省の公開資料である「保育士の現状と主な取組」によると、退職理由として最も多いのは「職場の人間関係(33.5%)」で、保育士の3人に1人が退職理由にあげています。
次いで、「給与が安い(29.2%)」「仕事量が多い(27.7%)」「労働時間が長い(24.9%)」といった職場環境・労働条件や、「妊娠・出産(22.3%)」「健康上の理由(体力含む)(20.6%)」を理由に辞めているといった結果でした。
ここでは、保育士が年度途中で退職したいと考える代表的な5つの理由を取り上げ、詳しく解説します。
人間関係がつらい
保育士が年度途中で退職したいと考える理由として人間関係がつらいことをあげる人は多くいます。
たとえば、新人保育士・若手保育士は経験不足から自信が持てず、先輩保育士からの指導方法に疑問を感じても意見を言い出せないこともあります。また、クラス担任との保育観の違いや、連携の難しさに悩む声も少なくありません。
このように、先輩保育士・同僚保育士との関係性や、園の方針をめぐる意見の相違、コミュニケーション不足からストレスを抱える保育士は多くいますよ。
末永
保育園は閉鎖的で人の入れ替わりも少ない空間であり、派閥が生まれやすいことも人間関係が大変・つらいと感じる要因の1つです。
厚生労働省の調査結果でも退職者の3割以上が人間関係を退職理由にあげており、年度途中でも転職して解放されたいと考える保育士も結構多くいますね。
また、保育士同士の人間関係だけでなく、保護者対応での心労も大きく、要望や苦情への対処に精神的な負担を感じる保育士もいます。
労働環境・待遇の悪さ
労働環境や待遇の悪さも年度途中で退職する保育士の多くがあげる退職理由です。
持ち帰り仕事が常態化していたり、休憩時間が十分に取れなかったりと、慢性的に人手不足が続く保育施設では労働基準法で定められた権利が守られていない実態があります。
また、書類作成や環境整備なども勤務時間内に終わらず、サービス残業を強いられるケースも少なくありません。具体的にはシフト勤務で早番だったにも関わらず、残業してそのまま遅番の勤務に入らなければならないという意見も聞かれますね。
このような職場では有給休暇の取得も難しく、体調不良時でも代替え保育士の確保が困難なため、無理をして出勤せざるを得ない状況となることもあります。そのため、過酷な労働環境が日常茶飯事かつ当たり前になっていていることに嫌気がさして退職したいと考える保育士が多くなるのです。
ほかにも、園児数に対する保育士の配置基準は最低限の人数で運営されることが多く、日々の業務に追われ、子どもたち一人一人に十分な関わりが持てないというジレンマを抱える保育士もいますよ。
末永
少ない人数で子どもを見守りながら事務作業や行事・イベントの企画をおこなうなど、保育士の業務は多岐にわたります。
特に人手不足の続く職場ではサービス残業や持ち帰り仕事が当たり前になっていて、プライベートの時間を確保できないことに不満を持つ保育士も多くいますね。
給料が低い
保育士の給料が低いことも大きな退職理由の1つです。
実際に厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均月給は約27万円・平均年収は約397万円でした。
年齢 | 月給 | 賞与 | 年収 |
---|---|---|---|
20歳~24歳 | 23万円 | 44万円 | 314万円 |
25歳~29歳 | 26万円 | 70万円 | 374万円 |
30歳~34歳 | 26万円 | 69万円 | 380万円 |
35歳~39歳 | 28万円 | 77万円 | 403万円 |
40歳~44歳 | 28万円 | 82万円 | 417万円 |
45歳~49歳 | 28万円 | 85万円 | 416万円 |
50歳~54歳 | 28万円 | 78万円 | 414万円 |
55歳~59歳 | 31万円 | 90万円 | 454万円 |
60歳~64歳 | 30万円 | 82万円 | 437万円 |
65歳~69歳 | 33万円 | 82万円 | 476万円 |
70歳~ | 37万円 | 133万円 | 575万円 |
出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」 |
国税庁の調査結果では日本の平均年収は458万円なので、保育士の平均年収は専門職にも関わらず、日本全体の平均年収よりも2割程度下回っていることが分かります。
そのため、保育士の給与・待遇面で不満を感じて辞める保育士は多くいますよ。
