週休3日制とは?メリット・デメリットや日本国内の導入企業一覧

週休3日制とは?メリット・デメリットや日本国内の導入企業一覧

    企業の働き方改革の中でも、近年注目を浴びているのが「週休3日制」です。

    日本国内でも導入企業がニュースになっていますが、週休3日制にはメリットだけでなく、様々な働き方やデメリットも存在します。

    今回は転職支援のプロである転職エージェントの立場から「週休3日制」の意味やメリット・デメリット、2023年最新の導入企業をまとめて紹介します。

この記事を書いた人
末永雄大

末永雄大

新卒でリクルートエージェント(現リクルート)に入社。数百を超える企業の中途採用を支援。2012年アクシス(株)設立、代表取締役兼転職エージェントとして人材紹介サービスを展開しながら、年間数百人以上のキャリア相談に乗る。Youtubeチャンネル「末永雄大 / すべらない転職エージェント」の総再生回数は2,000万回以上。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック
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週休3日制とは

週休3日制とは、1週間に3日間休みを設ける制度のことです。

一般的には1週間に2日間(例:土日)を上限した休みを設定している企業が多い中で、さらに1日増やした制度が週休3日制です。

週休三日制を導入する目的は、ワークライフバランスの改善や生産性の向上です。また、従業員のモチベーション向上や離職率の低下、さらには企業のアピール向上も目的の一つとされています。

日本政府の「経済財政運営と基本方針2021年」によると、多様な働き方の実現に向けた働き方改革の一環として、週休3日制の促進を各企業に促しています

しかし、2023年4月時点では、週休3日制を義務化する方針は挙げられていません。そのため、現在では大手企業を中心とした一部民間企業のみが、週休3日制を導入しています。

週休3日制で働くと、ワークライフバランスが実現でき、家族との時間が増えたり、精神的な負担を軽減できたりとメリットが多いと感じられるでしょう。

ただ、実際には様々なデメリットもあるため、本記事で確認しておきましょう。

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近年、企業はワークライフバランスを目指して、様々な施策を導入しています。例えば、勤務時間の見直しや有給休暇の確保、さまざまな休暇の提供などが挙げられます。


これらの取り組みにより、従業員のストレスの低減や生産性の向上、離職率の減少などの効果が期待されています。

週休3日制の働き方

週休3日制の働き方パターンは、3つあります。週休3日制を導入している企業で働く際は、どのような働き方が採用されているのかを事前に確認しておきましょう。

各社がおこなっている制度の概要を確認しておかないと、早期退職につながる危険性があるため、注意が必要です。

給与維持型

給与維持型は、もらえる給料は週休2日制の時と変わらないまま、週休3日制が適用される働き方です。

1年を52週とすると、年間休日は52日間増えます。週休3日制の中では、一番理想的な働き方だと言えるでしょう。

しかし、企業からは、週休3日だとしても週休2日の仕事量と質を求められます。そのため、残業時間が増えたり、1日の仕事量が増えたりなど、企業によっては日ごとの仕事量を厳しく設定している可能性もあるでしょう。

給与減額型

給与減額型は、週休3日制で減った労働時間分を給料から減額するシステムです。

給料は週休2日制よりも少なくなりますが、働く時間も減るため、短時間労働を考えている方におすすめの働き方だと言えます。

例えば、家族の介護や育児と会社員を両立させている方は、給与減額型の週休3日制を導入した企業を選ぶと良いでしょう。

一方で、給与額を減らしたくない方は、向いていません。

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導入企業の多くが給与減額型です。賛成意見もあれば、「給与を減らしてまで休みたくない」という反対意見もあります。

総労働時間維持型

総労働時間維持型は、週休3日制だとしても、働く総労働時間は週休2日制と変わりません。そのため、休日数は増えますが、1日の労働時間も増えます。

週5日勤務なら1日8時間労働が基本ですが、週4日勤務(週休3日)なら一日あたり10時間の労働時間が設定されます。つまり、一日あたり2時間多く働く必要があります

総労働時間が変わらないため、給料も週休2日制と比べても大きな差はありません。1日の労働時間が長くなる分、残業代が少なくなる可能性はあります。

この場合、週休3日制にするか週休2日制にするかは、しっかりと考えておきましょう。

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いずれのシステムも、ただ休む日数を増やしただけでは、企業は売上減少になってしまいます。休日を増やす分、誰が何をどうやって補うのかが制度のポイントと言えるでしょう。

