ブラック企業の見分け方!実際の求人票や業界までプロが大暴露

ブラック企業の見分け方!会社選びのプロが16業界を大暴露!

    転職や就職を考えている人が会社を選ぶ際、「ブラック企業だけは絶対に避けたい」と思う人は多いのではないでしょうか。

    この記事ではそんな人に向けて、会社選びのプロである筆者がブラック企業の見分け方を詳しく解説します。実際の求人票や、ブラック企業が多い業界についても紹介します!

この記事を書いた人
末永雄大

末永雄大

新卒でリクルートエージェント(現リクルート)に入社。数百を超える企業の中途採用を支援。2012年アクシス(株)設立、代表取締役兼転職エージェントとして人材紹介サービスを展開しながら、年間数百人以上のキャリア相談に乗る。Youtubeチャンネル「末永雄大 / すべらない転職エージェント」の総再生回数は2,000万回以上。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック
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ブラック企業の特徴10選!あなたは大丈夫?

ブラック企業を見分けるためには、まずブラック企業とはどのような企業を指すのか、具体的に知る必要がありますよね。

そのため、まずは一般的にブラックだと言われる企業の特徴をチェックリスト形式で紹介します。

あなたの会社がいくつ当てはまるのか、まずはこれを使って簡単にチェックしてみてください!

残業が異常に多い(月60時間以上が普通)
サービス残業が当たり前
休日が少ない(年間休日100日以下など)
休日出勤が多い
有給休暇が取れない、付与されない
生活していけないほど給料が低い
毎月のように誰かが辞めていく
ノルマが異常に高い
強制参加のイベントが多い(飲み会など)
パワハラ、セクハラなどが横行している

何個当てはまったら確実にブラックだとは言えませんが、目安として3個以上チェックが付く企業は、一般的にブラックだと言って間違いないでしょう。

また、ハラスメントが横行している場合などはそれだけでブラックだといえます。絶対に入社は避けたいですね。

特に注意が必要なブラック企業の特徴

ここからは、特に注意が必要なブラック企業の特徴を詳しく解説していきます。

そもそもブラック企業に明確な定義はありませんが、厚生労働省は以下のような特徴を公開しています。

  • 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
  • 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
  • このような状況下で労働者に対し過度の選別をおこなう

これらは少し抽象的なので、以下でブラック企業によく見られる特徴を4つ具体的に挙げていきます。

では、以下で順番に解説していきますね。

職場で日常的に怒鳴り声が飛んでいる

昭和であれば大企業でも時折見る光景ではありましたが、職場で怒鳴り声が飛んでいるというのは、現在ではブラック企業の特徴です。

そもそも過剰な叱責はパワハラに当たります。それが日常化してしまっているのはコンプライアンスの意識が低いことをあらわしていると言えます。

残業が異常に多く、常態化している

残業が過度に多く、長時間労働が常態化しているのも特徴の1つです。

多くの業界や企業の求人を見てきた筆者の感覚としては、月間60時間がギリギリ許容範囲だと感じています。80時間以上が常態化しているとなるとブラックだと言えます。

ちなみに月80時間残業というのは、営業日を20日だとしたら、1日4時間ぐらいの残業が当たり前ということになります。勤務時間が9時〜18時だとすると、毎日22時以降まで残業をしていることになるわけです。

もちろん、繁忙期などで一時的に22時を超えてしまうケースもありますが、常に22時〜23時退勤が当たり前というのは健全とは程遠いです。

給与が相場よりも異常に低く、サービス残業が当たり前

地域や業界・職種によって相場が異なりますが、転職のプロの視点から言うと、都内で正社員であるにも関わらず、額面の月収が15〜18万円程度というのは低いです。

この金額では1人暮らしは難しく、相場から逸脱した金額設定だと言えます。中途採用でこの金額だと、日本で1番物価が高い都内では生活が厳しくなってしまいます。

給与に関しては、残業代を支給せずサービス残業が当たり前になっている場合も、ブラック企業によくある特徴といえます。

世間的に非常識なルールや強要事項がある

ひと昔前ですが、新入社員に対して大量のアルコールを飲ませて死亡させた、という悲しい事件がありました。このような非常識な慣習などは明らかにパワハラにあたります。

上司・同僚からのパワハラやセクハラなど、公序良俗違反もしくは犯罪を強要してくるといった異常な社内ルールがある場合は、ブラック企業の可能性が非常に高いです。

ブラック企業を避けて転職する最も手っ取り早い方法

転職エージェント末永 末永

ここまでブラック企業の特徴を紹介してきました。ひどい事例も多くあったので「絶対に入社したくない」と改めて思った人も多いのではないでしょうか?