また、保育施設によっては昇給制度が整備されていないことも多く、経験を積んでも給与が上がりにくい実態もあります。将来的なキャリアアップの意欲が削がれ、より待遇の良い職場を求めて退職を決意する保育士が増えています。
末永
保育士1人あたりの業務量が多く、残業も多い傾向にある割には、給料が低い・安いことに不満を抱き、退職したいと考える保育士は少なくありません。
さらに、保育士は子どもの命を預かるという責任が大きい職種にも関わらず、給料が見合わないと感じて退職したいと考える人も多く見られますね。
結婚や妊娠・子育てなどのライフイベント
人生の大きな転換期となる「結婚や妊娠・出産などのライフイベント」は、保育士が年度途中で退職したいと考える要因の1つです。
具体的には結婚を機に配偶者の転勤に伴う引っ越し、妊娠による体調の変化などを理由として、これまでの勤務を継続することが困難になるケースがあげられますね。
特に妊娠中は長時間の立ち仕事や園児との密接な関わりによる感染リスクなど、身体への負担が増大することや、出産後の職場復帰を考えた際に自身の子育てと仕事の両立に不安を感じる保育士が多くいます。
末永
産休育休制度が整備され、取得率が高い職場もありますが、慢性的に人手不足の職場では突然の休暇取得が難しく、やむを得ず退職を選択する人が少なくありません。
体調不良やうつなど健康上の理由
保育現場での過度な身体的・精神的負担により、体調不良やうつなど健康を害してしまうケースもあります。
保育士は、1日中子どもをおんぶ・抱っこしたり、一緒に遊ぶ際にはしゃがんで砂場遊びをしたりと、子どもたちとの活動や保育環境の整備などで、腰痛などの身体的な不調を訴える保育士は珍しくありません。
また、日々の業務の多忙さや人間関係のストレス・子どもの安全を守る責任感・プレッシャーなどから、精神的に大きな負担を感じるケースもあります。仕事終わりや休日まで仕事のことを考えて気が休まらず、不眠や食欲不振などの症状が現れ、最悪の場合にはうつ病を発症する保育士がいるのも事実です。
末永
十分な休養が取れない環境で働き続けることで、症状が悪化し、最終的に退職せざるを得なくなる保育士は多くいます。
自分から退職したいと考える人もいますが、家族や友人から保育士を退職したほうが良いのではないかと退職を勧められるケースもあるようですね。
保育士が年度途中で退職するか迷った時の判断基準
子どもたちへの影響を考え、年度途中での退職を躊躇する保育士が多くいます。しかし、自分の努力だけでは改善が難しい場合は、自身の健康や将来のキャリアのためにも退職を前向きに検討することが大切です。
年度途中で辞めるかどうか迷った際は、以下の判断基準を確認してみましょう。チェックリストの複数項目に該当する場合は無理せず退職を検討してください。
判断基準 | |
---|---|
職場で嫌がらせやハラスメント受けている | |
職場環境が劣悪でまともに休みが取れない | |
今の職場の待遇に不満があり解消が難しい | |
今の職場では希望や理想の実現が難しい | |
園の方針や価値観が自分と大きく異なる | |
心身の不調が続いているのに改善される見込みがない | |
職場に相談できる上司や同僚がおらず孤立している | |
慢性的な残業や持ち帰り仕事が多く、改善する兆しがない | |
保育園からの支援体制が整っておらず、1人で問題を抱えている |
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何かに悩んだり・壁にぶつかった際は、まず自分の考えや行動を変えることで現状を打開できないか考えて実践していくことが大切です。
しかし、それでも状況が改善しない場合は、年度途中というタイミングにとらわれすぎず退職を選択肢の1つとして検討していきましょう。転職し職場を変えることで解決することは多くありますよ。
保育士になる人の多くは、もともと子ども好きです。年度途中で退職することによって、子供たちへの悪影響を不安視するあまり、現状に我慢してしまう傾向にあります。しかし、我慢することでかえって保育の質の低下を招く可能性や、深刻な心身の不調を引き起こす恐れもあります。
保育士としての使命感から退職を躊躇する気持ちは理解できますが、自身の健康や幸せ・将来のキャリアを見据えた決断をすることが大切ですよ。
転職しすべきかを自分で冷静に判断するのが難しい場合は、転職エージェントに相談するのがおすすめです。