週休3日制のメリット

こちらでは、週休3日制のメリットを5つ紹介します。

プライベートの時間が増える

週休3日制を導入している企業に勤めると、プライベートの時間が増えます。

例えば、趣味で休日を楽しみたい方や、仕事よりも家族との時間を大切にしたい方には、理想的な働き方だと言えるでしょう。

しかし、週休3日制の働き方によっては、給与を減額される可能性があるため、事前に家族と相談してから決めることをおすすめします。

人物 20代
女性

週休3日制の会社で働いています。週休3日だと生活にメリハリがついて、リフレッシュできます。働く日は精一杯働き、休みの日は職場の友達と海外旅行によく行きます。賞与(ボーナス)もしっかりもらえるので、働き甲斐があります!

資格取得・スキルアップの勉強ができる

週休3日制にすると、年間で52日ほど休日をこれまでよりも多く取得できます。

そのため、増えた休日の時間をスキルアップにつながる資格の勉強やリスキリング(学び直し)に割り当てられるでしょう。大学や専門学校に入学する時間的な余裕も生まれます。

これまでどおり週2日間は休日を楽しみ、増えた1日をスキルアップの時間に使うと、キャリアアップを考えて転職活動ができたり昇格したりなど、様々なメリットが得られます。

仕事のストレスを感じにくい

週休3日制の会社で働くと、仕事のストレスを感じにくくなるでしょう。なぜなら、休日が多く、しっかりと休みを取れるからです。

例えば、週休3日を以下のスケジュールにすると、最大でも2連勤で気持ちは楽になるでしょう。

  • 月曜日:出勤
  • 火曜日:出勤
  • 水曜日:休日
  • 木曜日:出勤
  • 金曜日:出勤
  • 土曜日:休日
  • 日曜日:休日

週休3日制を導入している企業の中には、休日を選択できる企業もあるため、働きやすい仕事スケジュールの調整ができます。

副業・複業・兼業がしやすい

収入を上げたい方や将来的に独立を考えている方は、週休3日制の会社で働くと、これらの目標を実現できる可能性が高くなります。

なぜなら、増えた休日を副業の時間に充てられるからです。

会社以外の収入源を作っておくことで、解雇された際でも焦らずに次の転職先を探せます。また、副業収入が会社員の収入を上回ったら、独立して個人事業主で自由な働き方ができる可能性もあります。

新しい刺激を得ることで本業にも良い影響を与えられ、成長の機会を得られます。副業や独立を考えている方は、週休3日制の企業に勤めるメリットは大きいでしょう。

会社によっては副業ビジネスを禁止している場合もあるため、入社時には就業規則を確認しておくことが大切です。

採用活動での人材獲得に優位

ワークライフバランスの改善は、従業員や求職者のためだけでなく、企業側にもメリットがあります。

背景として現在の日本の職場環境は、人手不足による長時間労働・残業続きで一人ひとりの負担が大きくなってしまい、退職が続き、負の連鎖に陥る会社があります。いわゆるブラック企業化です。

しかし、売り手市場を背景に、新卒・中途ともに人員補充は簡単ではありません。二極化が激しいため、多様な人材が活躍できる職場環境づくりをしている会社はホワイト企業として人気が集まりやすいです。

週休3日制を導入すれば様々な立場の方が集まります。「副業をがっつり頑張りたいから週休3日制の会社で働きたい」「週3日休めるなら正社員で働きたい」といった志望動機で応募してくれるかもしれません。

人手不足が解消されれば働きやすくなったり、余計な負担がかかる必要もなくなると考えられます。上手くいけば優秀な人材が入社してくれ、会社の業績も上向く可能性もあります。