そういう人は、これから紹介する転職エージェントに相談すると、手っ取り早くブラック企業を避けて転職できますよ。

というのも、転職エージェントは企業の社風や残業時間・離職率などの情報を熟知しているため、ブラック企業を排除した上で紹介してくれるんです。

また、紹介した転職者が短期離職すると企業側に成果報酬の一部を返金する必要があり、エージェント側にとってもリスクになるので、そもそも離職率の高い企業とは取引しないという裏事情もあります。

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中でもUZUZは3000社以上の企業を訪問して作り上げた独自の基準があり、これを満たす優良企業のみを扱っています。


知名度や人気のある企業への転職を考えているのなら、マイナビジョブ20'sがおすすめです。業界大手のマイナビグループが運営しているので、他が扱っていない優良求人を紹介してもらえますよ。

正社員経験が少ない人におすすめのエージェント

  • UZUZ
    平均12時間以上の手厚いサポート!高卒・既卒・フリーターからの正社員転職に強み
  • マイナビジョブ20’s
    未経験OKの求人が7割以上!新卒支援実績No.1のマイナビによる20代向けエージェント
  • ハタラクティブ
    大手企業が運営している老舗の転職エージェント!未経験から挑戦できる求人多数

転職エージェントについて、もっと詳しく知りたい人は以下の記事も参考にしてみてくださいね。

【求人編】ブラック企業の見分け方・見極め方(実際の求人票も公開)

ブラック企業の特徴を紹介してきましたが、実際にこういった企業を自分で見分けられると良いですよね。ここからは転職活動のフェーズに合わせて、ブラック企業を見分ける方法を解説していきます。

まずは求人情報からブラック企業を見分けるポイントを5点紹介します。

特に最初の3点については、具体例として求人サイトから抜粋した実際の求人票を公開しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

それでは、以下から順番に解説していきます。

給与が相場より異常に高い

相場よりも極端に給与が低い求人も注意が必要ですが、給与が極端に高い場合も要注意です。

企業も慈善事業ではないので、給料に見合うだけの労働を社員に求めます。そのため、求人票に記載されている給与が高すぎると残業や休日出勤を強制される風土があることが推測され、ブラック企業の可能性があると言えます。

また、仕事はそこまでキツくなくても残業手当がつかなかったり、歩合給(インセンティブ)込みで記載されている場合もあります。

給料が高いから入社を決めたのに、実は働きにくい環境だったり、昇給がほとんどなかったり、ということもあるので注意が必要です。

実際の求人だと以下のようなものを見ることが多いです。

業界 不動産
職種 コンサル営業
業務内容 投資用不動産の仕入れ〜販売
想定年収 600万円~1000万円
賃金形態 月給¥197,273
基本給¥182,500
固定残業代11時間分を含む
賞与年3回
必要な経験・能力等 【未経験者歓迎】
年収アップしたい方
年間休日数 115日(水曜日定休、他シフト)
就業時間 10:00〜19:00
【休憩】60分
【残業】有
その他福利厚生 充実したインセンティブ制度

転職エージェント末永 末永

投資用不動産という業界内でいえば相場に対して異常に高いとは言えませんが、未経験歓迎という中での相場で言えば600万円〜と非常に高い給与となっています。


しかし、基本給の水準から考えると、この想定年収にはインセンティブも含まれている可能性があります。仮にそうだとすると、営業で成果を出せないと年収はもっと低くなるでしょう。

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年収をあげたくて入社したのに成果を出せなかった場合、年収が上がらず「思っていたのと違う」と感じる可能性があると言えます。


求人票だけでは詳細は分からないので、実際に面接でインセンティブの仕組みや、成績下位者の平均年収を確認するなどの対策が必要でしょう。

休日が少なく残業も多い

休日が少ないだけでなく、月給の中に固定残業代も含まれている場合、単純に業務時間がとても長く激務である可能性が高いです。

それが一概にブラックであるとも言えませんが、少なくとも「ワークライフバランスも確保したい」「人並みの休みは欲しい」と考えている人が妥協して入社してしまうと「ブラック企業だ」と感じてしまうでしょう。