転職エージェントは転職のプロとして面談であなたの現状や不安な気持ちを整理してくれるとともに、あなたの保育観や理想のキャリア像を元に、現状の不満を解消できるような転職先を一緒に探してくれます。
転職により、現状の不満や悩みが解決できるのかどうか転職エージェントに相談してみましょう。
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実際に保育士を辞めたい人・辞めた人のリアルな声は、以下の記事でまとめているので気になる人は読んでみてください。
保育士が年度途中で転職するメリット・デメリット
ここからは保育士を年度途中で辞めることのメリットとデメリットを解説します。
メリットもデメリットも含めて転職することが現職の悩みの解消や、自分の理想を叶えることにつながるのか考えてみてくださいね。
保育士が年度途中で転職するメリット
保育士が年度途中で退職し、転職をすることで得られるメリットは多くあります。
保育士が年度途中で転職するメリット
- より良い待遇や労働環境の職場に移れる可能性がある
- 心身の健康を回復するチャンスが得られる
- 自分の理想とする保育を実践できる環境に出会えるかもしれない
- キャリアアップや新しいスキルを習得する機会となる
- ワークライフバランスの改善が期待できる
- 保育士不足の現状から、転職先の選択肢が比較的多い
保育士不足が深刻な現状では、経験のある保育士の求人は豊富です。そのため、経験のある保育士への待遇は比較的優遇される傾向にあり、条件面での交渉もしやすい状況にあります。
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年度途中での転職では、自身の心身の健康を取り戻すとともに、基本給のアップや各種手当の充実・福利厚生の改善など、より良い環境で保育に携わるチャンスを得ることができます。
また、現職場での人間関係の悩みが解消し、新たな環境で心機一転スタートすることができます。さらに、転職先でさまざまな保育方針や独自の保育プログラムに触れることで、保育士としての経験値を高め、より幅広い視野で保育に取り組めるようになりますね。
ただ、魅力的な条件であっても、実際に見てみないと自分に合うかどうか分からなかったり、ブラック求人も存在したりなどリスクもあるので求人情報を鵜呑みにするのは禁物です。事前の職場見学や面接での雰囲気確認など、慎重な見極めが必要です。
なお、自分でブラック求人を見極められない、職場見学に同伴してほしい、聞きにくい質問を代わりに聞いてほしいといった場合には、転職のプロである転職エージェントを活用しましょう。
ブラック求人に応募してしまうリスクを下げられますし、こんなはずじゃなかったというミスマッチも少なくなるので、安心して転職先を探すことができますよ。
初めて転職する人や転職に対する不安が大きい人は、知名度のある大手人材紹介会社のリクルートエージェント・doda・マイナビエージェントに相談してみるのが良いでしょう。
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保育士から職場を変えてまた保育士として働く場合は、保育士の転職に専門特化した転職エージェントを利用するのがおすすめです。
保育士ならではの不満や悩みを相談できるので、以下のような保育士の転職に強い支援サービスを活用してみてくださいね。
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保育士が年度途中で転職するデメリット
保育士が年度途中で退職する場合のデメリットも正しく把握しておきましょう。
保育士が年度途中で転職するデメリット
- 新しい職場で人間関係を一から築く必要がある
- 担当していた子どもたちと途中で別れることになる
- 保護者との信頼関係が途切れてしまう
- 同僚の保育士の負担が一時的に増える
- 次の職場が見つかるまでの収入が不安定になる可能性がある
- 退職金や賞与の満額支給が受けられない場合がある
- 新しい環境への適応に時間がかかる
年度途中での退職・転職には、上記のようなデメリットが伴います。
まずは現在の職場への影響です。これまで担当していた子どもたちや保護者との関係が途切れてしまうことで、子どもたちへの影響も懸念されます。残された職員の業務負担が増加し、園全体の保育の質が一時的に低下する可能性もありますね。