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人材の定着以外に、業務効率化や取引先との信頼関係の構築も挙げられます。今後も、ワークライフバランスの改善に取り組み、従業員と企業双方にとってプラスになる取り組みを行っていくことが重要です。

週休3日制のデメリット

週休3日制は、メリットばかりではありません。週休3日制を導入している企業へ就職・転職を検討している方は、デメリットも知っておきましょう。

給料が低くなる

週休3日制の中でも、給与減額型は給料(月給)が20%程度低くなる可能性があります。労働時間が減ることで賞与(ボーナス)を筆頭に、残業手当など各種手当も影響されるでしょう。

会社によってはライフワークバランスよりも、企業の仕事量減少が原因で週休三日制が導入されるケースも考えられます。とくに中小企業が週休三日制が導入する経緯に多いでしょう。

様々な考え方がありますが、給料を下げたくない方は、給与維持型や週休2日制の企業に就職・転職することをおすすめします。

ただ、給与減額型や総労働時間維持型であっても、増えた休日で副業をするのであれば、本業と副業を合わせて目標の年収になる可能性はあるでしょう。

どちらにせよ、給料を下げたくないのであれば、週休3日制の企業に就職・転職する前に働き方を考えておく必要があります。

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1日あたりの仕事量・労働時間が増える

週休3日制を導入している企業で働くと、1日の業務量・労働時間が増える可能性が高いです。特に、給与維持型や総労働時間維持型の働き方です。

給与維持型で週休3日制を導入している企業は、週休2日制の仕事量を週休3日制でも求められます。また、総労働時間維持型の場合は、週休2日制と労働時間が変わらないため、勤務日の労働時間が増えます。

週休3日制の働き方によっては、1日の労働時間が増えると想定しておきましょう。

一緒に働いている社員の仕事量が増える

週休3日制を導入している企業のほとんどが、週休2日制で働くか、週休3日制で働くかを選択できます。

そして、週休3日制を選択すると、週休2日で働いている社員の業務量が増えてしまう可能性があります。

そのため、職場によっては週休2日で働いている社員から冷たい目で見られたり、仲間外れにされたりなど、職場での居心地が悪くなる可能性も考えられるでしょう。

週休3日制を導入している企業の労働環境によっては、他社員の仕事量が増えないように気を遣う必要があります。

特定の部署・職種・立場だけのケースがある

週休3日制は特定の部署・職種・立場だけが適応できる可能性があります

従業員の能力や業種によっては、この制度を適用することが難しい場合もあります。また、社外との打ち合わせやコミュニケーションなど、社内での業務以外が多い職種は、工夫が必要です。

例えば一般事務・経理・マーケティング職などバックオフィス系職種は個人で仕事の調整がしやすいため対象になりやすく、逆に営業職は顧客対応があるため適応外になりやすいです。

佐川急便やヤマト運輸は正社員ドライバーのみ対象で週休3日制を導入しています。

また育児中や親の介護といった特別な事情の人間だけが週休3日制の申請をできる可能性があります。この仕組みの代表的な会社はヤフーです。

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就職や転職で「週休3日制だから入社したい」と考えている場合、入社何ヵ月目から適用できるのか、そもそも適用可能な職種なのか、希望すれば誰でもokなのか、もろもろの条件を入社前に確認することをおすすめします。

評価されづらくなる

週休三日制は、エンゲージメント(従業員の会社への貢献度や理解度)が向上しづらくなるデメリットがあります。

在宅勤務(テレワーク)制度と一緒になると、社内外での情報共有や、社員同士のコミュニケーションに差が広がる懸念があります。

結果的に、人事考課(評価制度)において昇給・昇進が遅れてしまう可能性があります。

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転職の面接では、労務管理の改善や、社員の育成・評価の強化、組織の定着など、社員の成長や能力開発に対して、どのように力を入れているのか質問して確認することをおすすめします。