実際の求人だと以下のようなものを見ることが多いです。

業界 飲食
職種 店舗スタッフ
業務内容 ホール・調理など店舗マネジメント
スタッフの採用・指導・育成
想定年収 350万円~400万円
賃金形態 月給¥250,000〜
基本給¥185,000〜205,000
固定残業代43時間分を含む
必要な経験・能力等 【学歴不問、未経験者歓迎】
料理に賛同頂ける方
年間休日数 106日(週休2日制)
就業時間 所定労働時間8時間
【休憩】60分
【残業】有
その他福利厚生 社員旅行
報奨金制度

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厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査 結果の概況」によると、労働者1人あたりの平均年間休日は115.3日です。


これに比べると休日が少なく、さらに固定残業代が43時間含まれることを考えると、平均と比較して労働時間は長いことが予想されます。

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さらに、「週休2日制」の表記にも注意が必要です。「完全週休2日制」は毎週2日の休みがあることを示しますが、「週休2日制」の定義は「1ヶ月の間に2日休みの週が1回以上あり、それ以外の週は1日以上休みがある」です。


つまり、週に2日休みがあることは殆ど無い可能性があるということなので、これを知らないと「騙された!」と感じてしまうでしょう。

独自の福利厚生制度がある

福利厚生制度は基本的に社員の健康や幸福のために設定されているイメージがあると思いますが、中には逆に社員を拘束するような意図のものもあります。

これも感じ方は人それぞれでありがたく感じる人もいますが、仮に会社と合わないと思っている人からすると「ブラックな福利厚生だ」と感じても仕方ないでしょう。

そのうちの一例を、実際の求人をもとに紹介しますね。

業界 IT
職種 WEBディレクター
業務内容 クライアントのWEBサイトの売上最大化のための、各種ディレクションや数値分析、予算管理など
想定年収 500万円~
賃金形態 月給¥320,000〜
基本給¥236,763〜
固定残業代45時間分を含む
想定年収はインセンティブを含む
必要な経験・能力等 【未経験者歓迎】
WEBデザインに興味がある方
年間休日数 120日(土日祝)
就業時間 09:00〜19:00
【休憩】120分
【残業】有
その他福利厚生 家賃手当(月3万円/会社2駅以内)
社内カップル手当
社内結婚手当

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注目すべきは家賃手当と社内恋愛に対しての手当です。家賃手当には会社から2駅以内との条件があるため、近くに住ませて退勤時間を遅くさせる意図がある可能性があります。


また、社内恋愛の手当は退職させにくくするための制度である可能性も考えられます。穿った見方に感じるかも知れませんが、ブラック企業を見分けるためにはこうした視点や知識も必要になってきますよ。

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また、一見いいことのようにも思えてしまいますが、休憩時間が120分と長いことにも注意が必要です。


一般的な就業時間であれば休憩は60分が普通なので、長時間残業が常態化しており拘束時間が非常に長いという可能性があります。

募集期間が長く従業員数の割に求人が多い

求人情報やホームページを見ていると、1年中求人を出している会社を見かけることがあります。

1年中ずっと求人を出しているような会社は、入社した人が定着せずすぐに辞めてしまうため常に人を募集している可能性があります。

ただ、これは長期間転職活動をしている人でないと気づくのが難しいかも知れません。「ブラック企業を避けて転職する最も手っ取り早い方法」の箇所で紹介しているマイナビジョブ20'sなどの転職エージェントなどに、いつから求人が出ているか確認するのがおすすめです。