また、退職後に転職する場合も次の職場が決まるまでの収入の不安定さがあったり、新しい職場での人間関係構築・業務知識習得を一から始めないといけなかったりと、転職後スムーズに独り立ちするためにも時間がかかります。
年度途中での退職・転職には様々な問題点が伴うため、十分な検討と慎重な判断が必要不可欠です。
なお、退職金については勤続年数に応じた金額が支給されます。入社後1~3年未満の場合は退職金が受け取れなかったり、年度途中の場合は退職金が減額されてしまったりという恐れもあります。
後々のトラブルを避けるためにも、保育園の就業規則やルールをよく確認しておきましょう。退職時によくあるトラブルや回避する方法については下記の記事で解説しています。
保育士が年度途中で退職したあとのキャリアプラン
保育士が年度末・年度途中で退職した後の代表的なキャリアプランは以下の通りです。
保育士から転職する場合のキャリアプラン例
- 保育士として他の保育施設に転職する
- 保育士経験を活かせる福祉施設へ転職する
- 保育士経験を活かせる関連職へ転職する
保育士が転職を考える際には、大きく3つの選択肢があります。まずは、他の保育施設への転職で、公立・私立の認可保育園に加え、プリスクールや企業内託児所などの認可外保育施設まで、多様な選択肢があります。施設によって労働時間や行事内容、保育サービスの特徴が異なるため、自身の希望に合った施設を慎重に選ぶことが重要です。
次に、児童向け福祉施設や障害児向け施設、養護施設など、福祉分野への転職です。これらの施設では保育士としての経験に加え、専門的な知識も求められるため、事前の勉強やボランティア経験を通じた現場理解を深めておくことが良いですね。
最後は保育経験を活かせる関連職種への転職です。
保育ママやベビーシッター、幼稚園教諭、子供向け施設のスタッフなど、保育士資格や経験を活かせる職種はもちろん、異業種であっても保育士専門の人材コーディネーター、子ども向け用品・子育て関連用品メーカーや教育業界への転職など業務知識やスキルを発揮して活躍できる業界業種は多くありますよ。
保育士経験を活かせる仕事の特徴や具体的な仕事内容に関しては以下の記事で紹介しているので、興味がある人は参考にしてください。
末永
また、転職を検討する際は転職エージェントを活用するのが効果的です。保育士として転職する場合は保育士特化の転職エージェント、保育士から異業種への転職を目指す場合は総合型大手転職エージェントを利用するのがおすすめですよ。
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保育士が年度途中で円満退職するための流れ
保育士が年度途中で転職や退職することになったとしても、できるだけ円満に退職したいと考えている保育士も多いと思います。
そこで、保育士が年度途中で退職しても円満に運ぶように大切なポイントを以下にまとめてみました。
退職に関する情報を集める
退職交渉をスムーズに進めるには、職場の就業規則・ルールを確実に理解し、漏れなく手続きを進めることが重要です。
就業規則や雇用契約書を確認し、退職に関する規定(退職届の提出期限、有給休暇の消化、退職金の有無など)を把握しましょう。また、社会保険や雇用保険の手続き、資格の移行についても確認が必要です。
法的には労働者から一方的に退職意思を通達すれば一定期間経過後に退職可能ですが、退職手続きに不備があれば後々のトラブルになりかねません。
退職者・職場ともに後腐れなく退職できるように、職場のルールに従って退職手続きを進めましょう。不明な点がある場合は、園の事務担当者や社会保険労務士に相談しながら進めてください。
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保育士は子どもたちの生活に直接関わる職種のため、引き継ぎ期間も考慮に入れて退職時期を検討できると良いですね。事務手続きや引き継ぎなどを考慮すると、退職の1~2ヶ月前には退職手続きスタートするなど余裕をもって進めます。
退職理由を整理する
退職の意思を伝える前に、自身の退職理由を明確に整理することが重要です。
体調面での不安、家庭の事情、キャリアアップ、職場環境など、退職を考えるに至った具体的な理由を箇条書きにしてまとめておきましょう。特に年度途中の退職は園の運営に大きな影響を与えるため、園長や主任に対して説得力のある説明ができるよう準備を進めましょう。
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なお、人間関係・仕事内容・待遇などの施設側で改善できる余地のある理由だと「不満要素を改善するから辞めないでくれ」と引き留めの口実となってしまい、労働条件の改善や配置転換などで引き止められる可能性もあります。