週休3日制度が無くなる可能性がある

パナソニックは試験的な導入であることを明らかにしています。その他の企業も週休3日制度が永続的におこなわれることを保証できるものではありません。

多くの企業が2020年・2021年・2022年に始めた企業がほとんどで、自社に合っているのか模索中と言えます。定期的にアンケートや満足度調査を図り、成功事例と失敗事例を積み重ねて改善・研究している段階です。

海外でも週休三日制にしたことで生産性が落ちてしまった失敗事例もあるくらいで、評価制度やマネジメントの難しさが挙げられています。

賛否両論の声があることから、導入には慎重な検討が必要です。日本政府が週休3日制を推進しているとはいえ、将来的にどうなるかは不透明だと言えます。

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制度の課題は、申請までの煩雑な手続きや結果の見えにくさ、業務効率化の遅れなども挙げられます。導入企業は社会保険や賃金などの法定の措置を適切に行い、従業員の保護に留意する必要があります。

週休3日を導入している企業一覧

実際に週休3日制を導入している民間企業を紹介します。全体の割合的にもごく一部の大手企業が導入していると言えます。

2023年1月時点で週休3日制を導入している企業は、以下のとおりです。

週休3日制導入企業一覧

中小企業が導入している場合、コロナの影響や市場環境の変化からの売上減少が理由の可能性があります。これらは仕事がなくなったことによる消極的な理由なので、転職する際は注意が必要です。

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大企業を中心に、従来から柔軟な働き方を導入しているところもありますが、中小企業ではまだまだ遅れが目立ちます。


中小企業は週休3日制の導入よりも、勤怠管理の見直しや労働時間の単位を見直したり、社内コミュニケーションの増加や業務の見直し、ITツールの導入を頑張っていると言えます。

週休4日を導入している企業一覧

導入事例は少ないながらも、週休4日制を導入している企業も存在します。

2023年1月時点で週休4日制を導入している企業は、以下のとおりです。

週休4日制導入企業一覧

  • ナレッジソサエティ-シェアオフィス運営会社
  • みずほフィナンシャルグループ-日本の大手銀行持株会社

週休3日・週休4日制度を導入している企業への就職・転職を検討している方は、今回紹介した日本国内企業から応募先企業を選ぶのも良いでしょう。

週休3日制導入企業へ転職するには?

週休3日制や4日制の企業に転職したいという人は多いですが、「休みが多い会社ならどこでもいい」と考えて転職先を選ぶのは危険です。

週休3日制の代わりに労働時間が長かったり、給与が低いというケースがあるからです。深く考えずに転職してしまうと、休みは多くても別の部分で辛くなってしまう可能性もあります。

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だからこそ、休日の多さだけでなく、給与や労働時間などにどう影響するかまで必ず確認するようにしましょう。


ただ、企業に休暇制度の詳細まで聞くのは気が引けるという人は、転職の際はエージェントにサポートしてもらうのがおすすめです。

転職エージェントは企業とのやり取りをほぼ代行してくれるため、休暇制度や給与制度など聞きづらいことも代わりに確認してくれます。細かいところまで確認したうえで転職先を検討できるので、失敗するリスクが少ないですよ。

加えて、転職エージェントしか持っていない非公開求人も多数あるので、自分だけでは見つけられなかった週休3日制の企業にも出会える可能性があります。

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週休3日制Q&A

週休3日制はいつから始まるのですか?義務化されているのですか?

転職エージェント末永 末永

日本政府が推進していますが、義務化の予定はありません。なお2023年4月時点で、人事院が国家公務員の週休3日制を可能にする法改正を検討しているというニュースがあり、今後どうなるかに注目が集まっています。

週休3日を導入している大手企業は?

転職エージェント末永 末永

リクルートやヤフー、電通やファーストリテイリング、佐川急便やヤマト運輸といった企業が導入しています。その他の企業は企業一覧にて確認ください。

週休3日制のデメリット・リスクはなんですか?

転職エージェント末永 末永

給料や年収が低くなったり、1日の仕事量が増えたりします。また、従業員の能力や業種によって適用できない場合があることや、生産性の低下、運用コストの増加、労働時間の削減による業務の遅れ、社員同士のコミュニケーション不足などのリスクがあります。

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