また、会社の規模や従業員数に対して採用人数が多い場合も同様の理由で注意したほうがいいでしょう。

業績が良いために人手が足りない場合はまだ良いのですが、長く働き続けられない会社には何かしらの原因があるので気をつけましょう。

未経験歓迎・学歴不問・年齢不問など応募条件のゆるい求人

「第二新卒歓迎」「未経験歓迎」などが書かれているからといって、すべての企業がブラックとは限りません。

ただ、このように応募条件がゆるく設定されている企業のなかには「手を動かせれば誰でもいい」と、ある種、社員を大切にしない風土の会社も存在するので要注意です。

そういった会社は離職率も高くなりがちなので、常に人を採用しなければならず、応募条件がさらにゆるくなっているという悪循環が生まれている可能性もあります。

【情報収集編】ブラック企業の見分け方・見極め方

ブラック企業を見分ける・見極めるためには、求人票以外にも様々な方法で情報をチェックすることが必要不可欠です。

情報収集を深くすればするほど、ブラック企業に入社してしまうリスクは低くなっていきます。ここからは、どのように情報収集すれば良いのかを紹介していきますね。

では、上記3点について詳しく説明していきますね。

口コミをチェックする

企業の職場環境を知るには、実際に働いていた元社員や現役社員から労働環境などについて聞くのが1番です。

その会社に知人や友人がいれば良いのですが、基本的にはいないことのほうが多いですよね。そんなときに役に立つのが、企業の口コミサイトです。

有名なもので言えば「ONE CAREER PLUS」「OpenWork(旧Vorkers)」「en Lighthouse(旧カイシャの評判)」などがあり、多くの元社員や現役社員が口コミを投稿しています。どちらもユーザー登録しないと投稿できないので、自由に投稿できるものよりも信憑性は高いです。

ブラックかどうかはもちろん、働く上で気になる労働環境・年収・福利厚生・残業時間・評価制度・社風・女性の働きやすさなど、項目別に評判を見ることができます。

ただ、匿名で投稿できますし、企業の中にはお金を払って悪い評判を削除しているケースもあります。口コミの内容をすべて鵜呑みにするのではなく、参考程度に見ることをおすすめします。

気になる企業の口コミが見たい人は、以下のボタンから見てみて下さいね。

ONE CAREER PLUSを見る

就職四季報をチェックする

「就職四季報」は東洋経済新報社が発行している情報誌で、転職・就職に役立つ情報が載っています。

掲載されているデータのなかで、ブラック企業を見分けるときに役立つのが「3年後離職率」と「平均勤続年数」の2つです。

この2つのデータがなぜ役立つのかと言うと、入社した人たちがすぐに辞めてしまう会社には「何らかの働き続けられない要因」が存在している可能性が高いからです。

とはいえ、離職率や平均勤続年数が職種によって変わってくるため、厚生労働省が正式に発表している「雇用動向調査」と一緒にチェックすると、より正確な情報を得ることができます。

ちなみに就職四季報はAmazonなどで購入することが可能ですよ。

ブラック企業リストをチェックする

いわゆるブラック企業リストの正式名称は「労働基準法関係法令違反に係る公表事案」といい、厚生労働省によって公開されています。

各都道府県の労働局によって公表された法令違反の企業を集約しているので、全国でとくにブラック度が高い企業を知ることができます。

リストにはその年度に労働基準法に違反した企業が記載されていますが、ブラックな労働環境が常態化している可能性もあるので過去のものを遡って確認しましょう。

また、「ブラック企業大賞」もよく名前を聞きますね。プロパガンダ的な要素が強いものの、選考理由も公開されているので、参考にする際はこちらも目を通すことをおすすめします。