退職理由は個人的な理由・できる限り引き止めづらい理由とするのが良いですね。
また、退職理由を整理することで、今後のキャリアプランを考える良い機会にもなります。退職理由やこれまでの経験・スキルなど以下のような要素を棚卸ししておくと、退職後の転職活動やその後のキャリア開発がスムーズに進めやすくなります。
- 職務経歴・スキル・経験・実績の棚卸し
- 強みやアピールポイントの整理
- 自身の課題や現状の問題点の洗い出し
- 現在の職場や働き方に対する不満の洗い出し
- 希望する待遇や働き方に関する情報の整理
- 希望するキャリアに関する情報の整理
- 自分の中で大切にしている価値観・保育観
- 希望を実現するために必要なことを整理
退職する旨を3ヶ月前までに伝えておく
一般的な退職届の提出期限は1ヶ月前ですが、保育士の場合は子どもたちへの影響を最小限に抑えるため、3ヶ月前程度の余裕を持って伝えることをおすすめします。
代替の保育士を確保するための時間や、子どもたちや保護者へのケアを考慮したもので、まずは園長や主任に個別に相談したうえで、職員会議などで全体に共有するというステップを踏むのが一般的ですよ。
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また、中途半端に後任保育士へ引き継ぐことがないように、区切りの良いところまで自分が業務を担当しておこない、早めに引き継ぎ準備をするのが良いでしょう。
持ち越すことになりそうであれば、これまでの経緯や今後の予定についてきちんと共有するのがベストですね。
退職時期については、子どもたちの行事予定なども考慮して、園の運営に支障が出にくい時期を提案できると良いです。また、退職後に転職する場合は転職しやすいタイミングを狙いましょう。
一般的に転職市場に求人数が多く、子どもへの影響を最小化しやすいタイミングとしては、以下がおすすめです。
保育士の転職におすすめのタイミング
- 1月:新年度に向けた人員配置や予算の再検討が行われる時期、採用も活性化しやすい
- 5月:保育の流れが落ち着いてくる時期で、年間行事の予定が明確なので引き継ぎしやすい
- 6月:ボーナス後の退職者がいることで求人が増える
- 11月:年明けに向けた採用活動を始める
ただし、個人の事情や保育施設側の都合によっても最適な時期は変わってくるため、柔軟な対応が重要です。
引き継ぎ作業や準備を早めにおこなう
保育士が退職する場合には、早めに引き継ぎの準備をおこなう必要があります。
後任の保育士にスムーズに引き継げるように、引き継ぎノートを作成すると良いです。
引き継ぎノートには、子どもたちの名前やその読み方、子どもたちの好き嫌いやアレルギーについて、さらに疾患経験など健康に関する情報などを記載しておきましょう。
末永
また、保護者とどのように付き合っていくのが良いのか、どんな家庭環境であるのかなどこれまで気を付けていたことはできるだけ書き記しておくと、後任の保育士の負担が減りますね。
子どもや保護者・職員に挨拶をする
年度途中の退職では、担当クラスや受け持ち業務の引き継ぎが特に重要です。
とくにクラス担任だった場合は、年度途中で退職すると担任が変わることになるため、子どもたちが戸惑ったり保護者が不信感を抱いたりという恐れがあります。退職時のマナーとして、しっかりと挨拶できるように準備を進めましょう。
ここでは、子供向け、保護者向け、他の職員向けに挨拶の仕方・ポイントをまとめました。ぜひ参考にしてください。
子どもたちへの挨拶
子どもたちへの挨拶は難しい言葉を使わず「〇〇先生は、来月の終わりにお別れすることになりました」「最後まで一緒に遊んだり、お話ししたり、たくさんの思い出を作りましょう」など、年齢に応じてわかりやすい言葉を使います。突然の別れで子どもたちが不安を感じることのないよう、十分な期間をかけて説明しましょう。
寂しい気持ちに寄り添いながらも、子どもたちの名前をよび、前向きな言葉がけを心がけ、お別れを肯定的な経験として子どもたちの心に残せるよう工夫することが重要です。
保護者への挨拶
保護者にはできるだけ早めに行い、十分な引継ぎ時間を確保します。「責任感がない人」と思われることの無いよう、具体的な退職時期と後任の体制について明確に説明し、子どもへのケアがどのように行われるかを丁寧に伝えましょう。