ですが、ブラック企業リストもブラック企業大賞も、全てのブラック企業を網羅できるわけではありません。

ブラック企業リストに載ってないから大丈夫!で終わるのではなく、先ほど説明した口コミサイトや就職四季報なども活用して、徹底的に 情報収集することをおすすめします。

【面接編】ブラック企業の見分け方・見極め方

最後に、実際に面接で企業を訪問したとき、ブラック企業かどうかを見分けるポイントを紹介します。

ただしこれらはあくまで一例に過ぎず、このうちの一つに当てはまったからといって、必ずブラック企業だとは限りません。参考程度に見て下さいね。

では、以下で詳しく説明していきますね。

面接官の態度が悪い

面接官の態度が悪い企業は要注意です。

面接している時点では、転職者は消費者の一人です。たとえ面接の場であっても、まともな企業であればその消費者をぞんざいに扱うことはありません。

それに、面接時には面接官は転職者にとって「企業の顔」です。面接官にその自覚があれば、自分の企業の評判を下げかねないことをするはずがありません。

例えば、面接官の態度が横柄である他にも、清潔感がなかったり時間を守ってくれなかった場合には注意が必要です。

求職者にさえ態度が悪いということは、社内ではもっと酷い態度をとっていると考えるといいでしょう。

社内の雰囲気が悪い

面接で企業を訪問した際、社内の雰囲気もチェックしましょう。

ブラック企業だと、社内の雰囲気が悪いことが多いです。例えば怒鳴り声がしたり、社員に覇気がなかったりなどです。

神経質になりすぎる必要はありませんが、社員の顔色が悪かったり、挨拶への返事がなかったりする場合は要注意ですね。

即日内定が出る

面接後、すぐに内定が出る企業は、人手不足が続いていて「誰でもいいから労働力が欲しい」と思っている場合があります。

絶対にとは言えませんが、コミュニケーションが不十分で入社後にミスマッチに陥ったり、人材を労働力としか見なさずに無理な働き方を強要されたりすることがあります。

ですが、書類選考の時点で採用基準に達していると判断して、面接を内定の前の最終確認程度に認識していた場合もあります。この要素だけで判断せず、紹介した内容から複合的に判断しましょう。

ブラック企業=必ずしも悪ではない!

ブラック企業 見分け方

ブラック企業の見分け方について解説してきましたが、ここで会社選びのプロとして絶対に伝えたい、大事なことをお伝えします。

それは、誤解を恐れずに言うと、全員が頑なにブラック企業を避けるべきではないということです。なぜなら、転職の目的とキャリアの状況によってはブラック企業で働くことが最適解になる場合があるからです。

前提として、法律や公序良俗に反する企業にはもちろん誰であっても入社するべきではありません。しかしブラックだと噂される企業でも、人によっては入社した方がいいケースがあるのです。

まだ分かりにくいと思いますので、具体例を出して説明しますね。

激務なブラック企業に入社した方がいいケース

以下、中規模のメーカーで働くAさんを例に説明していきます。

人物 26歳
Aさん

今の職場は残業は少なく働きやすいのですが、昇給が遅く市場価値も上がりません。30代に向けて、これから年収を上げていくために転職を考えています。

Aさんのように、市場価値が低い現状から年収を上げていけるキャリアを求める人はとても多いです。このようなケースでは、激務なブラック企業でも市場価値が上がるのならメリットがあると言えます。

会社選びの選択肢に「激務じゃないけど市場価値が上がらない企業」と「激務だけど市場価値が上がる企業」があったとしたら、転職の目的を踏まえると後者を選ぶべきでしょう。

ここで「激務な企業はブラックだから絶対に避けたい!」となると転職の目的が叶う可能性は低くなってしまうため、「残業は月間50時間までなら我慢しよう」など、自分が許容できる最低条件を設定して割り切ることも必要になってきます。

転職エージェント末永 末永

「市場価値が上がって、かつ激務じゃない企業に転職すればいいじゃないか」という声はもっともです。それが1番良いのですが、残念ながら1度の転職で全てを叶えるのはかなり難しいです。


ホワイトで市場価値も高い企業は、非常に人気で高倍率です。Aさんよりも高い市場価値を既にもつ人が、ようやく転職できるような企業なのです。

Aさんに限らず大事なのは、転職の目的を決めたうえで、企業に求める条件を具体的に優先順位をつけて設定することです。

「とりあえずブラック企業は避けたい」で終わらせず、「残業は何時間以内」「年収は何万円以上」のように整理することで、最適な会社選びが出来るようになりますよ。

市場価値については以下の記事でも解説しているので、あわせて参考にしてみてくださいね。

【番外編】ホワイト企業の特徴・見分け方

冒頭で説明したようなブラック企業の特徴に当てはまらないのがホワイト企業と言えますが、ブラック企業と同じく明確な定義はないので、きっちり区別するのは意外と難しいです。

転職エージェント末永 末永

例えば全く残業がない企業はホワイトと言われがちですが、定時内で高い成果を出さなければならない環境だとするとどうでしょう?