合わせて子どもの保育を担当させてもらった感謝の気持ちと、行事に参加や協力してくれたことへのお礼を伝えるのが重要です。退職理由を聞かれた際には具体的な退職理由は伝えず、「一身上の都合によるもの」だと伝えます。
職員への挨拶
一緒に働く職員に挨拶をする場合は、今後の業務で大きな迷惑をかけてしまうことになるため、できれば朝会や会議などで少し時間をもらって挨拶させてもらいます。
退職に至った経緯を簡潔に説明しつつ、退職することで迷惑をかけてしまうことへのお詫びの気持ちをしっかり伝えましょう。また、共に働いた期間への感謝の気持ちを具体的なエピソードを交えながら伝えることで、前向きな別れにすると円満に退職できます。
事前に年度途中で辞める意思を伝えるのはもちろんのこと、退職日間近にもう1度挨拶をして感謝の気持ちを伝えると印象が良くなりますよ。
末永
退職手続きを確実に実施する
退職に際しては、必要な書類の提出や手続きを漏れなくおこなうことが重要です。
退職届の提出、社会保険・雇用保険の手続き、退職金の請求、源泉徴収票の受け取りなど、必要な手続きを確認し、期限内に完了させましょう。
園に提出・返却するもの
- 健康保険証:退職すると健康保険から外れるため返却
- 入園証や名札・鍵:退職すると関係者ではなくなるため返却
- 通勤定期券:現物支給の場合は返却が必要
- 制服:クリーニングに出してから返却
園から交付してもらうもの
- 離職票:失業保険の給付に必要で、退職後10日前後で交付。転職先が決まっている場合は不要
- 年金手帳:社会保険の加入手続きに必要。保育園に預けている場合は返却してもらう
- 雇用保険被保険証:雇用保険の加入手続きに必要
- 源泉徴収票:今年度の収入額が記載されているもので、年末調整等の手続きに必要
退職日の間近になって慌てて確認・手続きすることのないように、前倒しで準備を進めましょう。
なお、保育士が年度途中の円満転職を成功させるには、無料で利用できる転職エージェントを活用するのがおすすめです。
保育士は業務量が多くなかなか転職活動に時間を割けないと思いますし、自分1人で応募書類の準備をしたり面接対策をしたりするのも難しいですよね。そんなときに転職エージェントを利用すれば、効率的に転職活動を進められ納得のいく転職がしやすくなります。
面接官を納得させられる年度途中での退職理由もキャリアアドバイザーと一緒に考えられますし、面接でどのように伝えるのがベストなのか面接対策を通してアドバイスしてもらえますよ。
末永
初めて転職にチャレンジをする人は不安な気持ちも強いと思います。
ですので、支援実績や保有している求人数が豊富な大手のリクルートエージェント・doda・マイナビエージェントの3社に相談するのが良いでしょう。
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より専門的なサポートを受けたい人や、保育士ならではの悩みを相談したい人は、保育士の転職に特化した転職エージェントがおすすめです。
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年度途中のよくある退職理由の伝え方【例文付き】
年度途中での退職は、残された同僚や保護者・子どもたちに悪影響になるのではと不安に感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか。少しでも円満に退職できるように、誠意をもって退職の意思を伝えることが大切ですね。
ここでは、保育士が年度途中で退職を伝える際に角が立たない転職理由の作り方を解説します。
勤務中の保育園への退職理由
1番気になるのは勤務中の保育園に、年度途中の退職を円満に伝える方法や伝え方だと思います。
保育園で年度途中の退職は心象が良くないので、不満を漏らしたりすることは避け、納得感のある理由を伝えるようにしましょう、
保育士の退職理由の伝え方ポイント
- まずは学年主任やリーダーから伝える。園長はその後
- 不満はあっても伝えず、前向きな理由づけをする
- 嘘はつかない
- 施設側が気になる引き継ぎや受け持ち業務は退職までに完了させることを伝える
- 一方的な報告にせず、感謝の一言を添えると効果的
また、ここからは退職理由ごとに例文を紹介します。自身の状況に合わせてカスタマイズして利用してください。
保育士としてレベルアップしたい場合の退職理由例文
〇年この保育園に勤めてきましたが、他の保育園の教育方針や文化にも触れたいと思うようになりました。