優秀でないとやっていけなくてキツい、むしろブラックに近いと感じる人もいるのではないでしょうか。このように、人によって基準は曖昧なものなのです。

確かに、安全衛生優良企業公表制度で認定された企業はホワイト企業である可能性が高いですが、その中から転職先を選ぶのは避けた方がいいと私は思っています。

転職エージェント末永 末永

それよりも、最初に説明したように自分の求める条件をしっかり整理した上で、転職先を探した方が納得できる企業選びにつながります。

とはいえ、目安は必要だと思うので、以下のような特徴がある企業はブラックになりにくいので参考にしてください。

  • 業界の中で優位性の高い商材を持っている
  • 目標設定があまりにも高くなりすぎていない
  • 業績を上げるためのノウハウが共有されている

上記のような企業が比較的多い業界としては、たとえばSaaS業界やメーカー業界が挙げられます。

また、ブラック企業をチェックするときと同様、就職四季報の三年離職率を参考にしてください。職場環境の良い企業は社員が辞めにくいのでこの値が低くなる傾向にあります。

ホワイト企業の見分け方や業界についてさらに詳しく知りたい人は、以下の記事も読んでみてくださいね。

ブラック企業が多い業界の特徴

ブラック企業の中には、ビジネスモデルや、社風が原因でブラック企業化してしまいやすい業界があります。

たとえば下記のような特徴があります。

  1. 個人向けの商売である
  2. 店舗ビジネスである
  3. 顧客単価が高くない
  4. 参入障壁が低く差別化が難しい

他にも、営業などはノルマが課されたり、そもそも企業の体質が体育会系で肉体的につらい…など、さまざまな原因でブラック企業化することがあります。

以上の点を踏まえて、今回は特に給与に焦点を当てて業界を分類してみました。興味のある箇所を参考にしてみてください。

給与はいいが激務でブラックな業界

給与は良くても、激務でブラックな業界を一覧で紹介します。

塾・教育業界

塾の講師や教室長などは業務内容が幅広く、学生のカレンダーに合わせないといけないため、激務になりやすいです。

両親への営業や対応、生徒への講義、店舗管理など幅広い業務であるため、どうしても忙しくなりがちです。

給与に関しては他の業界よりも若干高いのですが、長くは続けられないと限界を感じて退職する人が多い傾向があります。

塾・教育業界からの転職を検討中の人は、こちらの記事も合わせてご覧下さい。

生命保険業界

生命保険業界は、営業ノルマが厳しいことが多いです。

また見込み客・リードの開拓も会社ではなく、個人が発掘・開拓する必要があるので精神的な負担も大きいです。

ノルマのために家族や親戚・友人に致し方なく営業をしてしまうこともあるようで、耐えきれずに転職を考える人がよくいます。

他の業界より顧客単価は高いので給与は悪くないのですが、契約社員や嘱託社員・業務委託での採用が多く、固定給与が保証されていないケースもよくあります。

成績によって給与が変動するので、頑張り続けないといけない点が精神的にもキツイようです。

生命保険業界からの転職を検討中の人は、是非こちらの記事も合わせてご覧下さい。

投資用マンション販売業界

投資用マンションの販売も営業ノルマが厳しいと言われています。

顧客側からしたら「どこから電話番号が流出したんだろう…」と思うような知らない電話番号から電話がかかってくるため、営業の前から迷惑電話という認識からスタートします。