子どもの健全な成長のためには、さまざまな教育に触れて視野を広げる必要があると考えています。
他の職業でキャリアアップしたい場合の退職理由例文
保育士としての経験を積んでいくなかで、幼児とのコミュニケーションだけでなく、一般企業での折衝もしてみたいと思うようになりました。
未経験から一般企業に就職可能な年齢にも限りがあるので、これをきっかけに一歩踏み出したいと考えています。
労働時間や環境に不満がある場合の退職理由例文
子どものために授業やイベントの準備をしたりすることは、子どもたちの日々の成長を実感できる機会でもあり大変充実したものでした。
しかし、土日と平日でオンオフを切り替えて仕事ができれば、ワークライフバランスを充実させながら効率的に仕事ができるのではと考えるようになりました。
給与など待遇面に不満がある場合の退職理由例文
子どものそばで、子どもの成長を実感しながら教育に携われることはとても幸せでした。
ですが日々の業務の中で、整備された評価制度のもとで働ければさらに成長実感や意欲をもって業務に取り組むことができるのではと考えています。
家事や育児に専念したい場合の退職理由例文
子どもが2歳になり、特にうちの子は手に負えないような動きをしたり、頻繁に熱を出したりすることが多くなりました。
勤務を早退させていただくことも出てきたので、このままではご迷惑をおかけしてしまうことも考え、退職をさせていただければと思います。
勤務先への退職理由の伝え方のポイントはこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
転職先(企業)向けの転職理由
保育士から転職する際に、応募した会社や施設に対して退職理由・転職理由の効果的な伝え方も紹介します。
転職の書類選考・面接では採用担当者が納得できるような理由であることが転職成功の重要なポイントです。転職時期によって質問・確認したい意図は異なるので、あらかじめ把握しておくと対策も立てやすいですね。
3月(年度末)
保育士の退職時期としてもっとも多いのが年度末の3月です。
このタイミングで退職した場合は、退職した理由をある程度正直に面接の場で伝えても責任感が問われることはなく、前向きに受け取ってもらえる可能性が高くなります。
とはいえ、ネガティブな理由ばかり伝えるのは禁物です。たとえば、さらに保育に関するスキルや経験を向上させてキャリアアップするために退職したなど、前向きな姿勢を見せるのが良いですね。
4月~6月
この時期に退職した場合、面接官は「職場にうまく馴染むことができなくて退職したのでは?」と考えます。4月~6月という短い期間だからこそ、職場に馴染めるようにあまり努力しなかったのではないかと思われてしまいかねません。
また、採用してもまた年度途中で退職してしまうのではないかとも思われ、採用してもらいにくくなるケースがあります。
そのため、短期間であったとしても自分がどのような努力をしたのか、悩みや不満を解消するためにどのような行動を起こしたのかという点を伝えられるのが良いです。
7月~12月
7月~12月はボーナスの時期です。ボーナスを受け取ってから退職した場合は、面接官から「自分のことしか考えていないのでは?」と思われて悪印象を抱かれてしまう恐れがあります。
ただし、休暇明けや行事・イベントが終わった後での退職となれば、年度末まではいられなかったものの、一定の責任をしっかり果たした上でタイミングを見て退職したことをアピールすることができます。
1月~2月
この時期に退職してしまった場合、面接官は「なぜ年度末まであともう少しなのに退職してしまったのか?」と疑問に思います。
だからこそ、年度末まで待たずにどうして1月~2月というタイミングで退職するのか、面接官を納得させられる理由を伝えることが重要です。
年度途中と言ってもどの時期に辞めるのかによって、面接で重視されるポイントなどが変わってきます。上記に挙げた大事なポイントを参考にしながら、自分オリジナルの退職理由を考えてみてくださいね。
また、企業への退職理由の伝え方を、パターン別で紹介している記事やyoutube動画があるので、こちらも参考にしてみてください。
年度途中で退職したい保育士に関する質問
保育士を年度途中で退職したいと考えている人によくある悩みや、質問を以下に3つピックアップしてみました。
疑問や質問にお答えしていきますので、年度途中で保育士を退職したいと考えている人はぜひ参考にしてくださいね。
年度途中で退職したいけど年度末まで耐えたほうが良い?