また「投資用マンションって詐欺?」と警戒されるので、営業をするだけでも精神的なストレスが大きいようです。

その分、成果を出している人は年収が1000万円を超えていることもあります。

とても高い給与が得られるメリットはあるのですが、ずっと成果を出し続けられる人は一握りです。

頑張っても成果に結びつかず、転職を考える人が多いのも事実です。

ノンバンク・先物取引業界

ノンバンク・先物取引業界は最近規制が強まって業界が衰退したこともあり、耳にすることは減ってしまいましたが、厳しい営業スタイルやノルマで有名です。

とくに先物取引は市場の取引が朝早くから始まるために、それよりも早い時間から拘束されてワークライフバランスが保てないと感じる人が多いようです。

さらに、顧客単価が高い一方でお客様に大きく損をさせる経験が精神的につらかったと感じた人も多いようです。

肉体的・精神的な理由で転職する人が多い傾向があります。

証券業界

証券業界の中では、リテールセールスが激務だと言われています。

リテールセールスは中小企業・オーナー社長や個人投資家に対して、株や債権などの証券を販売する仕事です。

投資商品であるため、顧客に得をさせることもあれば損をさせてしまうリスクもあります。

営業としては投資商品の値動きは予測・助言はするものの、コントロールに限界があるのでストレスを抱える人は多いです。

証券業界からの転職を検討中の人は、是非こちらの記事も合わせてご覧下さい。

大手財閥系のグループ子会社

有名な大手財閥系グループ会社は、親会社からの管理職の天下りや体育会系文化が根強く、独自の文化が形成されているケースがあります。

給与自体は恵まれていることが多いですが、昔からの文化や体育会系の文化が合わないと感じる人もいるでしょう。

職場や飲み会でのイジメやパワハラなどが理由で転職を考える人もいるようです。

これも見極めは難しいところですが、大手財閥系だからといって優良企業だと思考停止せず、しっかりと情報収集することが必要です。

激務なのに薄給でブラックな業界

続いては、激務にも関わらず給与が平均的に低いブラックな業界を一覧で紹介します。

賃貸不動産業界

賃貸不動産業界の中でも、個人向けの不動産仲介業はブラックな形態となりやすいです。

町の不動産屋さんのイメージがあると思いますが、実際は店舗で賃貸不動産を紹介して車で物件の内見をサポートする仕事です。

こういった個人向けの営業なので土日に来店が重なりがちで、世間と合わせた休みを取るのが難しくなってしまいます。

また事業者の数が多いため差別化するのが難しく、手数料収入も薄利なので、一人で毎月数十件の成約を取る必要があります。

こういった理由から、賃貸不動産業界は激務なのに薄給になりがちです。

不動産業界からの転職を検討中の人は、是非こちらの記事も合わせてご覧ください。

飲食業界

飲食店の種類にもよりますが、お酒を出すお店などは夜遅くまで営業しており、お客さんも酔っ払っていることが多いので接客が大変だったりします。

食材の原価や店舗の賃料などがかかるビジネスモデルなので、大手チェーン店のように店舗展開をしないと大幅な利益を出すのが難しいです。

そのため人件費を高く設定することが難しく、激務で薄給になりがちです。

飲食業界からの転職を検討中の人は、是非こちらの記事も合わせてご覧ください。

アパレル業界

アパレル業界の中でも、店舗での販売・接客職は激務になりやすい職種です。

アパレルに勢いがあって盛り上がっていた時代はよかったのですが、不況の昨今では商品がなかなか売れなくなっています。

商品を売ることで利益を確保するビジネスモデルのため、給与が上がりにくいです。

また、売上が悪いと販売員に自社商品を購入させることで補填するなどの慣習があったりもします。

平均給与が低く、立ち仕事で体力も使うので長く続けられず転職を考える人が多いです。

アパレル業界からの転職を検討中の人は、是非こちらの記事も合わせてご覧ください。

旅行代理店業界

旅行代理店も手数料商売なので薄利多売になりがちな業界です。

旅行代理店のカウンターセールスや添乗員は平均給与が低いままであることが多いです。

また、営業職が添乗員業務を兼任することも多く、月に一定数の出張があるため体力的にも負担が大きいです。

また、旅行代理店業界はコロナ禍で大きな打撃を受けた業界の一つです。回復傾向は出てきたものの、もうしばらく業界全体が不安定な状態が続くと考えられます。

旅行業界からの転職を検討中の人は、是非こちらの記事も合わせてご覧下さい。

ウェディングプランナー業界

華やかなウェディング業界も激務だと言われています。とくに、ウェディングプランナーやバンケット職が該当します。

結婚するカップルに対しての営業と式の運営をおこなうわけですが、個人向けにしては高単価の商材の営業になるため、難易度が高くプレッシャーも大きいです。

繁忙期の場合は毎週のように結婚式を運営しなければなりません。顧客にとっては人生に1度の一大イベントを取り仕切らないといけないので、体力的にも精神的にも負担となります。

急なトラブルにも対応しなければならず場合によっては理不尽に叱責を受けることもあるため、様々なストレスから転職を考える人が多いです。

ウェディングプランナーからの転職を検討中の人は、是非こちらの記事も合わせてご覧下さい。

通信機器・インターネット電話回線販売業界

通信機器・インターネット電話回線販売業界の中でも、オフィスや個人宅の光回線サービスの導入をする営業職はブラックな環境になる傾向があります。

電話や飛び込み営業を延々と繰り返すため営業スタイルがかなりハードになり、ノルマも厳しいためストレスを感じやすいようです。

オフィス什器・備品販売業界

オフィスの什器や備品を販売する営業職は、会社に飛び込み営業をすることが多く、このスタイルやストレスに対する給与に不満を感じる人がいるようです。

また、商品も均質化しやすく差別化が難しい業界です。その上、顧客も買いたいときは自分で検索して購入できる時代なので、飛び込みで注文をとるというスタイルが厳しいと感じるケースが多いようです。