転職者
保育士を年度途中で辞めたいのですが、やっぱり年度末まで耐えてから転職や退職している保育士が多いのでしょうか?
末永
保育士を年度途中で退職したいと思ってもなかなか言い出せずに、年度末まで耐えてから退職する保育士は実際にとても多いですね。
保育士の場合は1年サイクルで動くことになるからこそ、年度途中での退職は業務を投げ出すのと同じことだと考えて、年度末まで頑張る保育士が多く見られます。
末永
実際に年度途中で退職する旨を伝えたら、周囲のスタッフの態度が冷たくなったという保育士も結構多く見られますね。
冷たくなったという口コミを見て、年度途中ではなく年度末まで辞めるのを控えたという保育士もいるようです。
年度途中の入社は不利になる?
転職者
別の保育園に年度途中で入社するというのは不利になりますか?
末永
年度途中の入社は不利にはなりません。ですが、必ず年度途中で退職した理由を質問されるので、納得させられる理由が求められます。
その際に採用担当者を納得させられる理由をしっかり説明できなければ、採用してもらえる可能性が低くなります。
なぜなら「入社してもまた年度途中で辞めてしまうのでは?」と思われてしまうからなんですね。
末永
だからこそ、保育士業界全体として年度途中での退職に対してネガティブな印象を持っていることを事前にきちんと理解した上で、転職活動を進める必要があります。
退職を引き止められたらどうする?
転職者
年度途中で退職することを伝えた際に引き止められたら、どんなふうに対処したら良いでしょうか?
末永
退職できないと言われたり拒否されたりした場合は、前向きな理由を伝えるようにするのが良いですよ。
具体的には、家族の意向であることや出産や介護を控えているなど、保育園では対処することが難しい理由を明確に伝えるのがベストだと言えますね。
保育士が円満に退職するためのポイント
- ポジティブな退職理由を伝える
- 引き止められても退職理由を誠心誠意伝える
- 退職の意思はできるだけ早く伝える
- 受け入れてもらいやすい退職希望日を伝える
- 後任への引き継ぎは完璧に行う
- 提出書類の期限を守る
末永
また、中には「子どもたちのことを考えて年度末まで」と引き止められるケースもありますが、しっかりと自分の気持ちを伝えながら退職交渉するのが良いでしょう。
この際に注意したいのは、退職理由を聞かれたときに不満やネガティブなことを伝えないようにすることですね。
保育士のお仕事・転職に役立つ関連記事
保育士を退職することを検討している人や保育士の仕事にまつわる記事を集めました。
保育士を続ける転職をする人も、保育士から違う仕事へ異業種転職を目指す人も、気になる記事を読んでみてください。
とはいえ、そんなに簡単に年度途中に辞めることを決断できる人は多くないですよね。
そんな悩みを抱えている人は、保育士の転職に特化した転職エージェントの保育士ワーカー・保育士人材バンク・保育士バンク!に、まずは不安な気持ちを相談することをおすすめします。