芸能事務所

芸能界は特殊な業界で、経営陣・マネジメント層の考え方やマネジメントスタイルが厳しいことがあるようです。

また、芸能人のスケジュール管理やマネジメントが必要なため、マネージャーには一定のストレス耐性が求められます。

さらに業務の性質上、世間に合わせた時間やカレンダー通りの休みは多くありません。

華やかな業界なので憧れを抱いている人が多い反面、丁稚奉公的な慣習もあるので、給与が低く設定されているケースがよくあります。

業務の内容や拘束時間のわりに給与が低いため、不満が溜まってしまいやすいようですね。

SP・販売促進・イベント業界

セールスプロモーション、販売促進などのイベント企画・運営をおこなう業界です。

企画書を書いたり、イベント実施時の人や場所・什器の手配をしたり、イベント当日の現場を取り仕切ります。

このように企画から運営までのディレクションを1人で対応することが多く、激務になりがちです。

労働集約的なモデルであるため、忙しさの割に給与はそこまで高くないです。

業界や仕事に対して、ある程度の想いがないと続けられない人が多いようですね。

古くからある中小オーナー企業

古くからある日本企業は、昔からの働き方を続けていることが多いので、ブラックと捉える人もいるでしょう。中小企業=ブラックというのは極端ですが、こういった企業の多くが中小企業というのも事実です。

たとえば、世襲で2代目、3代目と続いてきた中小オーナー企業の製造業や自動車ディーラー業などの業界で目にすることがありますね。

社長の意思がそのまま会社の意思となることが多く、社長と考えが合わないと会社に居続けるのがつらいと感じることもあるかもしれません。

これは業界というよりは経営陣や管理職のスタンス、思想が古いのが問題となっているので、見極めるのは割と難しいですね。

ブラック企業に入社してしまったときの対処法

意図せずにブラック企業に入社してしまった人や、ブラック企業で消耗しながら働いている人へ向けて対処法を紹介します。

まず、心身に良くない影響が出ている場合は、ためらわずに転職を検討してください。

それが市場価値を高められるというメリットがある企業だとしても、心や体を壊してしまったら本末転倒です。

ですが、激務になりやすい仕事だと認識していながら入社して短期離職してしまった場合は、転職する際に「認識が甘い」「自業自得」と判断される場合があります。

また、退職理由が他責だと判断されると責任感がない人だと思われて転職が難しくなるので、転職面接の際は退職理由を自責で捉えて伝えるように意識するといいです。

退職理由の伝え方や、自責の考え方については以下の記事でも解説しているので、興味のある人はあわせてご覧ください。

転職エージェント末永 末永

また、残業代や賃金の未払い、ハラスメントに対する措置を取りたい場合は最寄りの労働基準監督署に相談しましょう。

ブラック企業を見分けて転職を成功させたい人へ

ここまでブラック企業の見分け方や特徴、業界などについて紹介してきました。ここまで理解して実践できれば、一般的にブラックといわれる企業はある程度見分けて排除することができます。

しかし、上述したように世間一般の「ブラック企業」「ホワイト企業」の定義に振り回されるのはおすすめしません。

たとえ世間的にホワイトだと思われている企業に転職できたとしても、それとあなたの転職が成功かどうかは別の問題です。

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何より大事なのは転職の目的をはっきりさせて、条件に関しても希望を細かく洗い出すことです。「ブラック企業を避けたい」で終わらせずに自分が何を叶えたいのか明確にすることで、転職が成功する確率は高くなります。


そうはいっても「自分が本当に求めている条件が何か分からない」「漠然とした不満しか無く、転職で叶えたい目的と言われても難しい」という人は、転職エージェントに相談すると良いですよ。

転職エージェントは、会社選びのプロであるだけでなく、転職のプロです。求人を一緒に見てブラック企業に該当するのかどうかを判断してくれますし、転職の目的や希望条件についても、多数の転職者を支援してきた経験からアドバイスしてくれます。

以下におすすめのサービスを紹介しておくので、気になる人は詳細を見てみてくださいね。

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